ふるさと納税は、お得な制度といわれています。しかし「制度自体をあまりよく分かっていない」「年収が低くて納める税金が少ない」といった理由で利用していない方も多いのではないでしょうか。
ふるさと納税は、年収200万円程度といった方でも家族構成によってはメリットがあります。今回は、ふるさと納税の制度の仕組みから具体的な寄附金額の上限まで詳しく紹介します。
- ふるさと納税は都道府県や市区町村への「寄附」のこと
- 寄附金の控除やお礼の品がもらえる一方、節税にならないデメリットも
- 家族構成ごとにふるさと納税の上限額が異なる
- 独身と「共働きで子どもが中学生以下」の世帯なら年収200万円でもふるさと納税の恩恵を受けられる
- 年収200万円でおすすめの返礼品は海産物やお米、フルーツなどの特産品
- ワンストップ特例制度の活用で寄附金控除が受けられるケースも
ふるさと納税とは?
ふるさと納税について「なんとなくお得な制度」と認識している方は多いのではないでしょうか。しかし、ふるさと納税制度の誕生した目的や仕組みについてまで理解している方は少ないかもしれません。
そこでここでは、ふるさと納税の目的や仕組みになどの概要について解説します。
ふるさと納税の目的は?
現在都心など、生まれ故郷以外の場所に住んでいる方が自分のふるさとへ自分の意志で納税できる制度として生まれたのが「ふるさと納税」です。
今は都心に住んでいても「出身は地方」という方も多いのではないでしょうか。地方で生まれ育ったということは、当時地方の自治体の行政サービス(地方税)を受けて育ったということになります。
しかし地方から都心に来た人が働いて収入を得た場合、その収入にかかる税金の納付は現在住んでいる都心の自治体です。都心には、税金が入るものの子どものころにさまざまなサービスを提供してくれた地方の自治体には税収が入りません。
そういった際に活用できるのがふるさと納税です。現在は、さまざまな議論を経て自分のふるさとだけでなく応援したい地域や自分が好きな自治体に対しても制度を利用できます。
ふるさと納税の仕組みは?
ふるさと納税には「納税」という言葉がついていますが、実際は都道府県や市区町村への「寄附」のことを指します。寄附を行うと寄附金額の一部が税金(所得税と住民税)から控除されるのが一般的です。ふるさと納税の場合、原則として2,000円を超える部分の全額が控除の対象となります。
「控除」というと難しく感じる方もいるかもしれませんが、意味は「差し引く」ということです。つまり寄附した金額の2,000円を超える部分が本来納めるべき税金から差し引かれることになります。
ただし寄附すればするだけ税金から差し引かれるのではありません。全額控除できる寄附金額には、収入や家族構成によって一定の上限があります。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税は、収入が多くて税金をたくさん払っている人でないとメリットがないと思いこんでいる人も少なくありません。しかし実際は、年収200万円であってもメリットを享受できます。
ここでは、ふるさと納税のメリットを3つ確認していきましょう。
- 寄附金が控除(還付)される
- お礼の品(返戻品)がもらえる
- 寄附金の使い道を指定できる
ふるさと納税のメリット:寄附金が控除(還付)される
ふるさと納税で寄附を行うと合計寄附額から2,000円を引いた額について所得税の還付と住民税の控除を受けることができます。「還元」と「控除」はどちらも税金から差し引かれるという意味です。
所得税は、本年中の収入によって本年度の税金を納めるのに対し、住民税は本年中の収入に応じて翌年に税金を納めます。そのためすでに払っている所得税に対しては還付(お金が戻り)、まだ払っていない住民税に対しては翌年度の分から控除(差し引かれる)という仕組みです。
ふるさと納税は、所得税と住民税のどちらに対しても控除が受けられます。しかし特にメリットが大きいのが住民税の控除です。例えば年収200万円の人が1万円のふるさと納税を行った場合、還付される所得税が400円なのに対し控除される住民税は7,600円程度です。
なお年収や家族構成ごとの上限額は後述しています。
ふるさと納税のメリット:お礼の品(返戻品)がもらえる
