就職して間もない20代で転職する時、最も気になるのは経験の浅さがネックにならないかということです。未経験分野への転身なら、経験が浅くても大丈夫?早い離職なら新卒と同様に扱われるって本当?若い世代の転職に関するデータから探ってみましょう。

20代前半なら転職も新卒と変わらない?

心機一転、再スタートして新卒と一緒にキャリアの積み直しはできるか。独立行政法人労働政策研究・研修機構『若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ』(2019年)から20代の転職事情を見てみました。

キャリアアップは3年目がひとつの転機

キャリアアップのための転職を目指すなら、入職して3年がひとつの目安となるかもしれません。若手社員の職務遂行能力は一般に、勤続年数が長いほど伸びる傾向が見られます。しかし、勤続年数が長くなると、離職する人の方が高い能力レベルを示す逆転現象が起こるのです。

離職直前の能力レベルを見ると、女性では勤続3年超5年以内のグループから、離職者が勤続者を越える要素が現れ始めます。離職理由として「キャリアアップするため」を挙げる人が多いのも、3年超5年以内のグループです。

転職先の正確な情報をつかむことの大切さ

離職までの期間と離職理由との関連を調べると、勤続年数の短い人ほどネガティブな理由が多くなります。勤続期間1年以内のグループでは、以下のような理由が上位に並びます。

1位:人間関係がよくなかったため(39.4%)
2位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため(38.1%)
3位:肉体的・精神的に健康を損ねたため(36.1%)
4位:仕事が上手くできず自信を失ったため(31.5%)
5位:自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため(27.2%)
6位:ノルマや責任が重すぎたため(24.2%)

報告書は、これらのブラックな職場環境や希望とのミスマッチを、応募経路の違いから分析しています。既卒者では、家族・親戚や友人知人の紹介、会社への直接問い合わせなどから就職した人は勤続する傾向があるのですが、職業安定所や求人広告、インターネットの求人サイトなど誰もが利用できるオープンな経路を利用した人には、離職する傾向があるのです。

オープンな経路は、労働条件、特に労働時間の長さについて実際と異なる情報が提供されやすい経路です。また既卒者は、新卒者の3年以内離職率が高い業界や、従業員の入れ替わりが激しい、法律・倫理違反が行われている、労働時間が長いといった企業に就職しがちだとも指摘されています。転職先の正確な情報を入手し、その実際を理解しておくことが必須であると言えるでしょう。

企業は若手の転職者をどう見ている?

(写真=metamorworks/Shutterstock.com)

企業側から見た転職、中途採用事情はどうでしょうか。