会社を退職することになった…。その理由は会社都合と自己都合のどちらでしょうか? 今回はそれぞれの違いとメリット・デメリットについて解説。また自己都合退職を、会社都合退職にできたケースなどについても紹介していきます。

Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
梅雨に入りましたね。毎年ちょっと憂鬱になってしまう季節ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

何故、雨の日に自分の気持ちが少しダウンしてしまうのか? と考えてみたのですが、見上げる空の色がどんよりしているからだと気付きました。それに、足元が濡れてしまうのも気持ちの良いものではありませんね。そこで、今年は夏の賞与の一部を使って、きれいな色のレインブーツを購入しようかなと思っています。雨の日に出掛けるのが楽しみになるようなすてきなブーツに出会えると良いのですけれど…。

会社都合の退職と自己都合の退職はどう違うの?

さて、先週は解雇や退職勧奨についてお伝えしましたが、今週は「会社都合退職と自己都合退職の違い」。双方のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。 *

「自己都合退職」…自らの決断で退職すること

通常の「会社を辞めること」=自己都合退職に当てはまります。自分が望む仕事のやりがいや待遇などを求めて転職する場合や、やむを得ない事情(肉親の介護・病気療養等)での退職もあるでしょう。Cinqの読者世代ですと、出産し、育児に専念する場合も自己都合退職ですね。

主語が「私」の退職(私が自分の意思で選んだ退職)それが自己都合退職です。

「会社都合退職」…退職せざるを得ない状況に追い込まれること

会社の経営破綻や業績悪化に伴う人員整理により、一方的に労働契約を解除された場合です。「自分の意志に反して退職を余儀なくされたケース」が当てはまります。

【会社都合の退職に当てはまる例】
✔︎企業の倒産
✔︎リストラ
✔︎解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇は除きます)
✔︎職場の上司・同僚等から、いじめや嫌がらせを受けた(パワハラ・セクハラ等)
✔︎勤務場所や勤務時間、賃金・職種などが労働契約締結時と著しく異なる
✔︎大幅な減給
✔︎賃金の未払い
✔︎退職するように促されるいわゆる“退職勧奨”を受けた

懲戒処分の対象となる問題を起こして免職・解雇となったケースは「自己都合退職」扱いになります。不当な懲戒処分の可能性が考えられる場合には、企業側に詳しい説明を求め、書類で受け取るようにしましょう。

また、早期退職優遇制度等に応募して離職した場合は、会社都合退職ではなく自己都合退職扱いになります。「退職金割り増しを交渉した」という経緯から自己都合退職に該当すると判断された事例もあります。

「自己都合退職」のメリット・デメリット

自己都合退職か会社都合退職かによって、異なることになるのは、下記の3つです。

  1. 失業給付金の給付内容
  2. 退職届や転職活動時の履歴書の記載内容
  3. 退職金のある企業の場合は、その支給内容

自己都合退職のメリット

自己都合退職の場合、退職理由は「一身上の都合」として記載するだけで問題ありません。
転職活動への影響はほとんどないと言ってよいと思います。

自己都合退職のデメリット

自己都合退職の場合、失業給付金の支給を受けるまで、3ヶ月の「給付制限」があります。
ハローワークの手続き上、「待機期間」として7日間は待つことになっているため、失業給付はどんなに早くても「3ヶ月と7日後」からの支給となります。

つまり、最低3か月間は、収入が途絶えることになるわけです。
また、会社都合退職と比較すると給付期間も短くなります。

さらに、退職金を支給している企業の場合、自己都合退職の場合は会社都合退職よりも退職金が減額されるケースがあります。詳細は、ご自身がお勤めになっている企業の就業規則をきちんと確認するようにしてくださいね。

例外として失業給付金の制限が免除される自己都合退職のケースは?

同じ自己都合退職でも、理由によっては、「特定理由離職者」として給付制限が免除されるケースもあります。会社都合退職と同様に、給付日数が長くなったり、国民健康保険料が軽減される場合もあるので、しっかり調べてご自身の退職時が該当しないか確認しておきましょう。

下記はその一例です。

✔︎健康面から、通勤にドクターストップがかかった
✔︎ご家族の死によって家庭状況の急変した
✔︎長期間(1か月以上)にわたる家族への看護や介護を行う必要が生じた
✔︎事業所の移転により、往復の通勤時間が4時間以上となり通勤が難しくなった

「特定理由離職者」認められるかどうかは、個別の事例によって異なります。また、「特定理由離職者」として認められる場合には必要書類の提出が求められますので、個別事例はお近くのハローワークに確認してみてください。

自己都合退職を、会社都合退職にできる場合とは?

退職時に自己都合退職として扱われてしまっていても、ハローワークで会社都合退職だと認められるケースもあり、その場合は「会社都合退職」に変更できます。例えば、「残業時間が長すぎる」「給料の減額、未払い」「採用時の条件と実際の労働条件が大きく異なる」「セクハラ、パワハラなどのハラスメントを受けた」などが該当します。

私自身の経験でお話しますが、ある企業で所属していた部署が全面撤退するために退職せざるを得なかったことがありました。自己都合退職することを強く迫られ、半ば強制的に退職せざるをえなかったため、納得できなかった私は、事前に複数回「労働基準監督署」に足を運び事情を相談していました。
その際持参したのは下記の書類です。

  • 退職勧奨がスタートした時期と、言われた内容のメモ
    時系列順に、誰にどんな言葉を投げかけられたかを記載しました。
  • 過去2年分の給与明細(継続雇用されていたことの証明のため準備)
    最終月に大幅に給与がカットされており、何の説明もなかったことも証明できました。 本来、ここにタイムカードのデータを加えたかったところですが、この会社にはタイムカードがなく、添付はできませんでした。

    結果、労働基準監督署に行ったことで、「労働基準監督署が企業に対して何か特別な働きかけをしてくれた」わけではありませんでしたが、実際に失業給付の手続きをする時点で「これは自己都合退職の中でも特殊事例だ」とハローワークでも認定してもらうことができたのです。

    ※願わくば、これをお読みのCinq読者の皆様にはこんな思いは絶対してもらいたくないと思いますが、コロナ禍で少しでも参考になる方がいらっしゃれば…と思い記載させていただきました。