ふるさと納税の大きな魅力の一つが、納税をした見返りに地域の名産品がもらえることです。ふるさと納税は、前述の通り地域のふるさとへの寄附となるため、多くの自治体がその寄附への感謝として地域の名産品などを「お礼の品」として届けています。
寄附した人と自治体は、それぞれに以下のようなメリットがあります。
- 寄附した人:自分の好きな自治体へ寄附をしてお礼の品としてさまざまな地域の名産品をもらえる
- 自治体:お礼の品を通して地域の名産品や産業を多くの人に知ってもらったり財源を期待できたりする
ふるさと納税のメリット:寄附金の使い道を指定できる
せっかくふるさとや応援したい地域に納税をするのですから「税金を有意義に使って欲しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
通常所得税や住民税は、自分で税金の使い道を決めることはできません。しかしふるさと納税の寄附金の場合、自治体によっては使い道を寄附した本人が選択できるケースもあります。
そのため返礼品だけではなく寄附金の使い道の観点から寄附する自治体を選ぶことも可能です。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
ふるさと納税のデメリット・注意点
ふるさと納税は、メリットがたくさんある制度ですがデメリットもあります。ただしこれらのデメリットは「そもそもどんな制度か仕組みをよく理解していなかった」といった原因で起こるものが多い傾向です。
そのためこれから紹介するデメリットをしっかりと押さえておけばよりお得にふるさと納税を利用できるでしょう。
- 節税にはならない
- 税金控除のために申請が必要
- 控除限度額を超えると自己負担になる
ふるさと納税のデメリット:節税にはならない
「ふるさと納税は節税になる」という記事を見かけますが、厳密にいうとふるさと納税は節税にはなりません。例えばふるさと納税で1万円を寄附したケースを考えてみましょう。
納税先 | 通常 | ふるさと納税制度の利用 |
---|---|---|
ふるさと(地方)への納税 | なし | 1万円の寄附 |
住居地(都会)への納税 | 所得税+住民税 | 所得税+住民税-8,000円* |
表1を見て分かるように自分が住んでいる自治体へ納める税金は、8,000円(寄附金1万円-2,000円)減額となるため、一見節税になっているように感じるかもしれません。しかしふるさと(地方)へ1万円は寄附という形で税金を払うため、トータルとして税金は減っていないのです。
むしろふるさと納税をしない場合と比較して2,000円納付する税金が増えていることが分かります。翌年の住民税が軽減されるため、節税といわれることが多いですが実際は節税ではなく「税金の前払い」というほうが正しいでしょう。
2,000円余計に納税した場合でも3,000円分の返礼品をもらえるのであれば実質1,000円分は得したことになります。寄附金額が大きくなればなるほど一般的に返礼品の価値も高くなる傾向です。
つまり実質2,000円余分にお金を払うことになる点はデメリットですがそれ以上の返礼品が期待できる場合は、トータルで見ればお得になるというわけです。そのため実際に税金を安くして手取りを増やすような「節税効果はない」という点はしっかりと理解しておきましょう。
ふるさと納税のデメリット:税金控除のために申請が必要
ふるさと納税を行い所得税・住民税の控除を受ける場合は、原則として確定申告を行うことが必要です。しかし普段確定申告をする機会が少ない給与所得者の方にとっては、確定申告が面倒に感じてしまう方も多いかもしれません。
そこで活用したいのが2015年4月からスタートした「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。本来確定申告の必要がない給与所得者については、ふるさと納税を行う際にあらかじめ申請することで確定申告が不要になります。(ワンストップ特例制度の詳細は、後述)
確定申告を忘れてしまうと所得税の還付も住民税の税額控除も適用されないため、「寄附金で別の自治体へ納税したにもかかわらず自分が住んでいる自治体へも住民税も払う」といったことになるため、注意が必要です。
ふるさと納税のデメリット:控除限度額を超えると自己負担になる
