住宅は数千万円の買い物。現金一括で、とはなかなかいかないものです。そこで検討したいのが金融機関の「住宅ローン」を利用した借り入れです。

住宅ローンって何? 

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住宅ローンは金融機関からの借り入れなので利息の支払いが必要です。「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定期間選択型」の支払方法があります。毎月、元金と利息が減っていくことで住宅ローン控除の計算に必要な残高に影響していきます。

住宅ローン控除(減税)制度は具体的にはどんなもの?

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住宅ローン控除制度は、住宅ローンを使って住宅を購入する場合に、購入者の負担を軽減するための制度です。毎年末の住宅ローン残高または住宅取得価額のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡って所得税から控除され、控除しきれない場合でも住民税から一部控除されます。

この住宅ローン控除制度は、2014年4月からの消費税8%への引き上げにあわせて、最大控除額が年20万円から年40万円に拡充されています。また、申請は世帯単位ではなく個人単位で必要なことに注意が必要です。

住宅ローン控除は、新築住宅だけでなく一定の要件を満たした中古住宅や増築・リフォームにも適用することができます。ただし、省エネやバリアフリー化のためのリフォームの場合は、別の制度(特定増改築等住宅借入金等特別控除)の方が有利な場合がありますのでよくご確認ください。

住宅ローン控除用残高証明を発行する方法

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住宅ローンを借りていると、金融機関から「年末残高証明書」や「住宅ローン残高証明書」といった住宅ローン控除の適用を受けるために必要な書類が自動で送付されてきます。基本的には10月頃から送付され、年末調整に間に合うようになっています。初年度の場合は、契約の時期によって翌1月になる場合もありますが、住宅ローン減税1年目は確定申告が必要なので問題ありません。

住宅ローン控除を適用する際には「年末残高証明書」の原本を提出することになりますが、市区町村への申告などで写しが必要となる場合もありますので、あらかじめコピーを取っておくことをおすすめします。

また、仮に紛失してしまった場合でも、所定の手続きを行えば再発行が可能です。住宅ローンを借りている金融機関に確認してください。

住宅ローン控除があてはまる条件って?

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住宅ローン控除は税制上、住宅借入金等特別控除と呼ばれており適用要件は下記のようになっています。

新築住宅の購入

(1)新築または取得の日から6ヵ月以内に居住し、年末まで引き続き居住していること
(2)合計所得金額が3,000万円以下であること
(3)住宅の床面積が50平方メートル以上であり、2分の1以上が居住用として使用されていること
(4)10年以上にわたって住宅ローンを返済するもの(無利子または利率0.2%に満たないものは適用外)
(5)居住年と前後2年ずつの5年間で、長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと

中古住宅の取得の場合のみ、新築住宅の条件に加えて下記の要件が必要となります。

中古住宅の購入

(1)以下のいずれにも該当する住宅であること

  • 建築後使用されたもの
  • 建築後取得までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の場合は25年)以下であること、または耐震基準に適合する建物、もしくは取得までに耐震改修を行う建物であること
  • 生計をともに一とする親族や特別な関係にある者からの取得でないこと
  • 贈与による取得でないこと

    これ以外にも耐震改修を行った場合や増改築等をした場合にも住宅ローン控除の対象となりますが、基本的な考え方は同じです。

    住宅ローン控除の計算の仕方

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住宅ローン控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(もしくは住宅取得価額)を基準として計算されます。

【所得税:住宅ローン控除(2014年1月1日~2021年12月31日までの場合)】

  • 年末残高×1%(最高40万円) 上記金額が住宅ローン控除額になります。サラリーマンであれば、給与から所得税が源泉徴収されています。源泉徴収税額が住宅ローン控除額より多い場合は、住宅ローン控除額となり、少ない場合は源泉徴収税額が還付されます。

    後者の場合、住宅ローン控除額の枠が余りますが、その場合は住民税から控除されます。

【住民税:住宅ローン控除額(2014年1月1日~2021年12月31日までの場合)】
下記のどちらか小さい額

  • 所得税において控除しきれなかった額
  • 所得税の課税総所得金額に7%を乗じた額(限度額13万6,500円)

住宅ローン控除に特例もあるの?

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住宅ローン控除には認定長期優良住宅または、認定低酸素住宅を取得した場合には限度額が40万円から50万円に引き上げられる特例があります。

確定申告を忘れずに

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住宅ローン控除を受けた初年度は確定申告が必須になります。確定申告をしたことがない方は事前に必要な書類などを調べておいた方が良いでしょう。2年目以降は会社員であれば年末調整で対応可能です。

基本的な控除額や計算方法、控除しきれなかった場合の住民税へのインパクトを把握して、住宅ローン控除をフル活用しましょう。

文・田中祥太(中小企業診断士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

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