貯める&備える
2020/03/06

【FP解説】貯金からiDeCo(イデコ)に切り替えるタイミングは?

(写真=PIXTA)
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老後の資産形成のための制度「iDeCo(イデコ)」の普及が進み、街で見かけることも多くなりました。しかし、iDeCoは一度始めると老後まで資金を引き出せないなど制限もあるので、始めるタイミングに悩む人も少なくありません。そこで今回は、iDeCoのメリット・デメリットをおさらいし、いつ始めるのが良いのかについて考えていきたいと思います。

iDeCoってどういう制度?

(写真=beeboys/Shutterstock.com)

老後の資金準備を促す制度

iDeCoは老後の資金準備を促す制度です。平均寿命が長くなる中、老後の生活を公的年金だけでまかなうことは難しくなってきました。iDeCoは公的年金と別に用意する、上乗せの年金という位置づけです。

専用の口座に積み立て

iDeCoは専用の口座を用意し、老後のためにお金を積み立てていきます。老後までは積み立てたお金を運用します。運用方法は定期預金などの元本確保型の商品か、投資信託です。

節税効果で手取りが増える

積み立て時 小規模企業共済等控除 所得税・住民税が安くなる
運用中 非課税で運用 運用益に税金が掛からない
受け取り時 退職所得控除
公的年金控除
受け取り時に引かれる税金が安くなる

iDeCoには税制上の優遇措置が多くあり、節税策としても有効です。

積み立て額のすべてが「小規模企業共済等控除」として本業などの所得から引かれるので手取りが増えますし、運用中に得られた利益も非課税です。

受け取り時も、一括で受け取る場合は「退職所得控除」が、年金形式(分割)で受け取る場合は「公的年金控除」が適用され、引かれる税金が小さくなります。

積み立てた金額は60歳以降に受け取り

iDeCoに積み立てておいたお金は60歳以降に受け取ることができます。

ただし、将来受け取ることができる年齢は65歳以降になるという議論がなされています。決定事項ではありませんが、資金の拘束期間が長いという点には注意しましょう。

貯金するのとiDeCo、どっちが有利?

(写真=PIXTA)

お金を貯める手段として銀行預金、タンス預金、外貨預金などいくつか手段がありますが、ここでは銀行預金とiDecoのどちらが有利かを比較します。

貯蓄性は節税できるiDeCoに強み

銀行預金もiDeCoも貯蓄することができますが、同じ額を貯蓄した場合、節税額の差でiDeCoの方が有利になります。

また、原則老後まで解約できないお金ですから、「つい使ってしまった」という事態はありません。貯蓄性はiDeCoの方が高いといえるでしょう。

使い勝手は銀行預金の方がよい 

iDeCoの大きなデメリットは老後まで解約できないという点です。病気やケガなどで「どうしてもお金が必要!」という事態になっても解約できません。

銀行預金なら突発的な資金にも対応できます。使い勝手は銀行預金の方が優れているといえるでしょう。

iDeCoに向いている人・向いていない人

iDeCoは、20~60歳の方であれば原則誰でも加入できます。ですが、向く人と向かない人がいるのも事実です。
 
iDeCoの優先度が高い方 iDeCoの優先度が低い方
〇退職金制度がない企業にお勤めの方
〇老後資金の準備ができていない方
〇現役中に資金の準備が充分できる方
〇企業の退職後の給付が充分ある方
〇現役中の資金準備ができない方
〇所得税・住民税が発生しない方

iDeCoはリタイアまで出金できない点に注意

iDeCoは老後まで出金できないため、現役中の資金準備にはほぼ利用できない点に注意が必要です。現役中の資金準備ができない方は、まだ始めない方が良いかもしれません。

所得がない方は節税の恩恵が薄い

iDeCoの節税で手取りが増えるというメリットも、そもそも所得が無い方には関係がありません。「所得が無い」とは働いていないだけでなく、住宅ローン控除の適用やその他の節税でもともと税金が発生しないという方も含まれます。

運用中と受け取り時の税制上の優遇は利用できますが、所得が無い方の場合は「つみたてNISA」の方が向いているでしょう。運用中は非課税ですし、解約金はそもそも課税対象外です。解約も自由にできるので、緊急資金にも対応できます。

会社の企業年金加入者は規約をチェック

なお、お勤めの会社に企業年金があり、その規約上加入できない方はいらっしゃいます。企業年金がある会社にお勤めの方は、加入できるかどうか会社に聞いてみるとよいでしょう。

iDeCoはいつ始めればいい?

(写真=PIXTA)

iDeCoでは緊急資金に対応できませんので、緊急資金の準備ができてから始めることをおすすめします。緊急資金をどれくらい用意すべきか一概にはいえませんが、たとえば失業で収入がなくなってしまうケースを想定してみましょう。

失業すると「雇用保険」から失業給付がなされます。しかし、自己都合退職の場合、支給まで4ヶ月程度掛かるため、この間の生活費を用意しておかないといけません。

用意する生活費は人によって違います。2019年11月家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出の平均は約28万円でした。4ヵ月だと約112万円です。

失業給付の額は受け取っていた賃金の5~8割程度である点、また突発的な出費の可能性を考えると、ある程度余裕をもった方がよいでしょう。200万円程度が1つの目安になるでしょうか。

200万円という数字は、あくまで雇用保険と家計調査から考えた目安です。金額は人によって違いますし、日本FP協会は緊急資金を60万円としています。あくまで参考程度に考えておきましょう。

iDeCoのスタートは当面の生活費を用意してから

iDeCoは貯蓄に優れた制度ですが、老後まで解約できないデメリットに注意しましょう。特にいざという時の緊急資金の用意ができていないと生活に深刻なダメージが出る可能性があります。まずは当面の生活費を用意し、それからiDeCoを検討してみましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

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