控除限度額(※)を超える寄附をした場合、超過分は税金から差し引かれないため、自己負担になる点は、注意が必要です。ふるさと納税は、2,000円を超える部分が税金から還付・控除されます。そのため「できるだけ大きい金額を寄附したほうが得になる」と思う方もいるかもしれません。
しかし控除限度額は、年収や家族構成、医療費控除など控除の有無によって大きく変わるため、たとえ年収が一緒の人でも同じ金額が上限となるわけではないのです。
また税金が少ない場合は、それ以上の還付や控除を受けることはできません。例えば税金を2万円しか払う予定がないのに100万円のふるさと納税をしても当然控除限度額を超えた寄附分は控除されないため、自己負担となってしまいます。
さらに扶養家族がいると控除額が増えるため、課税所得が減り税金が少なくなりますが、税金が少なくなるということは、控除限度額も下がってしまうという相関性があることもしっかりと押さえておくことが大切です。
いずれにしても人によって控除限度額は異なるため、必ず自分の年収や家族構成を踏まえて正しいシミュレーションをしておくことが重要となります。
※2,000円を超える部分が全額還付・控除される金額の上限をこの記事では「控除限度額」と呼称
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
ふるさと納税による控除・還付額はどれぐらい?
これまでふるさと納税の控除限度額以上の部分は、自己負担かつ控除限度額は収入や家族構成によって変わると紹介してきました。ここからは、具体的に収入・家族構成ごとの控除限度額を紹介します。
家族構成によりふるさと納税の控除限度額は異なる
以下の表2は、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税と住民税から控除されるふるさと納税額の目安の一覧です。年間の給与収入が175万~350万円の方の家族構成別で表にしているため、参考にしてみてください。なお表2での子どもは、ふるさと納税を行う人の扶養家族である場合です。
ふるさと納税を 行う本人の 給与収入 |
独身または 共働き |
共働き | 夫婦(一方が控除対象配偶者) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
子1人 (高校生) |
子1人 (大学生) |
子2人 (大学生と 高校生) |
子なし または 中学生以下 |
子1人 (高校生) |
子2人 (大学生と 高校生) |
||
175万円 | 1万2,000円 | 3,000円 | - | - | 3,00円 | - | - |
200万円 | 1万5,000円 | 6,000円 | 3,000円 | - | 6,00円 | - | - |
225万円 | 1万8,000円 | 1万円 | 5,000円 | - | 1万円 | - | - |
250万円 | 2万1,000円 | 1万3,000円 | 9,000円 | - | 1万3,000円 | 5,000円 | - |
275万円 | 2万4,000円 | 1万6,000円 | 1万2,000円 | 4,000円 | 1万6,000円 | 8,000円 | - |
300万円 | 2万8,000円 | 1万9,000円 | 1万5,000円 | 7,000円 | 1万9,000円 | 1万1,000円 | - |
325万円 | 3万1,000円 | 2万3,000円 | 1万8,000円 | 1万円 | 2万3,000円 | 1万4,000円 | 3,000円 |
350万円 | 3万4,000円 | 2万6,000円 | 2万2,000円 | 1万3,000円 | 2万6,000円 | 1万8,000円 | 5,000円 |
高校生以上の子どもがいる家庭は、扶養控除が受けられ税金が軽減されているため、ふるさと納税の控除限度額が低くなる傾向です。大学生の子どもは「特定扶養親族」といわれ高校生よりさらに多くの控除が受けられるため、控除限度額がより一層少なくなっています。
上の表からふるさと納税によって最もメリットを受けることができるのは、「独身」「共働きで子どもが中学生以下」の世帯ということが分かります。
医療費控除による、ふるさと納税の控除上限額への影響
給与所得者の場合、自分で節税する機会はそれほど多くありません。しかし例えば医療費が多くかかった年などは、自分で確定申告して医療費控除を受けようとする人もいるでしょう。
