「あなたは一人じゃないよ」と伝えたい

 さくらさんのチャンネルも、Aさんのチャンネルも、同様の病気を患っている視聴者がほとんどだが、中にはネガティブなコメントをしてくる人も少なくない。

 さくらさんは傷つくことも多いそうだが、「行動範囲や人脈に広がりができましたね。前夫を看病中、死別後、そして自分ががんになった時に孤独を感じたぶん、同じ病気の人と繋がって、『あなたは一人じゃないよ』ということをもっと伝えていけたらと思っています」と言う。

 夫婦は今後をどう見据えているのか。

「2人とも撮影できなくなったらどうしようとか、遺影はどうする、老後のお金はどうするとか、わりとクールに現実的なことを話し合っていますよ。でも自ら配信を終わらせることはないですね。休むことはあっても続けていくつもりです」

21歳で余命3年を宣告され

 山下ゆめさん(仮名・21歳)は昨年夏、突然胸が苦しくなって病院へ行った。下された診断は悪性リンパ腫。いきなり「もって3年」と宣告された。うつ状態に陥り、自ら命を絶つことまで考えるようになってしまった。

 そんなとき、たまたま自分の感情を思いきり吐き出しているYouTuberの姿を目にしてうらやましく思い、動画配信を始めた。

「僕のチャンネルなど誰も見ないだろうと思っていたのに、同じ病気に悩んでいる方、がんで大切な人を失った方などが視聴者になってくれました。『頑張れ』、『あきらめるな』、『ゆめの動画を見て頑張っているよ』……そんなコメントの数々に励まされて、もう死ぬことは考えず、抗がん剤治療も受けようと思いました」