2017年、役員報酬が最も高かった米企業のCEOは「Snapchat」で有名なSnap Inc.のエヴァン・シュピーゲルCEOで、5.04億ドルを稼いだ。2、3位は、ニューヨークを拠点とする大手投資会社KKR&Co.のスコット・ナットール共同社長とジョゼフ・バエ共同社長で、2億ドル以上を手にした。

イーロン・マスクCEOとサンダー・ピチャイCEOを除き、トップ10の顔ぶれは2016年からがらりと変わった。また両CEOの順位は逆転している。

ランキングはブルームバーグ が米上場企業の中で、米規制当局に申請された報酬データに基づき、役員報酬が高かったCEO100人を順位付けしたもの。報酬には、近年の給与、ボーナス、特典、ストックオプション、制限付株式、年金給付の価値の変動などが含まれる。

報酬が高い米CEOトップ10

10位 トニー・レスラー(Ares Management) 1.08億ドル
9位 ヘンリー・クラヴィス(KKR&Co.)1.21億ドル
8位 ジョージ・ロバーツ(KKR&Co.) 1.21億ドル
7位 スティーブン・シュワルツマン(Blackstone Group) 1.25億ドル
6位 ロブ・ロイ(Switch Inc.) 1.43億ドル
5位 サンダー・ピチャイ(Alphabet Inc.) 1.44億ドル
4位 イーロン・マスク(Tesla Inc.) 1.50億ドル
3位 ジョゼフ・バエ(KKR&Co.) 2.13億ドル
2位 スコット・ナットール(KKR&Co.) 2.13億ドル
1位 エヴァン・シュピーゲルCEO(Snap Inc.) 5.04億ドル

シュピーゲルCEOの報酬は高過ぎる?

Snap Inc.の共同設立者であるシュピーゲルCEOは、同社の上場が高額な報酬につながった。しかし上場以降の同社のパフォーマンスと報酬が釣り合うかについては疑問が残る。

2017年3月2日、 ニューヨーク証券取引所に上場したSnap Inc.は、初日に株価が44%高騰するなど好調な滑り出しを見せたものの、翌日の29.44ドルをピークに下降。

同年5月の決算報告では売上高が予想に届かず、ユーザー数も減っていることが明らかになった(Recode.net2017年11月7日付記事 )。2017年7月10日には16.95ドルと上場価格を初めて割り込んだ(CNBC2017年7月10日付記事)。 

その後も元社員に数字の水増し疑惑で訴えられる、ユーザー数増加を狙って導入した新デザインが逆にユーザー離れを加速させるなど、トラブルが続く。2018年5月には10.5ドル前後まで落ち込んだ。「Snapバブルの崩壊間近?」 と報じられながらも、7月3日現在は13ドル台まで持ち直しているが、今後の行方が気になるところだ。

こうした状況を考慮し、「シュピーゲルCEOの報酬は高額過ぎる」という批判も出ている。同様の調査を実施した米ビジネス・ソリューション企業Equilarの代表者ダン・マルセック氏は、「これほどの規模の報酬が支払われるのは稀」と、フィナンシャルタイムズでコメントした(ビジネス・インサイダー2018年2月23日付記事 )。