ふるさと納税は、所得税と住民税から控除を受けられる制度でしたが医療費控除とふるさと納税は両方利用することでさらに控除の額を大きくすることができます。
上述しましたが「還付・控除」とは、そもそも納めた税金・これから納める税金から差し引かれるものとなるため、所得税と住民税が減額されると、ふるさと納税で還付・控除される税金も少なくなる相関関係があるのです。
また医療費控除は、「年間の医療費が10万円を超えたときに利用できる」と思っている人も少なくありません。しかし正確には、所得によって内容が異なります。例えば総所得金額が200万円未満の場合は、所得の5%を超えた部分について適用されることです。
詳しい計算は省略しますが例えば独身で年収200万円の場合、給与所得は132万円となります。所得が200万円未満となるため、医療費控除で適用される金額は、「132万円×医療費5%」で算出され6万6,000円を超えた部分が対象です。
意外と併用できる人も多いのでふるさと納税を利用する際は「自分が医療費控除を利用できるのか」「どのぐらい控除されるのか」についてしっかりと確認しておきましょう。
具体的に医療費控除を利用するとふるさと納税の控除限度額がどれくらい変わるのかは、後に紹介するシミュレーションサイトなどで調べると分かりやすいです。
年収200万円の場合、ふるさと納税の控除上限額は?
もともと納める税金が少ない場合は、ふるさと納税で控除される税金の額も少なくなり大きなメリットを受けることができません。ここでは、どのような家族構成であればメリットを受けることができるのか年収200万円の人を例に詳しくご紹介します。
ふるさと納税の控除限度額【パターン1.年収200万円の独身の場合】
独身で医療費控除や住宅ローン控除など他に所得税や住民税が軽減される制度を利用しない方の場合、控除限度額は約1万5,000円です。つまりふるさと納税で1万5,000円寄附すると所得税と住民税合わせて1万3,000円が還付・控除されます。
1万5,000円の寄附ですから返礼品が3割の場合、最大4,500円程度の地元の名産品などを受け取ることが可能です。この場合は、返礼品が自己負担額の2,000円となるため、ふるさと納税のメリットはあるといえるでしょう。
ふるさと納税の控除限度額【パターン2.共働き夫婦(妻が年収200万円)の場合】
例えば夫が会社員で年収500万円、妻が短時間勤務で給与収入が200万円の場合、妻のふるさと納税の控除限度額は独身の人と同じ1万5,000円になります。これは、夫が妻の扶養家族ではないため、妻としては所得控除を受けるわけではないからです。
ふるさと納税の控除限度額【パターン3.共働き夫婦(妻が年収200万円、子どもは夫の扶養)の場合】
パターン2のような共働き夫婦に子どもがいる場合、子どもは夫の扶養となっていることが多いでしょう。このケースでは、妻に新たな扶養控除(所得控除)が適用されることがないため、ふるさと納税の控除限度額は 1万5,000円と変わりません。
特にこのパターンの家庭では、家計のやりくりを意識してされていることが多い傾向です。しかし控除限度額が1万5,000円であれば返礼品の選択肢も多いため、ふるさと納税を上手に活用する価値はあるのではないでしょうか。
ふるさと納税の控除限度額【パターン4.共働き夫婦(妻が年収200万円、子どもは妻の扶養)の場合】
パターン3で紹介したように共働きの夫婦に子どもがいる場合、多くの家庭では収入の多いほうの扶養に入っているのではないでしょうか。しかし家庭の理由から子どもが(収入が少ないほう)の扶養となっているときは、ふるさと納税の控除限度額が変わってくるので注意が必要です。
ここでは、年収200万円の妻の控除限度額が子どもが1人と2人、また子どもの年齢によってどのぐらい変わってくるのかを詳しくご紹介します。
1人目 | ||||
---|---|---|---|---|
中学生以下 | 高校生 | 大学生 | ||
2人目 | いない(子ども1人) | 1万5,000円 | 6,000円 | 3,000円 |
中学生以下 | 1万5,000円 | 6,000円 | 3,000円 | |
高校生 | × | - | - | |
大学生 | × | × | - |
子どもの人数にかかわらず中学生以下であれば、ふるさと納税のメリットは独身の方と同じぐらい受けられます。子どもが1人でも高校生を超えると控除限度額は 6,000円に下がり2人とも高校生以上になるとふるさと納税をしても還付・控除は受けられません。
