会社の飲み会や取引先との会食、あるいはデートで使う飲食店のチョイス……学生時代は居酒屋チェーンの飲み放題コースでよかったのに、いきなりセンスや知識を問われるようになって、正解がわからずに混乱している20代もいるでしょう。プロフェッショナルの知恵を借りて、お店選びのコツをお教えいたします!

お店選びのポイントを飲食のプロに聞く!

若手ビジネスパーソンやこれから社会に出ていく学生など、お店選びに戸惑う20代に必要なのは、外食産業のプロフェッショナルから実践的なアドバイスをしてもらうこと!

国内外で人気の飲食店を数多く経営する円相フードサービスの専務取締役であり、『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社)などの著書で知られる稲田俊輔さんに、シチュエーションごとの「社会人のお店選び」について話を伺いました。

「お店選びに慣れないうちは、良し悪しを見分けることはなかなか難しいでしょう」と語る稲田さん。それでも大失敗をしないために、いくつか押さえておくべきポイントがあることを教えてくれました。

「まず“個室居酒屋”といった属性を積極的にアピールしているお店には用心してほしいところです。そこに“創作和食”“チーズ専門店”“肉バル”といった今風のキーワードが組み合わさると、地雷である確率はさらにアップします。もちろん個室があっても素晴らしいお店はたくさんあるのですが、初見で選ばなければいけない場合は頭に入れておくといいかもしれません」

大いにレビューサイトを参考にするべし

では、多くの人が参考にしているであろう「食べログ」のようなレビューサイトはどこまで信用できるのでしょうか。

「お店選びに不慣れな人に伝えたいのは、まずは『食べログ』を参考にしてください、ということです。ここ最近、レビューサイトの評価をアテにしないことがカッコいいかのような風潮がありますが、信頼できるレビュアーの情報は、上手に活用すればとても役立つものであることは間違いありません」

基準として「食べログ」で星3.5以上の高評価がついているお店には、必ず「なんらかの長所がある」とのこと。

その高評価の理由が味なのか、コストパフォーマンスなのか、盛り付けや接客なのかはお店によって異なりますが、しっかりとレビューを読み込んで自分が求める条件と一致しているかどうかを見極められるのであれば、充分に信用に値するものだと稲田さんは説いています。

一方、「食べログ」で星4に迫るような超高評価のお店に関しては、ディープな食通の価値観を反映していることが多いため、かえって一般的な“おいしさ”とはズレが生じていることもあるのだとか。いずれにせよレビューサイトを的確に使うことができれば、お店選びの難易度がグッと下がるはずです。

お店選びのポイントその1

  • お店探しに不慣れな人は食べログを活用する
  • 星3.5以上の高評価がついているお店には必ずなんらかの長所がある
  • 星4に迫る超高評価のお店はディープな食通の価値観を反映していることが多い

複合商業施設のレストランを侮るなかれ

もう一歩踏み込んで、ビジネスシーンでしばしば訪れる「慰労を兼ねた食事会」や「取引先との会食」などのシチュエーションにおいて、失敗のない最大公約数的なお店をチョイスするためのコツはあるのでしょうか。

稲田さんは「はっきり言って、場数を踏むしかないですね」と苦笑しながらも、ちょっとした“裏技”を教えてくれました。

「たとえば渋谷ヒカリエのような複合商業施設にある客単価4,000~5,000円ほどの少しアッパーなレストランは、まず外れがないという印象です。その価格帯のお店は、いわば各商業施設の目玉。リーシングの担当者も名誉と信頼をかけて、街場からベストなお店を発掘し、口説き落として誘致しているわけです。そういった基準をクリアしているだけで、ある程度までは信用できると考えてもいいのではないでしょうか」

商業施設内の店舗であれば、フロアガイドなどを通じてあらかじめ下調べがしやすいというのも利点のひとつ。加えて稲田さんが狙い目としてあげたのが、5~6店舗を展開するフレンチやイタリアンの“小規模チェーン”です。

「複数店舗を出せるということは、少なくとも安定したクオリティと人気があることの証明ですよね。また店舗数が増えることで1号店の尖った部分がほどよく中和され、自然と間口が広がっていくもの。個人店としての個性も残しつつ、万人受けもするラインとして、小規模チェーンはじつに“ちょうどいい”のです」

お店選びのポイントその2

  • まずは場数を踏むべし!
  • 複合商業施設にある少しアッパーなレストランは、まず外れがない
  • 狙い目は5~6店舗を展開するフレンチやイタリアンの小規模チェーン店