年金や税金は、国民の生活を支える大切なものです。それだけに、滞納者が増えてしまえば、老後の生活や日常の生活が立ち行かなくなります。そこで、滞納者、未納者には、厳しい対応が取られますが、未納したらすぐに差し押さえになるのでしょうか。また、支払えないと思ったら、どうすればいいのでしょうか。

年金、税金の仕組みをおさらい

(写真=PIXTA)

まず年金の仕組みをおさらいしておきましょう。年金には国民年金と厚生年金の2つがあります。

国民年金の仕組みとは?

国民年金は「基礎年金」と呼ばれ、20歳以上60歳未満の国民は加入が義務付けられています。保険料は、年齢、性別を問わず、一律月額16,410円(2019年度)です。

支給される年金額は、加入期間によって異なります。加入期間が満期(40年間)の場合、満額を受け取れますが、満期でない場合には、加入期間に応じて減額されます。

年金を受け取れるのは、原則として65歳からです。ただ、65歳よりも前の年齢、あるいは後の年齢で受け取ることもできます。65歳よりも早ければ年金が減額され、遅ければ年金が増額されます。

厚生年金の仕組みとは?

厚生年金は、基本的に会社員などが加入する年金で、国民年金に上乗せして受け取れます。加入時には、国民年金保険料と厚生年金保険料とを合計して納めます。

次に税金の仕組みです。ご存じのように、税金にはさまざまな種類のものがあり、簡単には説明できません。ここでは、後ほど取り上げる「未納したら」という観点で考えて、自動車税など、納付書が納税者に送られてくる税金について簡潔にご説明します。

自動車税の納税義務者は、運輸支局で登録されている自動車の所有者です。登録を受けた都道府県から課税されることになります。

通常、5月頃に自動車税の「納付書」が送られてきて、5月末までに金融機関などで納めます。ちなみに、軽自動車、二輪の小型自動車、小型特殊自動車は、軽自動車税が課税されますが、こちらは都道府県税ではなく市区町村税です。

自動車税は、4月1日現在で自動車を所有している場合に、課税される仕組みになっています。税額は、所有する自動車の種別、用途、排気量などによって異なり、年度の途中で、自動車を所有した場合は、税額は月割で計算された金額になります。

もし年金が未納になったらすぐ差し押さえになる?

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年金と税金を未納、あるいは滞納した場合に受ける処分は多少異なります。ここでは共通した点についてご説明します。まず言えることは、滞納したら即「差し押さえ」とはならないことです。概ね次のような流れになります。

期限までに納付しない人に対して、納付の催促の電話や文書が送付されます。それでも納付しなければ、「特別催告状」が送付されます。それでも納付しなかった場合は「最終催告状」が送付され、その後「督促状」が送られてきます。

そして、この時点でも納付しなければ、「差押予告通知書」が届き、滞納者の財産が差し押さえられるのです。

年金や税金は、国民の生活を支える重要なものですから、国や自治体も未納者に対しては、強制執行などの厳しい対応を取っています。

年金が未納になりそう。どうすればいい?

(写真=PIXTA)

年金は、金銭的な理由で年金保険料を支払えない場合は、免除制度や猶予制度を利用できます。

免除制度を利用する

免除制度とは、本人、世帯主、配偶者の前年の所得が一定額を満たさないとか失業したなどの事情があった場合、申請をして承認されると、保険料の全額、4分の3、半額、4分の1のいずれか、免除される制度です。

猶予制度を利用する

猶予制度とは、本人と配偶者の前年の所得が一定額を満たさず、20歳以上50歳未満の場合に、申請をして承認されると、保険料の納付が猶予される制度です。

年金保険料を納めず、免除制度や猶予制度を利用しなければ「未納」と判断されます。未納期間は、受給資格期間に算入されませんし、強制執行の対象となります。

税金が未納になりそう。どうしたらいい?

税金の場合も猶予される場合があります。例えば、自動車税は、各都道府県によって、猶予制度を設けている場合があります。

一度に税金を納付すれば、事業や生活に支障が生じるなど、一定の要件を満たす場合、納付期限後6ヵ月以内に都道府県税事務所へ申請すれば、1年以内の期間に限って納付を猶予されることがあります。他に、身体に障害がある人が自動車を移動手段としている場合、災害や盗難などで一定期間使うことができなかった場合など、都道府県税事務所へ申請すれば、自動車税の支払いを免除されることがあるのです。

ただし、どの税金でもそうですが、何か事情があってどうしても税金が払えない場合は、そのことを国や地方自治体など、税金を納めるべき機関に伝えなければ、「未納」とみなされます。

年金保険料や税金は、国民の義務として納めなければならないものです。しかし、金銭的な理由などで期限までに払えないと思ったら早めに担当機関に相談すべきです。

文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)

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