ふるさと納税の控除限度額【パターン5.シングルマザーの場合】
さまざまな理由がありシングルマザーとして子どもを育てている人は、たくさんいます。この場合、子どもが中学生以下なら独身と同じになると思うかもしれません。しかしシングルマザーで合計所得が500万円以下の場合、別に「ひとり親控除」(35万円)という所得控除を受けることも可能です。
もともと納めている税金が少ないため、その分ふるさと納税の控除限度額も低くなります。ひとり親控除は、子どもがいる人が利用できる扶養控除と併用できるので、シングルマザーの控除限度額は表4のようになります。
子どもの年齢 | 中学生以下 | 高校生以上 |
---|---|---|
控除限度額 | 7,000円 | - |
ふるさと納税の控除限度額【パターン6.夫に先立たれた妻の場合】
子どもはいないものの夫に先立たれその後結婚していない女性も独身の人とは納める税金が異なります。なぜならこのような状況の女性は「寡婦控除」(27万円)という所得控除が受けられるからです。この場合、ふるさと納税の控除限度額は9,000円になります。
しかし死別の場合は、扶養親族の条件はありません。なお子どもがいる場合は寡婦控除ではなくパターン5の「ひとり親控除」を受けることが可能です。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
年収200万円でふるさと納税する場合におすすめの返礼品は?
同じ年収200万円でも家族構成によって控除上限額は変わります。ここでは、以下の2パターンについておすすめの返礼品をご紹介します。
- 独身や扶養家族がいない控除限度額1万5,000円のパターン
- 扶養家族がいる場合、またシングルマザーや寡婦などで他の控除が受けられる控除限度額6,000~9,000円のパターン
ふるさと納税のおすすめ返礼品:控除限度額1万5,000円の場合
独身の方や夫婦のみの家庭の場合、普段あまり訪れないような土地で少し高級な食材を選んでみてはいかがでしょうか。ふるさと納税に1万5,000円寄附すると最大3割の4,500円相当の返礼品を受け取ることが可能です。しかしなかには「これが3割相当?」と驚くような名産品もあります。
自治体 | 返礼品 | 寄附金額 |
---|---|---|
北海道別海町 | 北海道野付産地 特大ほたて貝柱1キログラム(冷凍) |
1万5,000円 |
宮崎県都城市 | 都城産豚「高城の里」3.6キログラム | 1万5,000円以上 |
大分県杵築市 | 大分郷土料理 「りゅうきゅう」4種×2食セット |
1万5,000円以上 |
家族がいて家計の足しにしたい方であれば以下のような日常の生活の中で必ず消費するものもおすすめです。
自治体 | 返礼品 | 寄附金額 |
---|---|---|
千葉県大網白里市 | コシヒカリ5キログラム×2袋 | 1万4,000円 |
沖縄県南風原町 | オリオンビール ザ・ドラフト (350ミリリットル×24缶) |
1万5,700円以上 |
ふるさと納税のおすすめ返礼品:控除限度額6,000~9,000円の場合
扶養家族がいる人は、扶養控除を受けることができる分、控除限度額が低くなります。ふるさと納税で6,000~9,000円の寄附となると選べる自治体は、あまり多くありませんがそれでも魅力的な返礼品はあります。
まず1万円未満で人気なのがフルーツ類です。
自治体 | 返礼品 | 寄附金額 |
---|---|---|
和歌山県有田市 | 有田みかん「風のしるし」10キログラム | 8,000円以上 |
高知県宿毛市 | ハッピーフルーツ果樹園の 土佐文旦5キログラム |
6,000円 |
熊本県玉東町 | 坂田農園の家庭用みかん10キログラム | 6,000円以上 |
また2021年時点では、新型コロナウィルスによる消費の落ち込みにより生産者を応援するために割安になっている返礼品もあります。
自治体 | 返礼品 | 寄附金額 |
---|---|---|
兵庫県洲本市 | 淡路牛切り落とし900グラム | 7,500円以上 |
高知県田野町 | 高知鰹のタタキ1.5キログラム | 8,000円以上 |
年収200万円未満でもふるさと納税をする意味はある?
