副業を始める人や副業を解禁する企業が増える近年ですが、「ポートフォリオキャリア」という新しい働き方が注目されています。これからのAI時代を生きるミレニアル世代には必須になっていくかもしれない!?ポートフォリオキャリアについて紹介します。

新しい時代の「ポートフォリオキャリア」とは?

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

令和2年版厚生労働白書によると2019年時点で日本の非正規雇用労働者の割合は38.3%にのぼり、その中で本当なら正規雇用で働きたいのに非正規で働く人(不本意非正規雇用労働者)も11.6%存在しているそうです。

出典:厚生労働省|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-

加えてコロナ禍による雇用情勢の悪化やAIやロボットと働く未来もすぐそこまで来ており、私たちをとりまく労働環境はますます複雑に……。

現在正社員で働いている人も「自分は今の職場で働き続けられるの?」「収入源が一つしかないのは、いざという時に不安……」と考える人も多いのではないでしょうか。

そんな中、これからの時代の新しい働き方としてポートフォリオキャリアが注目されています。

複数の肩書きを持つキャリア形成

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

ポートフォリオキャリア(Portfolio career)とは、一つではなく複数の仕事を掛け持つ働き方のこと。
その働き方を実践する人のことをポートフォリオワーカーと言います。

分かりやすく言えば、複数の名刺を持つ働き方といったところでしょうか。
たとえば、大学教授をしながらコンサルタントとして起業している人、企業の人事担当として働きながらコミュニティマネージャーとして起業している人などがいます。

社会人として一つの仕事や同一職種にこだわることなく、複数の専門スキルを活かした自由な働き方です。

副業とは違う考え方

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

一見すると「副業と同じでは?」とも思うポートフォリオキャリアですが、副業は本業の空いた時間を使って働くサブの仕事であるのに対し、ポートフォリオキャリアでは両立する仕事のどれもが本業という違いがあります。

現在の日本で、一般企業に勤めながらポートフォリオキャリアを歩むには、企業側の理解度や就業規則・待遇面でまだまだ難しい側面があることは事実です。

一方、海外ではポートフォリオワーカーが組合をつくり、一般企業と同等の福利厚生を得られているケースもあります。

ポートフォリオキャリアが生まれた背景と理由

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

「ポートフォリオ」とは元々金融業界で使われていた言葉で、「金融商品の組み合わせ」の意味を持ちます。

ポートフォリオキャリアという概念が生れた背景の一つには、人生100年時代とも言われる現代において、先にお話したような労働環境の複雑化への危機感があります。

それと同時に、人々の働くことへの価値観も多様化しました。
デトロイト トーマツ グループによる「ミレニアル・Z世代年次調査2021」では、日本で働くミレニアル世代の24%が現在の勤務先から2年以内に離職したいと回答しています。

出典:デトロイト トーマツ グループ|ミレニアル・Z世代年次調査2021

COVID-19拡大前の2019年の49%という結果に比べると、コロナ禍での経済情勢の不安定化もあって半減してはいますが、それでもミレニアル世代の約4人に1人は、転職意向があり、組織に対する帰属意識は低下していることがわかりますよね。

「どこ(どの会社)で働くか」よりは、「どう働きたいか」「仕事を通してどんな自分になりたいか」という価値観に重きを置く傾向が顕著になってきています。

そんな中、より豊かな生き方を実現するための手段として、ミレニアル世代を中心にポートフォリオキャリアの考え方が浸透しはじめたのです。

ポートフォリオキャリアが浸透しはじめた理由について、もう少し具体的に見ていきましょう。

収入源を複数化できる

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

収入源が一つしかなければ、倒産やリストラ、減給などの問題が起こった時に生活の根幹が揺らぐ事態にもなりかねません。

先程の「ミレニアル・Z世代年次調査2021」では、日本のミレニアル世代の54%が「自国の経済は悪化する」と予測しており、経済や就業への不安を抱いている人が多くいます。

ポートフォリオキャリアを実践することで、収入源が複数化すればリスク分散につながり、多少のトラブルにも動じない収入基盤を作ることが可能です。

キャリアが広がる

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

ポートフォリオキャリアは、「自分が本当にやりたいこと」「実現したいこと」「世に伝えていきたいこと」を追及(模索)できる自己実現の手段でもあります。

そのため、一つのキャリアにこだわることなく、とにかく「やってみる精神」で行動を起こし、不都合があれば軌道修正しながら複数のキャリアを築いていく人が多くいます。

結果として、キャリアが複数分野、多岐にわたって広がっていくのもポートフォリオキャリアの魅力です。

収入を増やす目的

ポートフォリオキャリアという新しい考え方|副業時代は古い?
(画像=『Rolmy』より引用)

副業の場合にも言えることですが、「より高収入を得たい」という思いからポートフォリオキャリアを実践する人も増えています。
確かに複数の仕事を掛け持ちすれば、本業一本で働く場合に比べて収入の増加を期待できます。

ただし、ポートフォリオキャリアを実践すれば誰でも必ず収入が増えるとは限らず、収入がある程度軌道に乗って安定化するまでは、時間がかかる場合も多いことを心にとめておきましょう。

また、会社勤めをしながらポートフォリオキャリアを歩む場合は別ですが、より自由度の高いフリーランスとして独立する場合は、自分で国民年金と健康保険に加入する必要があります。

国民健康保険は所得が上がるほど保険料がアップしていくため、会社の健康保険組合に加入していたときよりも負担が増すケースもあることに注意が必要です。