日本政策金融公庫総合研究所の「2017年度新規開業実態調査」によれば、新たに起業する女性の割合は全体の18.4%を占めており、これは過去最高の割合です。このように女性の起業が年々増加している一方で、事業を継続することは男性以上に難しいともいわれています。

女性起業がブーム!だけど現実は厳しい

女性が起業しても事業を維持するのは男性以上に困難です。厚生労働省の「2006年版働く女性の実情」では、女性の廃業率は男性の約2倍という調査結果が示されています。なぜ女性のほうが事業の維持が難しいのでしょうか。理由は女性を取り巻く環境にあります。

女性は男性に比べて、さまざまなライフイベントが影響しやすいものです。特に出産・育児・介護は女性の生活を一変させ、女性が働きやすい社会にするための労働環境の改善が進んではいるものの、どうしても仕事に時間を割くこと自体が難しくなってしまいます。

男性が世帯収入を支える家庭はまだまだ多く、たとえ結婚や子どもの誕生、親の介護があっても、男性は家計を支えるために仕事を優先せざるを得ないこともあるでしょう。また、男性の方が女性よりも仕事を優先しやすい環境にあるのかもしれません。男女それぞれ生き方が多様化してきたとはいえ、家庭と仕事を両立しなければならない女性にとって、男性よりも起業の負担が大きいことは事実のようです。

こういったことから、女性の起業における成功は男性以上に厳しくなりがちと考えられます。

女性が起業で成功するための4つのポイント

男性よりも成功のハードルが高い女性が起業で成功するためには、次の4つのポイントを押さえるとよいでしょう。

対策1:成功の定義を自分で決める

女性はさまざまなライフイベントに左右されやすいものです。だからこそ、状況に応じて自分で成功の定義を決める必要があります。

例えば、育児や介護に時間を割かなくてはならない時期は、どんなにやる気があっても月商何百万円もの利益を達成するのは至難の業です。睡眠や健康を犠牲にすれば可能かもしれませんが、長続きはしにくいでしょう。

そんなときは、あえて無理をせずに目標を小さく達成しやすいものに変えることも重要です。具体的には、「1年間の売り上げを10万円超にする」「1週間に1冊、仕事に関係する本を読む」「毎日10分だけ、市場リサーチをする」など、ちょっと意識すれば達成できそうな目標を自分で設定するのです。1年後、これを達成したらOKとします。そして、そのときの状況に応じて、また自分なりに達成できそうな目標を設定するのです。

思うようにならないときは「維持」を最優先にし、余裕ができてから「拡大」を目指せば事業を頓挫せずに済むでしょう。

対策2:公的な創業支援を活用しよう

男女問わず起業家の多くは「起業したら具体的に何をどうしたらいいか」について悩みます。内閣府男女共同参画局のレポートでも、起業後直面する課題の上位に「経営知識一般の習得」「事業に必要な専門知識や技術の習得」が上がっています。ただ、女性は男性に比べて悩みが深くなりがちです。なぜなら、経営知識や専門知識はビジネスに関するものであり、ビジネスは今も男性社会といわれるからです。

男性はビジネスで悩んだとしても、同性に相談して解決を図れます。一方、女性はなかなか相談ができないことも多く、特に相談相手が男性の場合、「どう声をかけたらいいのか」「『俺に気があるのかな』と思われたらどうしよう」などと不安になり、二の足を踏んでしまいます。結果、安心して相談できる異性は父親や兄弟、夫などの身内になりがちです。

そこで活用したいのが公的な創業支援制度です。地方自治体や商工会議所などでは、ビジネスプランの作成の仕方や資金調達方法などの講座を設けたり、交流会を開催したりして起業家の支援を行っています。価格も低く抑えられています。起業するならば、地元の市区町村や商工会議所を検索したり、電話で問い合わせたりするとよいでしょう。