FinTechの加速で、金融産業における最高情報責任者(CIO)への注目が高まっている。英企業経営コンサルタントの調査で、CIOの45%が「(自社の)デジタル改革の指揮をとっている」と自負しており、55%が 「デジタル改革が好調な成果をあげている」と実感している。

調査したのはコグニザント・テクノロジー・ソリューションで、回答したのはCIO50人。

同時に「企業の伝統が改革を妨げている」と感じているCIOも70%いることから、改革と伝統の狭間に存在する対立をうかがいしることができる。

デジタル革命には欠かせない存在となったCIO

CIOとは企業の情報システムや流通を統括する、情報戦略部門の役員を指す。「顧客の満足度が企業の業績に直接反映する」といわれる近年、本部は勿論、管理業務部門のデジタル効率化を目指す企業にとって、CIOの存在は欠かせないものとなった。

CIOには顧客の需要に敏感に反応し、効果的に形づけていくことが要求される。「デジタル改革でCIOが重要な役割を果たす」ことが、成功を左右すると認識しているのは30%。

34%が「デジタル改革に必要なコストを理解し、成果をあげるうえで適切な技術が採用されている」必要があると回答している。

また内部、外部との提携も非常に重要なカギを握っており、49%が「人材育成部門の協力」が必要不可欠と見なしている。

しかしこうした提携関係を重視する姿勢はあくまで内部に向けられているようで、「最高マーケティング責任者(CMO)」を改革のリーダーと見なしているCIOはわずか8%、「CEO」の先導力を実感しているのは30%だ。

目まぐるしく進化するデジタル・チャンネルで遅れをとらないために、CIOは常に自らを含む組織全体のスキルアップに積極的でなくてはならない。それと同時に、CMOとも提携関係を広げ、伝統的、革命的という観点でバランスのとれた取り組みを行うことが、重要な課題となると、コグニザントは見ている。