通常、ホテルといえば1箇所にホテルとしての全ての機能が集まっています。

ところが最近、フロント・宿泊・飲食・物販・アクティビティが点在し、街全体をホテルとして機能させる「クラウドホテル」を目指しているところがあります。

空き家活用の新たな試みとして注目されている「クラウドホテル構想」について紹介します。

街全体をホテルとして運営する「クラウドホテル構想」

「クラウドホテル構想」が始まったのは大阪・西九条。「西九条」は「大阪」駅から環状線で3駅ほど離れたところに位置し、2016年に過去最高の入場者数を記録したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)にも近いため、潜在的な宿泊需要が高い地域です。

しかし、総務省が実施した「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、西九条地区を含む此花区の空き家率は20.0%にも達しており、これは大阪市全体の17.2%よりも高くなっています。また同地区は1981年に建築基準法が改正される以前の木造建築が数多く残っており、これまで再開発があまり進まなかった地域でもあります。

このような背景をもつ西九条で、2017年6月に民泊施設として「SEKAI HOTEL」がオープンしました。

点在する空き家を活用

(画像=プレスリリースより)
 
「SEKAI HOTEL」はまちなかの点在する空き家を活用し、それぞれにフロントや宿泊、飲食、物販、アクティビティの機能を持たせています。

中古住宅リノベーションのクジラ株式会社が、大阪府のベンチャーなど数社と協力し、2017年6月にスタートさせました。

「Little Japan ✕ No Border」をコンセプトに、外国人観光客が日本の文化を直感的に体感できるよう、デザインにもこだわりがあるようです。宿泊料金の一部を地域社会の課題解決や途上国支援に活用していく予定でもあるそうです。

今後はさらに宿泊施設を増やし、また物販店舗やアクティビティ施設を設けて、街全体がホテルとなるよう計画しています。さらには障害者の雇用や、地域の子ども達に無料で語学を教えることも想定しています。

アイデア次第で空き家は変わる

「SEKAI HOTEL」のように空き家をリノベーションして活用する話が聞かれるようになりましたが、空き家対策はまだ発展途上の段階。

だからこそ、アイディア次第で面白い取り組みが低コストでできる可能性がまだたくさんあるとも言えるでしょう。今後、空き家の増加をビジネスチャンスとして捉える個人や団体が、さらに新しい活用事例を生み出すことでしょう。

どんな新しい取り組みが生まれるのか、今後も楽しみですね。

文・矢尾ともこ(ファイナンシャル・プランナー)

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