銀行と粗品は切っても切れない。ティッシュペーパーに洗剤、タオル、コーヒーギフト、サラダ油など様々な粗品が準備されている。ボーナスシーズンには定期預金獲得のキャンペーンが行われ、特別なノベルティグッズが用意されることもある。もっとも、マイナス金利政策が導入された今となっては、粗品に経費をかけて預金を集めようとする銀行は、ずいぶん少なくなっているのだが。

ご存知ですか? 誰もが喜ぶ「銀行の粗品」

さて、銀行の粗品にも色々あるが、お客様に喜ばれる粗品とは何かご存知だろうか。「お金じゃないのか?」ーー 冗談まじりでそう答える人もいるだろう。正解である。これまで私が銀行員として経験してきたなかで、お客様の評判の良かった粗品の一つは「宝くじ」だ。

定期預金を預ければ、粗品として宝くじをプレゼントする。実際にはお客様に宝くじそのものをお渡しするのでは無く、後日当選金を指定口座に入金するという仕組みだ。まさかこんなものを喜ぶ人はいないだろうと考えていたのだが、フタを開けてみるとこれが意外なほどの人気だった。「お金」をもらえるというほど生々しくは無いが、当たらずとも遠からずだ。

粗品が銀行の評判を高める

しかし、「宝くじ」以上に喜ばれる粗品もある。それは「自分で買いたいとは思わないが、プレゼントされるとうれしいもの」である。必ずしも、目玉が飛び出るような高価なもので無くても構わない。たとえば高級レストランや料亭の食事券、老舗ホテル、旅館の宿泊券などである。

粗品と呼ぶには抵抗があるが、銀行ではこの手のプレゼントを数多く用意している。取引を拡大して頂いたお客様に高級ホテルや旅館の宿泊券をプレゼントするのだ。ただし、そのプレゼントはペアではない。無料なのはあくまで「お一人様」だけである。もちろん、一人で使って頂いても何ら問題は無いのだが、一人で利用される方はまずいない。ほとんどはご夫婦で利用される。それを見越してのプレゼントである。一人分は無料であっても、お連れ様からは料金がもらえるので、誰も損をしない仕組みだ。だからこそ、思い切って多くのお客様にプレゼントできる。

お客様も「こんなものをもらっても、夫婦で旅行をすると意外とお金がかかり、かえって迷惑だ」と言いながらも笑顔がこぼれている。まんざらでもない様子だ。そもそも、銀行でそれなりの取引がある方なので、数万円の出費が負担になることは無いと考えてよい。ご夫婦や家族で特別な時間を過ごすきっかけを銀行が提供したという点でも意外と評判が良いのだ。