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2020/01/23

「所得控除の額の合計額」って?源泉徴収票の読み方と税制の改正点

(写真=PIXTA)
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年末になると会社で年末調整をしますよね。その際「源泉徴収票」を会社から受け取りますが、「正直よくわからない」という方が多いのではないでしょうか。源泉徴収票には私たちの税金の仕組みが詰まっています。源泉徴収票の見方を基礎から解説しますので、税金の仕組みに強くなりましょう。

会社員の税金の仕組み

(写真=metamorworks/Shutterstock.com)

会社員の税金の計算3ステップ

サラリーマンのような給与所得者の税金は、ざっくり次の3ステップで計算され、決定します。
  1. 収入(年収、給与額面)から「給与所得控除(会社員のみなし経費)」を引き「給与所得」を計算
  2. 給与所得から各種の所得控除を引き課税される所得を計算
  3. 税率を掛け、納付する税金が決定

給与所得者は会社が代わりに納税してくれている

税金は本来、私たち一人ひとりが自分で計算・申告し納付することになっています。しかし、「私は税金を計算したことないよ?」という方は多いでしょう。

実際には一部の方を除き、給与所得者の税金は会社が代わりに納めています。会社は給与から税金を簡易的に計算し、毎月の給与から天引きしています。これが源泉徴収で、多くの会社員が確定申告をしないで済む理由です。

「年末調整」で本来の納税額に合わせる

月々の源泉徴収で簡易的に計算された税額は、本来納めるべき税金の金額と税金が一致しないことがあります。これを調整するのが「年末調整」です。源泉徴収で税金が多く取られ過ぎていたら還付され、不足があれば追徴されます。

源泉徴収票の読み方

(写真=PIXTA)

年末調整を行うことにより、毎年の会社員の納税額が決定されていることはご理解いただけたと思います。この税額の決定通知とも呼べるものが「給与所得の源泉徴収票」です。源泉徴収票には、大きく4種類の金額が記載されています。
 
支払いを受ける者 住所又は居所   受給者番号・個人番号
役職名
氏名
種別 支払金額 給与所得控除後の
金額
所得控除の額の
合計額
源泉徴収税額
 

①支払金額

支払金額は、会社があなたに支払った給与の金額です。いわゆる額面で、税金や社会保険料などが引かれる前の金額です。

②給与所得控除後の金額

①の支払金額から給与所得控除を引いた金額が記載されます。給与所得控除額は年収に応じて変わりますが、例えば2019年の年収が400万円の人の場合は、「給与収入×20%+54万円」という計算で給与所得控除額が求められます。

この際、給与所得控除後の金額は以下の通りです。
400万円×20%+54万円=134万円(給与所得控除額)
400万円−134万円=266万円(給与所得控除額後の金額)

③所得控除の額の合計額

給与所得控除“以外”の所得控除がいくらあるかが記載されています。先述した会社員の税金の計算3ステップのうち、ステップ2で計算する所得控除の合計額にあたります。

ここには、月々の源泉徴収ですでに計算されている所得控除と、年末調整で計算される所得控除が合算されています。

すでに源泉徴収されている所得控除は、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除です。これに加え、年末調整で生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などを申請した場合、この「所得控除の額の合計額」部分に控除額が反映されます。これらの所得控除が多いと年末調整で還付される可能性が大きくなりますよ。

④源泉徴収税額

ここには最終的な1年間の所得税額が記載されます。源泉徴収ですでに納めた税額ではなく、年末調整を終えた最終的な税額のことです。

2020年からサラリーマンが増税に?

(写真=BabLab/Shutterstock.com)

実は2020年から税制が変わり、サラリーマンは増税となりました。とはいえ、多くの方には影響がみられないのですが、念のため確認しておきましょう。

給与所得控除が一律10万円引き下げ+上限引き下げ

2019年まで 2020年以降
給与額面 給与所得控除 給与額面 給与所得控除
180万円以下 給与収入×40%
(65万円を下回る場合、
65万円)
180万円以下 給与収入×40%
-10万円
(55万円を下回る場合、
55万円)
180~360万円
以下
給与収入×30%
+18万円
180~360万円
以下
給与収入×30%
+8万円
360~660万円
以下
給与収入×20%
+54万円
360~660万円
以下
給与収入×20%
+44万円
660~1,000万円
以下
給与収入×10%
+120万円
660~850万円
以下
給与収入×10%
+110万円
1,000万円超 一律220万円 850万円超 一律195万円

会社員のみなし経費である給与所得控除の額が引き下げられました。控除が大きければ大きいほど税金が安くなるので、控除額の引き下げは増税要因です。

特に年収が高い方は増税の影響が大きくなります。これまで年収1,000万円までは給与所得控除が年収に応じ大きくなりました。2020年からは年収の上限が850万円に引き下げられ、最大の控除額も220万円から195万円に引き下げられました。

基礎控除が10万円引き上げ

2019年まで 2020年以降
基礎控除の額 合計の所得金額 基礎控除の額
38万円(一律) 2,400万円以下 48万円
2,400~2,450万円以下 32万円
2,450~2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0

一方、すべての人が受けられる基礎控除は引き上げられました。控除が大きくなるので、これは減税要因です。

給与所得控除は10万円引き下げ、基礎控除は10万円引き上げられました。多くの方は相殺されて影響がありません。

年収850万円以上のサラリーマンは増税

給与所得控除の引き下げが大きい年収850万円以上のサラリーマンは増税の影響があるでしょう。また合計の所得が2,400万円を超える高所得者も、基礎控除が引き下げられることで増税になります。

多くの方にはまだ影響しませんが、増税の傾向にあるということには注意したいですね。

所得控除を活用し節税しよう

毎年なんとなく受け取っている源泉徴収票も、見方をしっかり理解すると税金の仕組みが見えてきます。特に所得控除が大きいと節税につながりますから、所得控除の合計欄はよく確認したいですね。

また、年収の高いハイキャリアな方は増税の影響が出てきます。節税対策を見直してみるきっかけにしてもよいかもしれません。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

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