この記事は中野晴啓氏の著書『はじめての人が投資信託で成功するたった1つの方法』の内容を抜粋したものになります。

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※以下、書籍より抜粋

本当は誰も入る必要がない、生命保険

日本は、世界一、生命保険への加入率が高い国だといわれています。

生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」によると、2015年の、2名以上の世帯の保険の加入率は、実に89.2%。

年間の払込保険料も、一世帯あたり平均38.5万円と、決して安くはありません。

保険に入る理由としては、おそらく、

「保険の外交員や、保険会社に勤めている親戚や知人にすすめられて断りきれずに加入し、解約するのも面倒なので、保険料を払い続けている」

「夫に何かあったときのことを考え、妻が加入を決めた」

「いざというときに備えつつ、貯蓄をしたい」

といったものが多いのではないかと思いますが、私は、生命保険に加入する意味は、ほとんどないと考えています。

まず、生命保険というのは、基本的には「自分が病気や事故でこの世を去ったとき、経済的に困る人がいる」場合に加入するものです。

ところが、厚生労働省が発表している平成28年の人口動態統計の年齢階層別の死亡率を見ると、死亡率(10万人あたりの死亡者数)は、20~24歳で35 .3人、三桁に達する45~49歳で152.4人、四桁に達する手前の65~69歳で914.5人。

つまり70歳近くなっても、亡くなる確率は1%未満ときわめて低く、本当はあまり、「もし自分がこの世を去ったら」などと意識する必要はないのです。

また、生命保険に貯蓄(資産形成)の意味合いを求めている人は少なくありません。

実際、前出の「生命保険に関する全国実態調査」によると、「今後、世帯主が加入する場合、どのような種類の生命保険が良いか」という問い(複数回答可)に対し、

① 病気やケガの治療や入院にそなえるもの 50 .9%

② 病気や災害、事故による万一の場合の保障に重点をおいたもの 48.4%

③ 老後の生活資金の準備に重点をおいたもの 46.3%

④ 保障と貯蓄をかねたもの 35.9% 

⑤ 介護費用の準備に重点をおいたもの32.0%

⑥ 子どもの教育資金や結婚資金の準備に重点をおいたもの 14.2%

⑦ 貯蓄に重点をおいたもの 12. 8%

といった結果になっており、特に③~⑦などを見ると「保険をかけながら、貯蓄(資産形成)もしたい」という人が、かなりの割合で存在することがわかります。

そのため、個人年金保険や終身保険など、貯蓄型の生命保険に入っている人も多いと思われますが、実は貯蓄型の生命保険で資産や老後の資金をつくるのは、非常に効率が悪いのです。

たとえば、よくあるのが、払込期間中に死亡した場合の死亡給付金が抑えられ,
払込が終わると、一括で年金が受け取れたり、 10 年間、年金が支払われたりするタイプの、個人年金保険。

45歳から65 歳まで、毎月 3万円ずつ払い込んだ場合、いくら受け取れるのかを、ある大手生命保険会社の商品でシミュレーションしたところ、

  • 一括で受け取った場合 約723万円
  • 10年かけて受け取った場合 約734万円 という結果が出ました。

    20年かけて720万円積み立て、もっとも多く受け取ったとしても、14万円のプ
    ラスにしかならないのです。

    しかも、一括で受け取れば、受け取れる額はさらに少なくなり、払込み期間中に亡くなったり解約したりすれば、戻ってくるお金は払い込んだ保険料以下、つまり元本割れしてしまいます。

    一方、投資信託を毎月3万円ずつ積み立てで購入し、年平均3%の利回りで運用できたとすると、10年で約50万円程度の利益が出ますし、生命保険と違って、好きなタイミングで解約することも、一部だけ解約することもできます。

    保険料が安い掛け捨て型の生命保険に加入し、保障だけを買うのであれば、まだ
    リーズナブルですが、貯蓄型の生命保険はいずれも似たり寄ったりです。

    同じお金を払い、同じ時間をかけて資産を形成するなら、私は、投資信託の運用をおすすめします。

*POINT
生命保険で資産や老後の資金をつくるのは、非常に効率が悪い。
すでに加入している人は保険を見直し、その分、投資信託の運用を。

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事後、投資顧問事業を立ち上げグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信株式会社を設立。現在では2本の長期投資型ファンドを運用、販売し、預かり資産は2000億円を超える。2014年には、日本の投資日本郵便と資本・業務提携。書籍執筆のほか、全国各地で講演やセミナーも行っている。

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