(本記事は、大江加代氏の著書『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』、ソシム社、年月日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『知識ゼロからはじめるiDeCoの入門書』シリーズ】
(1)iDeCoは最強の「じぶん専用年金」
(2)iDeCoがもたらす3つの「税金のメリット」
(3)なぜiDeCoの運営コスト面で気にすべきなのは運用管理費なのか?

※以下、書籍より抜粋

運営管理機関選び1 運営管理機関は慎重に決定する

iDeCoを始めるにあたって、最初にやらなければならないことは「運営管理機関」を1つだけ選ぶことです。

iDeCoはいろいろな税の恩恵がある制度で、その管理もあって1つの運営管理機関としか契約できません。

60歳、そして60歳以降も受け取りを終えるまでずっとつき合うことになります。そのため、運営管理機関は慎重に検討する必要がありますが、ほかにも2つの理由で見極めが重要です。(※数字は書籍発表時)

運営管理機関でサービスや価格が異なる

例えば家電製品を買う場合、多少の好みの違いはあっても大手電機メーカーの製品であればどれを買ってもそれほど極端な違いはありません。

ところが、iDeCoの場合はどこの運営管理機関を選ぶかによってサービスや商品ラインナップ、費用に大きな差が出てきます。長い期間、利用するため、どこの運営管理機関を選ぶかはとても重要です。

運営管理機関を簡単には変更できない

自分が選んだ運営管理機関を、ほかの運営管理機関に変えることは可能です。ところがこの運営管理機関の変更は、思いのほかハードルが高いのです。

まず、保有している金融商品を売却してすべていったん現金化しないといけません。また、変更の手続きにはだいたい2~3カ月という長い時間がかかります。

その間は運用ができず、収益機会を失ってしまうことも起こります。

以上の理由から、運営管理機関を選ぶ際は、宣伝文句に釣られたり、あせって選んだりするのではなく、できるだけ慎重に考えるようにしましょう。

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運営管理機関選びの相談に乗ってくれるところはないの?

運営管理機関の比較サイトなどを見て、自分で研究するのも1つの方法ですが、やっぱり誰かに相談したいという場合は、有料相談を行っているファイナンシャルプランナー(FP)を活用してみましょう。 

その際は、金融機関からコミッションをもらわず、中立的な立場でアドバイスをしてくれるかどうか確認することが大切です。

運営管理機関選び2 まず商品ラインナップをチェックする

商品ラインナップを確認する

運営管理機関選びの1つ目のポイントは、運用商品のラインナップです。

iDeCoは非常に長い期間にわたって資産運用する制度ですから、その間には様々な市場の変化が起こります。しかし、変化に対応してその都度こまめにお金を動かすというのはとても難しいことですし、そんな必要はありません。

適切に分散投資をしておくことがiDeCoでは重要なのです。

分散投資できる商品ラインナップか?

分散投資といっても、単に複数の資産に分けておけばよいというわけではありません。

必要なのは、値動きの性質の異なる商品に資産を分散しておくことなのです。国内の株式・債券、外国の株式・債券といった基本的な商品ラインナップがそろえられて いることを必ず確認してください。

例えば、定期預金や保険商品のような元本が安全なタイプの商品(元本確保型)と、投資信託のようなリスクはともなうものの大きな収益が得られることもある価格が変動するタイプの商品を合計して10~15本くらいが1つの目安といえます。

逆に1つのジャンルに偏っているようなところは選ばないほうが賢明です。

また、たくさんの商品があるとバラエティに富んでいてよいような気がしますが、あまりにも多すぎると、いざ商品を決めるときにどれにしようか迷ってしまいます。

さらに、運用商品のコストが高いものが混じっていることも多いので注意が必要です。

商品の種類がたくさんあるほうが選択肢が多くてよいのでは?
投資経験が豊富な人にとってはそうかもしれません。

でも運用がはじめての人の場合、商品の特性や比較のポイントもわかりません。そのうえ、人は商品数が多いと迷ってしまって選べないということが行動経済学における実験で実証されています。

必要なカテゴリーがそろっていれば本数は多すぎないほうがよく、むしろ選びやすいと考えましょう。

運用管理機関選び3 運用商品のコストに注意する

投資信託のコストを確認する

運営管理機関選びの2つ目のポイントは、運用商品のコストです。

iDeCoの運用で中心になるのは投資信託なので、特にここに注目しましょう。

具体的にいうと投資信託の運用管理費用(信託報酬)といわれる運用の手数料が重要です。

投資対象とタイプ(「パッシブ 型」「アクティブ型」)によって、運用にかかる費用は異なりますが、まったく同じような商品であるにもかかわらず、運用管理費用が3倍も4倍も違うものがあります。