年収200万円未満で独身の場合、扶養控除などの所得控除を受けられない人でも収入が少なくなってくるため、控除限度額は少なくなってきます。控除限度額が少なくなると選択できる返礼品も少なくなる点はデメリットです。
例えば寄附金額が5,000円以下だと返礼品が発生しないケースも少なくありません。さらに年収が低くそもそも所得税や住民税がかからないケースでは、控除される税金自体がないことになります。
ふるさと納税には、申請などの手間がかかるため、これらのことをトータルで考慮するとふるさと納税をしてメリットがあるとはいえないかもしれません。
年収200万円で返礼品が発生しないケース
寄附金額が5,000円以下だと返礼品がない場合もあります。この場合、自治体は「新型コロナ感染症対策のための資金」などに使用するなど使途を明確にしていることが多いため、純粋にその地域を応援するための寄附になります。
年収200万円でそもそも税金が発生しないケース
年収が少なくなるともともと納める所得税や住民税も少ないため、控除される税金がないケースもあるでしょう。特に独身の人でも上述した医療費控除のほか生命保険や個人年金保険に加入することによって受けられる「生命保険料控除」などで控除があり税金がかからない人もいます。
夫婦共働きの人であればこれらに加え、住宅ローン控除の有無なども確認しましょう。今は夫婦で按分してローンを組んでいる人も増えているはずです。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
ふるさと納税を始める手順
では、実際にふるさと納税を始めるには具体的にどうすればいいのでしょうか。ここでは手順についてご紹介します。
-
寄附金額の上限(控除限度額)を調べる
-
寄附する自治体と返礼品を決める
-
自治体に寄附を申し込む
-
返礼品と寄附金受領証明書を受け取る
-
寄附金控除の手続きを行う
ふるさと納税を始める手順1.寄附金額の上限(控除限度額)を調べる
ふるさと納税をする前に「どれくらいの寄附までなら2,000円を除いた金額が税金から控除されるのか」を確認しておきましょう。控除限度額の確認は、ふるさと納税のシミュレーションサイトや総務省が提供する寄附金額シミュレーションのエクセル表などを利用すると便利です。
手もとに「源泉徴収票」または「確定申告書の控え」を準備しておきましょう。
- 総務省「寄附金控除額の計算シミュレーション(エクセルファイル)
- ふるさとチョイスの控除上限額シミュレーションサイト
ふるさと納税を始める手順2.寄附する自治体と返礼品を決める
お世話になったふるさとや応援したい地域、またはもらいたい返礼品などから自分が寄附したい自治体を決めましょう。
ふるさと納税を始める手順3.自治体に寄附を申し込む
選んだ自治体にふるさと納税を行います。このとき「ふるさと納税ワンストップ特例」 の利用を考えている人は「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出します。ワンストップ特例についての詳細は後述します。
具体的なふるさと納税の申込方法や納付方法については、自治体ごとに異なるため、ふるさと納税を行う自治体のホームページで確認するか、直接自治体に問い合わせましょう。
また返礼品から自治体を選んで申し込む場合「楽天ふるさと納税」「ふるさとチョイス」などさまざまな自治体のふるさと納税を取り扱っている「ふるさと納税サイト」などを利用して申し込むのも便利です。
ふるさと納税を始める手順4.返礼品と寄附金受領証明書を受け取る
自治体から寄附のお礼として「返礼品」と確定申告に必要な寄附を証明する書類となる「寄附金受領証明書」が届くので大切に保管しておきましょう。
ふるさと納税専用の振込用紙や自治体から発行される納入通知書(納付書)でふるさと納税を行った場合は、払込票控え(振込用紙の半券)が確定申告を行う際の寄附を証明する書類になることがあります。
ふるさと納税を始める手順5.寄附金控除の手続きを行う
税金の控除を受けるためには、「確定申告」や「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の申請手続きが必要になります。もともと確定申告をしなくていい人で寄附先の自治体が年間5つまでなら「ワンストップ特例制度」がおすすめです。
