高齢者が不動産会社や大家から賃貸物件の入居を門前で拒絶されるケースが相次いでいます。なぜそのような事態が起こるのでしょうか?大家が高齢者の入居を断る理由について解説します。
1 孤独死のリスク
高齢者が賃貸物件への入居を拒絶される大きな理由に「孤独死のリスク」があります。国交省は、「賃貸物件に入居する高齢者が孤独死しても、それが自然死なら事故物件の届け出を行う必要はない」としています。
ただ、一般的にはそのような物件は事故物件とみなされ、大家はその物件の家賃を下げざるを得ないのが現状です。
また、身寄りのない高齢者が孤独死した場合、大家は遺品整理や賃貸契約の解約などにも頭を悩ませることになります。
2 近隣トラブルのリスク
高齢者が原因となる近隣トラブルのリスクも、多くの大家が警戒します。高齢者は認知機能や感情制御機能の低下で近隣トラブルを起こしやすいからです。
高齢者の近隣トラブルで目立つのが以下の事例です。
・ささいなことでキレる
・入居物件がゴミ屋敷化する
・入居物件が悪臭の発生源になる
・認知症が原因で近隣住民に迷惑をかける
高齢者が入居すれば、以上のトラブルが多発して入居者がゼロになりかねません。そのことを懸念して高齢者の入居を拒む大家も多数います。
3 火災のリスク
高齢者による火災のリスクも大家は警戒しています。
高齢者は心身の衰えが原因で火事の原因となるミスが増えます。たとえば、「ガスコンロの火の消し忘れ」はその代表格です。
また、同じ理由で仏壇・神棚のロウソクやたばこの火の不始末も増えますが、それも火災のリスクを高める要因となります。
火災が発生すれば賃貸物件の焼失で大きな損害を被り、他の入居者への損害賠償も発生して大変な事態になります。そのリスクを避けるために高齢者の入居を拒む大家も少なくありません。