先行き不透明な時代に、どのような企業が安定していると言えるのでしょうか。この記事では、売上高や純利益だけでなく、保有資産に目を向けてみます。例えば、不動産を多く所有していれば賃借の費用を抑えられるだけではなく、賃貸事業によって収益も得られ、業績が悪化しても売却すればキャッシュを得られることに。そこで“不動産リッチ”と言える企業を調べてみました。

企業が不動産を保有する意味とは?

日本の上場企業の不動産保有率は75%程度。企業が保有している不動産は「CRE(企業不動産)」と呼ばれます。企業が不動産を持つ意味については、賃貸事業を展開できることや売却によってキャッシュを得られるほかに、次のような利点があります。

担保として資金調達がスムーズになる

企業は新たな事業の展開などに合わせて金融機関などから資金調達を行うことがありますが、「不動産」という資産をその企業が多く保有していれば、借り入れの際の担保として活かせます。つまり、不動産を保有していることで資金調達がスムーズになるわけです。

不動産は「インフレヘッジ」につながる

「インフレヘッジ」になることも特筆すべき点です。インフレ下では「モノ」の値段が上がり「お金」の価値が下がりますが、不動産は「モノ」であるためインフレに合わせて価値が上がりやすく、現金としてではなく不動産として資産を保有することでインフレリスクを回避(ヘッジ)できるのです。

企業の信用力が高まる

「◯◯ビル」というように企業名の付いたオフィスビルなどを所有しておくことで、大手企業としての信用力向上も期待できます。特に保有しているビルが都心の一等地などにある場合は、そのビルの名称がその企業の「広告塔」にもなってくれます。

不動産を多く保有しているのは、どの企業?

このように企業が不動産を保有する意義は大きく、身近な大手企業の中には“不動産リッチ”の企業は多数存在しています。企業格付け会社のリスクモンスター株式会社が2019年1月に発表した「第1回『不動産王ランキング』調査」から、不動産リッチの企業を紹介していきましょう。

第1回「不動産王ランキング」

この調査では、不動産資産の核となる「土地」の保有額に着目して各企業をランキング化しています。ベスト10にランクインしている企業の特徴としては「不動産業」と「鉄道業」が多いことです。

不動産業では住友不動産(1位)、三菱地所(3位)、三井不動産(4位)などがランクインし、鉄道業ではJR東海(2位)、JR東日本(5位)、阪急阪神ホールディングス(9位)などの名前があります。

ここからは、不動産を多く保有する事情を各業界や企業別に分析してみましょう。