パート収入のある被扶養配偶者が気にすべきものとして、いわゆる年収の壁というものがあります。収入が一定額をオーバーすると「働き損」になってしまうことも。そこで、今回は「働き損」になる理由や基準となる年収について解説します。

「働き損」とはどういうこと?

妻が夫の扶養に入っている場合、パートに出たとしても一定金額までは社会保険料の負担がありません。

その一定金額をわずかに超えたくらいの年収の場合、社会保険料発生が給与から天引きされることによって、ボーダーラインの手前の年収の人と比べて、実質的な手取り金額が劣後します。

これが働き損の内容です。

「働き損」の分岐点

大企業勤務の場合、ボーダーラインは年収106万円です。

この値の前提となる条件は以下の通りです。

1)勤務先(雇用元)の保険加入者が501名以上いる
2)週の所定労働時間が20時間以上
3)月額賃金が88,000円以上(年間約106万円)
4)1年以上の勤務の見込みがある(契約更新有りの場合も含む)
5)学生ではない

例えば、大企業でパートをしていて年収110万円の場合、社会保険料は年収の15%程度なので約16万円です。その結果、手取り金額は93万ほどになります。一方、年収100万の場合、社会保険料がかからないので、丸々100万円が手取り金額です。このような、手取り金額の逆転現象が「働き損」です。

なお、従業員数500人以下の会社に勤務する場合、社会保険料負担の発生するボーダーラインは年収130万円となります。