中華料理といえば、街にある赤や黄色の看板のいわゆる「町中華」や、円卓を囲むような中華料理のレストランを思い出す人が多いだろう。しかし、ここ数年の間に、東京の中華料理のシーンは大きく進化したようだ。今、富裕層を中心にブームとなっている「カウンター中華」について解説したい。

円卓でひと昔前の話?中華料理が進化している

東京の中華料理が進化している。今までも高級中華料理と呼ばれるジャンルの料理はあったが、その多くは、個室で円卓を囲み、大皿で取り分けるようなスタイルだった。

しかし2010年ごろから、東京を中心として、新しい中華料理のジャンルができつつある。それが、カウンタースタイルで食べる「カウンター中華」だ。特に、ここ2~3年は、人気のお店が続々とオープンし、今や1つのジャンルとして確立されるようになった。富裕層やグルメパーソンが詰めかけ、予約困難な店も多い。

カウンター中華は、今までの中華料理とはアプローチの仕方が異なる。今までの中華料理は「大皿料理」「アラカルト中心」「個室中心」だった。それが、カウンター中華では「小皿に取り分けて提供」「コースのみのお店もあり」「カウンター形式で席数が少ない」となっているのだ。料理は同じであっても、接客やサービスのスタイルが異なる点が特徴だろう。

いま東京でなぜカウンター中華が熱いのか

なぜ、ここまでカウンター中華が盛り上がっているのだろうか。2つの要因が主に考えられる。

1つは、名店と呼ばれるところで料理人をしていたシェフの独立だ。東京で人気の「銀座 たかせ」はマンダリンオリエンタルの「センス」出身であり、六本木で新しいカウンター中華を提案する「虎峰」のシェフは、恵比寿の名店「Masa’s Kitchen」出身だ。かつての中華料理の名店といえば、多くの従業員がいて、料理人とホール担当は完全に分業されていた。しかし、独立をすると、そこまで多くの人を雇うことはできない。そのため、店はカウンター形式のこじんまりした店になる。しかし、名店出身であり、味は抜群だ。また、カウンターのため、少人数でも利用しやすい。それが今の食のシーンとマッチしているのであろう。

もう1つは、客と料理人との「ライブ感あるサービス」だ。中華料理人は、基本的には厨房から出てこないため、客との距離が遠い。しかし、カウンター中華なら、直にお客の反応を見ることができる。また、客としても、ダイナミックな調理を目の前で見ることができ、それはサービスの一環になる。そういう意味でも、シェフと客の距離が近いカウンターは、料理人、客の双方にとって「新しいサービスの形」となっているのだろう。

カウンター中華の名店「フルタ」の魅力とは?

そんなカウンター中華の中でも、最も予約が取れない店の1つと言われているのが、銀座にある「フルタ」だ。岐阜の名店「開化亭」のシェフである古田氏が、2014年に銀座にオープンしたカウンター中華だ。レストラン検索サイト「食べログ」でも、常に4.5以上の評価を出しているこのお店は、予約は1年以上待ちと、多くの富裕層を虜にして離さない。

コースは3万円からと決して安くはない値段だが、皆、会計時に次の予約を入れて帰るほど、満足度は高い。1日に8席、1回転のみという希少性の高さも人気の秘訣だろう。

高品質の素材を贅沢に使い、素材の味を生かした料理はどれも絶品だ。特に、スペシャリテ(その店の看板になる名物料理)である「キャビアのビーフン」は、あまりのおいしさに一瞬言葉を失うほどだ。他にも「鮎の春巻き」など、四季折々の素材を楽しめるのが嬉しい。ラストは麺類やご飯ものが食べ放題なので、満足感も格別なものになるだろう。

新しいサービスを提供するカウンター中華

かつて、中華といえば円卓のイメージだったが、最近はシェフと客の距離が近い「カウンター中華」が人気だ。シェフは直接客の反応を見ることができるし、客も料理している様子を楽しめるという、新しいサービスの形を提供し、今や立派にレストランの1ジャンルになりつつある。

人気店では、1年待ちということもあるらしいが、行くだけの価値はあるのではないだろうか。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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