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度とは、簡単にいえばふるさと納税した後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる便利な制度です。ふるさと納税をするときに「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を自治体に提出すれば、控除限度額内で寄附したうち2,000円を引いた金額が翌年の住民税から全額控除されます。
確定申告とワンストップ特例制度の違いは、以下の通りです。
- 確定申告:ふるさと納税を行った年の所得税とその翌年の住民税から控除される
- ワンストップ特例制度:所得税の控除は行われずその分を含めた控除額の全額が翌年の住民税から控除される
つまりワンストップ特例制度を利用した場合、その年の所得税の還付はありません。しかしその分は結局翌年の住民税から控除されるため、確定申告と比べてどちらが得ということはなくどちらも同じだけ控除が受けられます。
ワンストップ特例申請の流れ
ワンストップ特例申請を利用するには、自治体に寄附する際に「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出することが必要です。この申請書は、ふるさと納税サイトを利用した場合、サイトからダウンロードできます。
またふるさと納税をした自治体から送られてくる寄附金受領証明書と一緒に届く場合もあります。自治体によって申し込み手続きや申請書が異なるケースがあるため、ふるさと納税の自治体に問い合わせてみてください。
申請書を提出すれば手続きは終わりで控除分が翌年の住民税から差し引かれます。もし引越しによる住所変更など提出済みの申請書の内容に変更があった場合は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までにふるさと納税先の自治体に変更届出書を提出しましょう。
- ワンストップ特例の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)
- マイナンバーカード
- 申請者本人を確認できる書類
ワンストップ特例の利用がOKな人
ワンストップ特例制度を利用するには以下の3つの条件すべてを満たす必要があります。
<条件1>もともと確定申告しなくて良い会社員など
給与所得者の方などは、普段確定申告をする機会が少ないでしょう。なぜなら代わりに会社が税務署へ申告を行っているからです。このようにもともと確定申告する必要のない給与所得者はワンストップ特例制度を利用できます。
逆に給与所得者でも確定申告が必要な人、例えば年収2,000万円を超えている人や医療費控除などを申告する人は、確定申告で寄附金控除を申請することが必要です。
<条件2>1年間の寄附先の自治体が5つ以内
1~12月までの1年間に寄附をした自治体が5つ以内でないと利用できません。5回ではなく5つの自治体以内です。例えば同じ自治体に3回寄附しても寄附先の自治体は1つとカウントされます。
<条件3>申し込みの都度申請書を提出する
ふるさと納税の都度、申請書を提出する必要があります。同じ自治体に複数回寄附する際は、1回ごとに申請書を提出しなくてはいけません。これは、複数回同じ自治体に寄附しても1つとカウントされる条件2とは異なる点なので注意しましょう。
確定申告が必要な人
上記のワンストップ特例でOKな人の条件3つのうち1つでも満たさない項目があれば確定申告が必要です。ここでは、特に気をつけたいケースをご紹介します。
<ケース1>給与所得者でも医療費控除などで確定申告が必要な人
事業所得や不動産所得で生計を立てている方は、もともと確定申告を行っているので分かりやすいでしょう。しかし給与所得だけの方は、必要なときだけ確定申告をしているはずです。この「たまたま確定申告をしなければいけない年」は、ふるさと納税に関しても確定申告で寄附金控除を申請します。
