ビジネスにおいては、フレームワークと呼ばれる思考ツールがいくつも存在します。その中でも「5フォース分析」は業界の構造を把握するためのもので、これから就職する/就職したい業界では、どのようにして収益が上げられているのか考えることができるでしょう。「5フォース分析」のポイントを知って周囲と差をつけてみませんか?
5フォース分析ってどんなもの?
5フォース/ファイブフォース分析とは、アメリカの経営学者であるマイケル・E・ポーター氏が提唱した分析手法の1つです。ポーター氏は1982年に当時としては史上最年少の35歳でハーバード大学の正教授に就任した人物で、1980年に出版した『競争の戦略』は世界的なベストセラーになりました。“フォース”とは力や強さを意味します。
「5フォース分析」とは業界における5つの力関係から業界の構造を把握するというもので、「5つの力」とは次のことをさします。
- 競合(業界内の競争)
- 新規参入の驚異
- 代替品の驚異
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
競合(業界内の競争)
業界内にどれだけ“競合”が存在するかは、ずばり収益性に影響を及ぼします。ここでいう競合とは、直接的に競争する企業を指します。
どんなに利益の高い市場でも、競合が多ければ利益の取り分は小さくなるもの。ライバルが多ければ、品質や価格を工夫して自分たちだけの強みを作る必要があるでしょう。
新規参入の驚異
はじめは目立った競合のいないブルーオーシャンだったとしても、あとから多くの企業が参入してくる可能性があるでしょう。この驚異は多くの場合、その「新規参入のしやすさ」を指します。
必要な設備や事業を取り巻く法律などにおいて自社の強みを活かし、参入障壁を高めることが必要でしょう。
代替品の驚異
収益性を低下させる驚異は、ライバル企業や新規参入に留まりません。ここでいう代替品とは、自社が提供する製品・サービスとは異なるものだとしても“類似のニーズを満たす”ものを指します。
例えばノマドワーカーから人気を集めるカフェの場合、他の飲食チェーン店はもちろんコワーキングスペースや作業可能な施設は、例え直接的なライバル企業ではなくても驚異の対象となるでしょう。
売り手の交渉力
売り手であるサプライヤー(仕入先、供給元、納品業者)が、どれだけの交渉力を持っているか?も収益に影響します。市場を独占するサプライヤーの言い値で仕入れなければならない状態だと、仕入れコストがかさんでしまいます。
買い手の交渉力
買い手である顧客の交渉力が強い場合は、値下げや品質の向上を要求されれば収益が低くなるでしょう。また、買い手の交渉力が強い業界の場合、企業同士で値引き競争になり、収益が上がらないという事態も考えられます。