貯める&備える
2019/02/10

銀行の「新商品販売」の舞台裏。こうしてお客様は損をする

(写真=polkadot_photo/Shutterstock.com)
(写真=polkadot_photo/Shutterstock.com)
自動車、家電、証券会社に銀行……どの業界だって同じだ。次々と新商品が投入され、その度に販促キャンペーンが実施される。新しい商品にはこれまでになかった機能が加えられ、性能も向上している。

では、金融商品はどうだろう? お客様にとって、金融機関で販売される「新商品」は本当にメリットがあるのだろうか。

そもそも銀行は商品をつくっていない

「こちらが、新しい投資信託です」新商品が導入されると、そんなセールストークで積極的に販売する銀行員がいる。そのせいか、銀行が投資信託を組成し、販売・運用していると思っているお客様は未だに多い。

あらためて説明しよう。銀行は独自で投資信託を組成し、運用しているわけではない。投資信託は運用会社でつくられ、銀行や証券会社などの「販売会社」を通じて販売されている。いわば、銀行は運用会社から投資信託を仕入れて、お客様に販売しているに過ぎない。

世の中には星の数ほどの投資信託があふれている。2016年10月末の統計では公募投資信託だけで6117本もあるのだ。しかし、銀行で取り扱える数は限られている。銀行は「どの投資信託を販売するか」を選別しなければならない。

6000本を超えると言ってもその中身は千差万別だ。かつてのグロソブのように放っておいても売れる投資信託もあれば、賞味期限切れの「腐った投資信託」もある。

商品ラインアップは銀行の顔だ。つまらない投資信託をいくら充実させたところで、百害あって一利無し。お客様の印象をかえって悪くさせるだけだ。にもかかわらず、「新商品導入」といいながらも、賞味期限切れの腐った投資信託の販売を強いられることがしばしばある。

新車のディラーから知らないうちに「ボロボロの中古車」を売りつけられることはあり得ないが、投資信託においてはごく普通にある話なのだ。設定から相当の年数が経った投資信託で、徐々に純資産残高が減りつつあるものを、次々と導入して売りつける……そんなことが平然と行なわれている。

腐った投資信託の販売を指示しているのは誰か?

「この投資信託、役員の肝いりで導入したんだから絶対に売らないといけない。何が何でも売るんだ!」現場にそんな檄が飛ぶ。

ところが、そういう投資信託に限って売れ行きは芳しくない。

「なぜ、この投資信託が売れないんだ。支店の販売姿勢に問題があるんじゃないのか?」と支店長が本部から叱責されることも珍しくない。こうした光景を見るにつけ、馬鹿馬鹿しさで反吐が出そうになる。売れる投資信託には理由がある。売れない投資信託にも理由がある。

「なぜ、売れないんだ」その答えは簡単だ。「商品に魅力がないからです」誰もが声を大にしてそう答えたいのだが、いかんせん宮仕えの身ではそうはいかない。「支店の総力をあげて販売に注力します」そう答えた支店長は部下に腐った投資信託の販売強化を指示する。そのようにして「負の連鎖」が始まるのだ。

「新しい投資信託を導入したので、お付き合いください」そんな無茶苦茶な販売が現場で行われることになる。

なぜ、そんな腐った投資信託が銀行に導入されることになるのか? 末端の行員には分からない。が、おおよそのところは想像がつく。四季報で銀行の大株主を調べると、保険会社などの金融機関が大株主に名を連ねている。当然、ここからの圧力(表向きにはそんなことは口にできない)があることは小学生だって察しがつくだろう。

ほかにも接待攻勢もあるかも知れない。運用会社や大株主の保険会社から接待された銀行の役員や担当部署の責任者が、商品の善し悪しなどまったく分からないまま、導入を決めてしまうこともあるのかも知れない。私としてはそんなことはないと信じたいのだが、ごく普通に社会生活を営んでいる人間なら、そういうことがあっても不思議ではないと察しがつく。

このように、銀行の金融商品販売の現場では「なぜこんな腐った投資信託を今さら導入するのか理解できない」ということがしばしばある。導入を決定した担当部署や役員の「IQ」がよほど低いのか、オトナの事情があるのか。そうでなければ説明がつかないのだ。
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