したがって、その運営管理機関が提供している商品の運用管理費用は、1つひとつ丁寧に調べて比較することを忘れないでください。

保険商品のコストにも要注意

また、投資信託以外でもコストで注意しておかなければならないのが保険商品です。

元本確保型商品といわれている保険商品ですが、満期前に解約すると「解約控除」という手数料が引かれ、場合によっては元本を割ることもあります。

ただし、商品によっては手数料を引かれても元本割れしないものもありますので、個別によく調べておくことが必要です。

なお、同じ元本確保型でも定期預金の場合は満期前に解約しても元本を割ることはありません。

iDeCoは長期にわたって運用するため、コストの差が無視できません。運用商品のコストは運営管理機関を選ぶうえで重要な点の1つといえます。

運用管理機関選び4 加入者向けサービスを確認する

加入者向けサービスを確認する

運営管理機関選びの3つ目のポイントは、加入者向けのサービスです。その中心となるのは加入者向けのウェブサイトとコールセンターです。

現在、多くの金融機関でiDeCoを取り扱っていますが、店舗の窓口で相談できるところはごく少数です。

ほとんどがウェブサイトで内容を調べて取引し、問い合わせはコールセンターに電話をかけて聞くのが一般的です。

60歳以降の受け取り完了までサポートしてくれるのはこの2つ。つまり、これらがどれくらい充実しているかが重要です。

ウェブサイトのチェックポイント

ウェブサイトは見やすさと使いやすさが重要です。

iDeCoの場合は、それほど頻繁に売買することがありません。

仮に運用する商品を入れ替えるために注文を出しても通常の証券売買に比べてかなり時間がかかりますので、ネット証券のような注文しやすさなどはそれほど重視する必要がありません。

むしろ残高の見やすさ、「よくある質問(Q&A)」のわかりやすさ、シミュレーション機能の充実度などで優劣を判断するとよいでしょう。

なお、NPO法人確定拠出年金教育協会が運営する「iDeCoナビ」では、各運営管理機関のウェブサービスを評価し、星で表示しているので、選ぶ際の参考にしてください。

コールセンターのチェックポイント

コールセンターは、営業時間を真っ先に調べてください。

実際のところ、平日夜や土日は営業していない運営管理機関が半数以上あります。

しかし、困ったときに助けてもらうのがコールセンターです。特にフルタイムで働いている人にとって、仕事後や週末に対応してくれるかは重要です。

次に説明のわかりやすさとレスポンスの早さもチェックするべきポイントです。実際に加入する前にいくつかのコールセンターに電話をしてみると、対応力の違いに気づくと思います。

これらに強みのある運営管理機関はそれを対外的にアピールするため、外部機関であるヘルプデスク協会で格付けを取得しているので、それも参考にしてください。

ヘルプデスク協会の格付け
ヘルプデスク協会(HDI)は、ITサポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体です。1989年にアメリカに設立され、最新の業界情報や関連専門書籍、調査レポート、国際スタンダードに基づく国際認定とトレーニングコースなどを提供しています。

運用管理機関選び5 口座管理料よりも運用管理費用に注目する

口座管理料を確認する

運営管理機関選びの4つ目のポイントは、口座管理料と運用管理費用です。

iDeCoは毎月一定の口座管理料がかかります。少ないところで年間2千円程度、高いところだと7千円を超す運営管理機関もあります。

比較がしやすいため、どうもこの「口座管理料」の部分だけで良し悪しを決めているような場合が多いのですが、残高が大きくなると口座管理料についてはそれほど気にする必要はありません。

なぜなら、口座管理料というのは資産額がいくら増えても一定で変わらないからです。

ちなみに、よく「当社は口座管理料が無料です」とうたっている場合があります。

ただし、この場合の無料とはあくまでも運営管理機関の分の口座管理料であり、制度全体の運営主体である「国民年金基金連合会」などの分は無料になりません。利用者本人の負担が完全に無料ということではありませんので注意しましょう。

運用管理費用を考慮する

これに対して、運用管理費用は最重要項目と言っても過言ではありません。

運用管理費用は資産額に対して何%という計算ですから積み立てて資産が増えるにしたがって、負担する額も増えていきます。コストの面でより気にすべきなのは、運用管理費用だということを肝に銘じておいてください。

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

著作者:大江加代
確定拠出年金アナリスト、オフィス・リベルタス取締役、年金学会会員。野村證券に22年間勤務。株式会社オフィス・リベルタスの取締役を務める。ウェブサイト「iDeCoナビ」をNPO法人確定拠出年金教育協会の理事として立ち上げる

監修:大江英樹
経済コラムニスト。大手証券会社で定年まで勤めた後に独立。シニアライフ、行動経済学、確定拠出年金、資産運用等をテーマとして執筆や講演活動を行っている。厚生労働省社会保障審議会企業年金部会の「確定拠出年金の運用に関する専門委員会」の委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 

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