岐阜県にある華厳寺は、約1300年もの歴史がある日本最古の巡礼「西国三十三所めぐり」の最後となる33番札所。巡礼の最終地点ならではの「満願堂」や「笈摺堂」に参拝し、「現在」「過去」「未来」を示す3つの御朱印をいただけば、無事満願達成!巡礼者はもちろん、そうでない方も結願の地にふさわしい厳かな雰囲気を味わいに行ってみませんか。
1300年以上の歴史をほこる「西国三十三所めぐり」
西国三十三所めぐりは、718年徳道上人によって始められた約1300年もの歴史がある日本最古の巡礼です。京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・岐阜の2府5県に点在している33ヵ所の観音霊場(札所)を参拝し、御朱印をいただきます。第1番札所は和歌山県にある青岸渡寺。そして、結願所となる第33番札所が、今回ご紹介する華厳寺です。
華厳寺の始まり
「たにぐみさん」の愛称で親しまれている華厳寺の創建は798年。会津出身の豪族、大口大領(おおぐちだいりょう)が苦行の末手に入れた霊木で、京の仏師に彫らせた観音像を奥州へ運んで帰る途中、像が自ら歩きだし、美濃国赤坂(現:岐阜県大垣市赤坂)付近で「ここから北へ5里の山中に結縁の地があり、そこで衆生を救いたい」と述べたのち、北へと歩きだしました。
そして、その後谷汲の地で一歩も動かなくなってしまったため、大領はここが結縁の地であろうと思い、この地で修業していた豊然上人と共にお堂を建て、像を祀ったのが始まりとされています。それ以来、近くの岩穴から油が湧き出し続けたため、燈明に困ることがなかったと言われています。
本堂でいただける3つの御朱印
木々が茂る参道の先にある階段の上に、巡礼最後の地にふさわしい風格溢れる本堂があります。西国三十三所を始めたのは徳道上人なのですが、実はその時は人々に広まることはありませんでした。その後、約270年もの時を経て巡礼を復活させたのが花山法皇です。その花山法皇が巡礼し、華厳寺を満願の地と定めた際、3つのご詠歌を奉納されました。
そのご詠歌にちなんで、華厳寺でいただく御朱印は3つ。3つの御朱印は「本堂(観音堂)」「満願堂」「笈摺堂(おいずるどう)」を指しており、それぞれ「現在」「過去」「未来」を意味しています。
本堂内の柱には、阿吽の口をした2対の「精進落としの鯉」があります。また、ご本尊の十一面観世音菩薩は秘仏のため見ることはできませんが、西国三十三所巡礼1300年の記念として、令和2年12月18日までは観音様との御縁を結ぶ結縁綱を触ることができます。
結縁綱は期間限定。観音様と繋がる結縁綱をこの機会に触れてご利益をいただきましょう。