キャリアの選択肢が増えるこの頃、転職したことがある、もしくは転職を考えた経験がある人も珍しくないでしょう。

その転職において大事なことの1つに「税金や保険の類の手続き」があります。

今回は、転職時の保険や税金について解説します。

転職時、年金はどうする?公的年金編

まずは転職時の「公的年金」についてです。

公的年金について

(写真=Aaban/Shutterstock.com)

公的年金には「国民皆年金」の原則があり、日本国内に住所のあるすべての人が何らかの公的年金への加入を義務付けられています。年金の保険料は給与から天引きされ、将来、年金を受取ることができるようになります。

会社員や公務員であれば、国民年金と厚生年金の2つに加入しています。自営業やフリーター、専業主婦であれば国民年金のみに加入していることでしょう。

▽国民年金について
* 第1号被保険者:自営業者やフリーター、学生、無職の人など
* 第2号被保険者:会社員や公務員
* 第3号被保険者:専業主婦・夫など(第2号被保険者に養われている年収130万円未満の配偶者)

会社員の人は、転職時にブランクがないのなら問題ないのですが、次の会社に入社するまで空白期間がある場合は、退職後14日以内に国民年金の「第1号被保険者」または「第3号被保険者」に切り替える手続きが必要になります。

第1号被保険者へ切り替える方法

(写真=Nomad_Soul/Shutterstock.com)

第1号被保険者への切り替え手続きは「住所地の市区町村役場」で行い、手続きに必要なものは年金手帳、印鑑、離職票等の退職日を確認できるものです。

第1号被保険者として国民年金に加入すると、これからは自分で年金保険料を納めなければなりません。2017年現在の国民年金保険料は、月額1万6490円です。

ただし国民年金には、保険料の特例免除制度があり、転職ではなく単に失業してお金がない等の場合は、保険料納付を(一定額、最大で全額)免除してもらえます。家計が苦しい時は、役所の方に相談しましょう。

第3号被保険者に切り替える方法

(写真= Evgeny Atamanenko/Shutterstock.com)

また、第3号被保険者に切り替えたい場合、事業主を経由して「被扶養者届」を日本年金機構へ提出してください。手続きに必要なものは退職証明書や雇用保険受給資格者証などの収入要件が分かる書類と、住民票です。

ただ、転職時期や年収によっては「年収130万円未満」という条件に引っかかる事が多いため、すでに超えているなら諦めて第1号被保険者として手続きしましょう。

転職時、年金はどうする?確定拠出年金編

(写真= interstid/Shutterstock.com)

転職時の年金で忘れがちなのが、「確定拠出年金」です。

確定拠出年金とは、若いうちから老後資金を自分でコツコツ積み立てていく「じぶん年金」制度のことで、企業が一部の費用を負担してくれる「企業型」と、個人で全ての資金を賄う「個人型」の2種類があります。

勤め先が企業型を導入していれば企業型確定拠出年金、導入していなければ個人型確定拠出年金に加入している可能性があります。

企業型確定拠出年金の手続き

(写真= Pressmaster/Shutterstock.com)

企業型確定拠出年金制度に加入している人は、退職から6カ月以内に、以下のいずれかの手続きが必要になります。

  1. 他の企業型確定拠出年金に資産を移管する
  2. iDeCo(個人型確定拠出年金)に資産を移管する
  3. 脱退一時金を(請求できるなら)請求する

    もし手続きを怠ると、その資産は自動的に国民年金基金連合会へと移管され、「資産の運用がされない」「管理手数料がかかる」「年金受給期間に参入されない」といったデメリットが発生します。

    大事な自分の資産ですから、自分でしっかり適当な移管手続きをして、守っていきましょう。

個人型確定拠出年金に加入している場合

(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)

転職時に個人型確定拠出年金に加入している場合は、その状況によって以下のような手続きを取る必要があります。

▽転職先の企業型確定拠出年金に加入する場合
「加入者資格喪失届」を運営管理機関に提出

▽転職先の企業型確定拠出年金に加入しつつ、引き続き個人型も加入する場合
(企業型確定拠出年金の規約で同時加入が認められている場合のみ)
・「加入者登録事業所変更届」に転職先の必要書類を添付して運営管理機関に提出
・第一号、または第三号からの加入の場合は、「加入者被保険者種別変更届」に転職先の必要書類を添付して運営管理機関に提出

▽転職先に企業型確定拠出年金がない場合
・引き続き個人型確定拠出年金に加入可能で、「加入者被保険者種別変更届」または「加入者登録事業所変更届」に転職先の必要書類を添付して運営管理機関に提出

なお、個人型確定拠出年金には「退職後6ヶ月以内に…」などという手続き上の縛りはありません。また単なる失業等で当面の掛け金拠出が厳しい場合は、掛け金を変更する事も可能です(年一回)。あなたの状況に合わせた手続きを取りましょう。