巨額の資産を手にしたからといって、一生贅沢な暮らしが保証されているわけではない。また破産を経験したからといって、一生貧困に苦しむと決まったわけでもない。

ウォルト・ディズニー氏やヘンリー・フォード氏、アブラハム・リンカーン氏など成功前に破産した著名人、レディー・ガガ氏や50セントなど成功後に破産し見事復活を遂げた著名人8人が、どのように自らの苦境を乗り越え、そこから何を学んだのかを見てみよう。

ウォルト・ディズニー——破産がミッキーマウスを誕生させた?

1920年に立ち上げた最初の映画スタジオ「Laugh-O-Gram」ではアニメ映画や短編広告映画を中心に制作していたが、出資を受けていたニューヨークの企業が破たん。財源を失った「Laugh-O-Gram」もわずか2年で閉鎖を余儀なくされ、翌年、ディズニー氏は破産宣告を申請した(USリーガルより )。

しかし同氏は落胆する間もなく家族名義で融資を受け、すぐさま新たなスタジオを開設。1928年にミッキーマウスを生みだし、アニメ映画産業の頂点に踊りでた。

最初の事業が失敗していなければ、ミッキーマウスを始めとするディズニーの人気キャラクターはこの世に存在しなかったかも知れない。破産によって自らの人生だけではなく、世界に大きな影響をあたえた希少な例だ。「逆境の中で咲く花ほど美しい花はない(Good Readsより)」 という名言が、ディズニー氏の人並みはずれたポジティブ思考を表している。

アブラハム・リンカーン——商売には向いていなかった大統領

第16代目米国大統領も破産経験者だ。1823年、友人とともにイリノイ州で雑貨店を始めたものの、売上が伸びず頭をかかえていた。さらに運の悪いことに共同経営者だった友人が他界。膨れあがった負債(1,000ドル=約3万ドル)をひとりで返済する羽目におちいった。

当時の米国では「破産宣告をすれば免責許可がおりる」という法律は制定されていなかった。そのため債権者はリンカーン氏が所有していたわずかふたつの資産(測量器械と馬)を差し押さえ、17年という長い月日を経て全額を返済するよう申し立てた。

負債は免除されなかったものの、破産宣告によって返済の整理が許可されたことが経済的再生につながった。1840年代にようやく負債を全額返済し、1861年米国大統領となったリンカーン氏は(USリーガル )、「失敗自体は大したことではない、そこから立ち上がることが重要だ(Good Readsより )」との名言を残している。

ドナルド・トランプ——「損しないように法律を利用しただけ」

もうひとりの「破産を経験した米国大統領」トランプ氏は、カジノ経営をめぐり過去に6回も破産している。しかしすべてが法人破産であるため、本人は「会社が破産したのであって、自分は破産したことがない」と主張。「トップビジネスの世界では当たり前だが、自分が損しないように法律を利用しただけ」とまったく悪びれる様子がない(フォーブス誌2011年4月29日付記事) 。

どことなくずる賢い、腑に落ちない印象を受けるが、トランプ氏いわく「引き際を見極め潔く手を引いて、次の挑戦に移る方がかしこい時もある(Cheat Sheetより)」 。

個人の破産ではなかったにせよ、トランプ氏がまったく気に病まなかったとは思えない。法律を利用して最悪の事態を回避する—これがトランプ氏流の破産から立ち上がる手段だったのだろう。

レディー・ガガ——破産寸前の投資リターンは13倍

2009年のツアー中、実質上破産していたという世界のトップスター。「ステージにお金をかけ過ぎた」ことが原因だとテレビのドキュメンタリー番組で認めた。銀行口座にあった300万ドルはたちまち底をつき、父親から「こんなに売れているのになぜ破産するのか理解できない」と叱責されたという。

ガガ氏は不安をかかえながらも、「ツアーが成功すればプロモーターのアーサー・フォーゲル氏の関心を得れる」と確信していた。ツアー後、その確信通りフォーゲル氏から4,000万ドルの小切手を受けとり(BBCより)、「影がなければ光も感じられない(Good Readsより )」ことを自ら証明した。

ヘンリー・フォード——「今度はもっとかしこく」で3度目の正直

自動車産業の父、フォード氏は2回の破産を経験。初めて立ち上げたデロイト・オートモバイル・カンパニー、それに続くヘンリー・フォード・カンパニーともに、「技術面にこだわるあまり、利益創出に十分な台数を生産しなかった」ことが原因だった。

心機一転、40歳(1903年)でフォード・モーターを設立。投資家からかき集めた資本金3万ドル(USリーガルより)で、見事3度目の正直となった。

「失敗はまた最初から始めるチャンス。ただし今回はもっとかしこく(Brainy Quoteより)」 という名言から、フォード氏にとって2度の破産が重要な学びの機会であったことが分かる。

50セント、ウィル・スミス氏、MCハマー——ヒップホップスターは破産しやすい?

1996年、1,300万ドルの負債免除を申請したMCハマー氏。1990年代初頭に大ヒットアルバムで一世を風靡し、3,300万ドルという大金を手にしたにも関わらず、「自宅で200人の使用人を雇っていた」散財ぶりがあだとなり、1996年に破産した。負債のうち80万ドルは税金滞納分だという。「お金のことは気にならない。いつだって沢山稼ぐことができる(Brainy Quoteより)」 と、破産後も地道に活動を続け、負債を返済しているようだ。

すっかりハリウッド俳優が板についたスミス氏も、ラッパーとして手にした最初の大金を散財し、280万ドルの税金が払えず所有物を差し押さえられた。1年後にテレビ番組「ベルエアのフレッシュ・プリンス(1990~96年放送)」 の出演依頼を受けたのを機に、現在は俳優として大成功をおさめている。「お金や成功で人は変わらない。ただすでにあったものを増長させるだけ(Brainy Quoteより)」 という言葉は、その後の所得の70%を負債返済にあてて完済した者だけが口にできるのかも知れない。

推定資産1.15億ドルといわれた50セントも2015年に破産を申請している。負債額3,600万ドルに対し、手元に残った資産は2,000万ドルしかなかったとの申し立てだったが、裁判所は2,300万ドル分の負債返済を命じた。苦境にも負けず、「お金もちになるか、少なくともお金もちになろうと努力しろ(Good Readingより)」 とのメッセージを発している。

破産を克服したこれらの著名人のエピソードは、どんなに華やかに見える世界にも光と影が存在し、どん底から這い上がるかどうかは「マイナスからプラスを見いだす力」次第ということを教えてくれる。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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