「そろそろ親と同居して面倒を見なきゃ」「都内で買うより親の家を建て替えて、一緒に住んだほうが安いかも」……といった理由で「二世帯住宅に住む」ことを考えたことがある人もいるのではないでしょうか。二世帯住宅といえば、一軒家が欲しい子育て世帯が、親の援助を受けるために建てたり買ったりするイメージが強いかもしれません。しかし、実は独身の女性にとっても「二世帯住宅に住む」ことは検討してもいい選択肢なのです。
「二世帯住宅」は1975年生まれの“アラフォー”
「二世帯住宅」という名前が生まれたのは1975年だそうです。旭化成によると、同年発行のへーベルハウスのカタログに使われた商品名とのこと。2018年時点で43歳のアラフォーですね。1965年の国勢調査によると、それまで30%を超えていた6人家族に代わり4人家族の割合が増え始め、1975年には6人家族は約7%、4人家族は約27%。1990年代には1人世帯や2人世帯が上位を占めます。
二世帯住宅は、1980年代のバブル期の土地価格高騰とその後の共働き家族の増加にともなって一般的な存在になったのです。
二世帯住宅のメリット1:2棟より建てるのも住むのも安く済む
考えられるメリットとしては、まず家を建てる際の費用の負担が少なくて済むということが挙げられます。親が所有している土地に家を建てるので、新しく一戸建てを購入するときに比べて、土地を取得する費用を抑えることができるでしょう。また、別々に暮らすのと比べて、光熱費を節約することも可能です。食事を例にとると、調理や後片付けが一緒になることで必要な電気代やガス代、水道代が少なくて済みます。
二世帯住宅のメリット2:在宅介護サービスが利用しやすい
親の介護サービスを利用しやすいというのもメリットです。二世帯住宅で同居している理由を子世帯にたずねたアンケートで最も多い回答は、「親の老後を考えて」です。旭化成ホームズの二世帯住宅研究所が行った「30年暮らした家族による二世帯住宅の評価と住まいの継承の実態」の調査では、子世帯の二世帯住宅に対する満足度は91%と高い傾向です。また、介護を経験した子世帯のうち98%の世帯が大きなメリットを感じていることが分かっています。
高齢化にともない、在宅で介護が続けられるような制度が整えられつつあります。二世帯住宅で親と暮らしたからといって、親の介護の負担が自分たちばかりにかかるわけではないのです。すぐそばに住むことで親の様子が分かり、すぐにかけつけられるメリットを生かしながら通所サービスや訪問サービスを活用することもできます。むしろ、中途半端に離れたところに住むよりも、介護が必要になったときの負担は軽くなるといえるかもしれません。