女性活躍推進は、ここ数年の継続的なトレンドです。

しかし、急に抜てきされた女性リーダー本人は、慣れない状況での試行錯誤が続き、悩みが尽きない毎日なのかもしれません。成功している女性リーダーには、どんな共通点があるのでしょうか。

『「あの人についていきたい」といわれる 一生使える「女性リーダー」の教科書』(山本幸美著、大和出版)より、女性がリーダーとして活躍するうえで知っておきたい考え方を紹介します。

多くの女性に経験してほしいリーダーという仕事

現在は、株式会社プラウド代表取締役社長として、営業力・マネジメント力強化育成事業や、話し方教室を始めとするコミュニケーション力強化事業などを行っている著者。かつては、株式会社リクルートなどの大手企業で営業担当として勤務した経歴をもっています。

過去の私のように、リーダーというと、「責任が重くのしかかる」「自分の時間がもてない」などマイナスのイメージをもっている人が多いかもしれません。しかし、いまの私がいえることは、「リーダーというのは、ぜひ全員の女性に経験してほしいと思うくらい素晴らしい仕事」だということです。(3~4ページより引用)

一見すると、特別なリーダーシップをもっている人物のように見える著者ですが、かつてはまったく営業成績が冴えない時代もあったのだとか。

そこで著者は、徹底的に基本にこだわった独自の思考法やコミュニケーション法を編み出します。その工夫が功を奏し、全国営業社員約4000人の中で1位を獲得するなど、その後も数々の社内成績を上げ、次第にその手腕をマネジメント面でも発揮していったのだと言います。

女性リーダーには「横型マネジメント」があっている

強く引っ張る男勝りなマネジメントには限界を感じ、男性にはどうしても勝てないと悩む女性リーダーは、人知れず多いのかもしれません。

男性の場合は、「課長だから」「部長だから」と、役職を前面に出してコミュニケーションを図る縦型のマネジメントスタイルが多いようです。しかし、同じことを女性がすると、男性メンバーからの反感を受けることがあると著者は言います。

まだまだマイノリティな存在である女性リーダーには、何かと厳しい目が向けられているもの。男性リーダーと同じような手法では、上下の関係を結びにくい現状があります。

逆に、女性メンバーは肩書きや権威よりも、「そのリーダーが心から信じられる人がどうか」に着目しているものです。

そこでお勧めするのが「横型マネジメント」です。具体的には、メンバーのサポートに回ったり、メンバー全員を主役に盛り立てる「見守り型(母性型)スタイル」のマネジメントですね。(21ページより引用)

女性リーダーを取り巻いている、多岐にわたるメンバー管理の課題。著者は、これらを一挙にクリアする方法として、「横型マネジメント」を推奨しています。

メンバーを適切にサポートしつつ、盛り立てる在り方は、女性が組織運営をするうえで無理なくできそうです。

男性リーダーのように振る舞おうとする必要はない。女性であることに自信をもってのぞめるマネジメントスタイルであると言えるでしょう。

自分がいなくても回るチームをつくる

本著では、女性リーダーとしての在り方だけではなく、具体的なマネジメントの手法もまとめられています。初めてリーダーを任された人から、既に組織運営をしていく中で壁にぶつかっている人まで、幅広い視点で読むことができる一冊です。

女性リーダーがマネジメントするうえでの最大のカギ。それは「任せる」ことです。(96ページより引用)

抜てきされてリーダーになる人は、その人自身が優秀であることが多いでしょう。だからこそ、人に任せていくという考え方が重要になってくるのかもしれません。

リーダーは、いうまでもなく多忙です。それなのに、何でも自分で教えよう、説明しようとしていては、限られた時間の中でオーバーワークになってしまいます。

リーダーの最終的なゴールは、「自分がいなくてもきちんと仕事が回るようなチームをつくること」。その際に大事なことは、「なぜ、何のために、これをするのか」を、しっかりメンバーに伝える必要があります。

さらに、その人に任せようと思った理由も付け加えると、頼られているという士気も高まるといえるでしょう。

リーダーとして引っ張るだけではなく、任せてみて、あとはフォローに回る。引っ張り、見守るといった両方のマネジメントは、メリハリが効いて効果的です。「このリーダーの元で働いたから力がついた」と言ってもらえるようなリーダーを目指したいものです。