具体的には、以下のようなケースでは確定申告が必要です。
・医療費が高額になり医療費控除を申告する
・住宅を購入し翌年に住宅ローン控除を申告する
・給与所得でも2ヵ所以上の会社から一定の所得があるなど
<ケース2>1~12月までの間に6つ以上の自治体に寄附をした方
ふるさと納税の自治体の数は、1~12月までの1年間でカウントします。年間の収入がある程度決まる年末に寄附をする方も多いかもしれません。しかしうっかり年始や春などに行った寄附を忘れていると自治体の数が6つ以上になってしまうこともありえます。
ふるさと納税を利用した場合は、寄附した日付や自治体、書類などをしっかりと管理しておきましょう。
<ケース3>1つでもワンストップ特例の申請書を提出しなかった方
ワンストップ特例の申請書を1つでも出し忘れた場合、それまでワンストップ特例の申請書を提出した自治体に関してもワンストップ特例は無効になります。この場合、すでに自治体へワンストップ特例申請書を提出した分も含めてすべてのふるさと納税の寄附金控除を再度申請しなければなりません。
申請書を提出しなかった自治体の分だけ確定申告をするわけではないので注意が必要です。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
年収200万円でもふるさと納税に挑戦してみよう
年収がそれほど高くない場合、ふるさと納税をするメリットに疑問を感じる人もいるかもしれません。しかし今回ご紹介したように年収200万円程度でも「扶養親族がいない」「医療費控除などがない」などの条件を満たせばふるさと納税は、メリットがあります。
手続きもワンストップ特例を利用すれば簡単に申告できるため、条件に当てはまる人はぜひ利用してみましょう。
年収200万円でのふるさと納税に関するQ&A
もともとの制度の趣旨は、自分が生まれ育ったふるさとへの納税でしたが制度が誕生した当初からふるさとのほか、お世話になった地域、応援したい地域など制限なく全国どの自治体にも行えるようになりました。
ただし2019年6月以降、総務大臣による指定を受けていない地方団体に対する寄附は、ふるさと納税の対象外です。
そのため各種ふるさと納税サイトのシミュレーションを利用するか、総務省が提供している以下のエクセルシートなどを利用して計算するのがいいでしょう。
総務省「寄附金控除額の計算シミュレーション(エクセル)
ふるさと納税を行うことができる自治体の数に制限はありません。また自己負担となる2,000円は1年間の寄附金総額に対して必要となるため、控除限度額以内であれば自治体の数が増えても自己負担額が増えることはありません。
ただし控除上限額は、寄附する自治体ごとではなく1年間の寄附金額の合計に対する金額です。また「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の適用は、納税先が5つ以内である場合に限られます。
住民税の金額は、源泉徴収票に記載されているわけではないため、どの税金が軽減されているのか分かりにくいです。住民税が確認できるのは、毎月の給与明細となるため、ふるさと納税をした翌年の給与明細では、住民税の額が減っているか確認してみてください。
ただし、自治体によっては12月31日より前に寄附を締め切ることもあります。また、申し込んだ日ではなく、自治体に入金された日を寄附日とすることもあるため、せっかくふるさと納税をしても希望とする年度の寄附にならない可能性があります。年末は余裕をもって手続きを行いましょう。
条件を満たせば「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告不要になります。条件は、もともと確定申告が不要な給与所得者でふるさと納税を行う自治体の数が5つ以内の場合です。
その後、ふるさと納税先団体から送付される申請書に必要事項を記入しふるさと納税先団体へ提出します。申請書を受け取っただけでは手続きは完了しないので注意しましょう。
■保有資格:日本FP協会認定AFP
■保有資格:日本FP協会認定AFP
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