4.トイ・プードルのかかりやすい病気・ケガ
トイ・プードルは健康的な犬ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、トイ・プードルでは膝蓋骨脱臼やレッグペルテスといった関節疾患や、骨が細く活発な分、骨折も懸念されます。
また、眼疾患や皮膚疾患、内分泌疾患、歯周病などにも気をつけたいものです。
ことトイ・プードルは小さな顎に歯が密集して生えている分、歯垢・歯石がつきやすく、歯周病のリスクが高いので、歯のケアは大事となります。
若齢~成犬
子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
低血糖
糖分が著しく低下することで、元気喪失や痙攣などが見られる。流涙症
鼻涙管が詰まることで涙が溢れ出てしまう病気。膝蓋骨脱臼
膝のお皿の骨(膝蓋骨)が大腿骨の溝から外れてしまう関節疾患。レッグペルテス病(大腿骨頭壊死症)
大腿骨頭への血行障害により、大腿骨頭の変形や壊死が起こる。骨折
骨折は極力早いうちに治療するのが大事。若年性白内障
犬では遺伝的素因から発症する若年性白内障が多く、トイ・プードルは好発犬種とされる。熱中症
小型犬は地面からの反射熱を受けやすい上、子犬は熱中症になりやすい。
また、ケガや病気ではないですが特に若齢で多いのが「誤食」です。
子犬のうちは特に、小さな雑貨などを誤って口に入れないような環境への配慮が必要です。
成犬〜高齢犬
そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。
外耳炎
プードルは耳が垂れ、耳道に毛が多いため外耳炎になりやすい。アレルギー性皮膚炎
食べ物やハウスダスト、ノミ・ダニなどに対して、過剰に免疫が反応することによって発症する皮膚炎。歯周病
歯周病が重度になると内歯瘻や外歯瘻、口腔鼻腔瘻、下顎の骨折などにつながることがある。副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質ホルモンの一つであるコルチゾールが過剰に分泌される内分泌疾患。僧帽弁閉鎖不全症
心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁の変性により、血液が逆流する心臓疾患。進行性網膜萎縮症(PRA)
眼の網膜が進行性に変性し、視力が低下して失明に至る遺伝性疾患。トイ・プードルは好発犬種とされる。腫瘍・癌
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。認知症
認知症に関連する行動が12歳の犬で53%、13歳で70%、15歳では86%に一つ以上見られたという調査報告もある(※3)。熱中症
小型犬は地面からの反射熱を受けやすい上、高齢犬は熱中症になりやすい。
5.トイ・プードルの平均的な寿命は?
トイ・プードルの平均寿命は10歳~18歳程度と言われ、長寿傾向にある犬種です。
参考までに、東京大学の研究チームがペット霊園のデータを使用して行った日本の犬の平均寿命に関する調査(2018年発表)では、トイ・プードルでの平均寿命は12.7歳と意外に短く、死亡時の最高齢は22.4歳でした(※4)。
6.まとめ
フランスでは「カニシュ(Caniche)/鴨を獲る犬」と呼ばれるプードル。かつて水鳥猟に使われていた祖先の血を引くだけあって、トイ・プードルは小型ながら活発で運動能力が高い犬種です。
人気が出たことから一部で乱繁殖がなされたことも関係し、遺伝性疾患がいくつか見られることは残念ですが、それでも長寿傾向にあるトイ・プードル。少しでも長く穏やかで健やかな生活を送るために、定期的な健康診断を受けつつ、健康管理や食事管理を心がけたいものです。
※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。
【参照元】
(※1)ELINOR K. KARLSSON et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes. SCIENCE•29 Apr 2022•Vol 376, Issue
(※2)公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」
(※3)水越美奈、松本千穂、脇坂真美「高齢犬の行動の変化に対するアンケート調査」(動物臨床医学26[3] 119-125, 2017)
(※4)Inoue M, Kwan NCL, Sugiura K. Estimating the life expectancy of companion dogs in Japan using pet cemetery data. J Vet Med Sci. 2018 Jul 18;80(7):1153-1158. doi: 10.1292/jvms.17-0384. Epub 2018 May 24. PMID: 29798968; PMCID: PMC6068313.
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