ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系、木曜夜10時~)に注目が集まっています。原作は『バラ色の聖戦』や『ホリデイラブ』もドラマ化され、女同士のドロドロした争いを描くのが得意なこやまゆかりの同名コミック。母とふたりで大衆食堂を営む下町育ちの主人公・佐都(土屋太鳳)が、上流社会の一族に嫁ぎ、しきたりや人間関係に翻弄されながらも奮闘する“アフター・シンデレラストーリー”です。
(画像:『やんごとなき一族』フジテレビ公式サイトより)
庶民には理解できない上流階級の世界のなかで、男も女も欲にまみれて醜く争う。このシンプルなあらすじさえ理解できれば、『やんごとなき一族』は5月12日放送の第4話からでも充分に楽しめます。
池に落ち、サウナに閉じ込められ…昼ドラ感がたまらない
主人公・佐都(土屋)が結婚した相手、深山健太(松下洸平)の実家は400年以上続く名家で、不動産業を手掛けて莫大な資産を有する一族。豪華絢爛な世界に見える深山家ですが、その影にあるのは醜い女たちのバトルや壮絶な後継者争いでした。
当主である佐都の義父・圭一(石橋凌)は「いま令和だよね?…えっ昭和初期??」と思うほどの男尊女卑な思想に超独裁的な振る舞いで、身分の格差を理由に佐都を追い出そうとします。
義姉・美保子(松本若菜)や義妹・有沙(馬場ふみか)をはじめ一族の女たちも、よってたかって佐都をいじめてくるのです。義母・久美(木村多江)は圭一に逆らえない立場で、容認している愛人・綾(小沢真珠)がのさばる様は、まさに昼ドラ感全開!
超豪奢なセットに衣裳、宝石(婚約指輪はハリー・ウィンストンで推定2ct・1000万円くらい?!)、美術品などが散りばめられた世界。なのに佐都は、池に落ちたり、サウナに閉じ込められたり、よく分からないスムージーを頭からかけられたり。そんな、ドラマでしか実現できない世界観は、ドロドロながらどこか笑えてしまうエンターテインメント作品に仕上がっています。
松本若菜の嫌味が炸裂!クセになる“松本劇場”
佐都をいじめる女たちのなかでも、最高にいい味を出しているのが義兄・明人(尾上松也)の妻である美保子(松本若菜)です。毎話繰り広げられる、嫌味たっぷりの嫁いびり攻撃は強烈で、“松本劇場”と親しまれて毎週話題になっています。
前回の第3話では、健太と一緒に誕生日を過ごせなくなってしまった佐都に向かって替え歌を浴びせます。「バッドバースデートゥーユー♪」「ぼっちバースデーフォーユー♪」「一緒にお祝いできないなんて、残念、無念、また来年!」「まぁ、ふたりに来年があるか分からないけど」って!!佐都がつぶやく通り「性格悪っ(笑)」…と思うのですが、松本が演じると不思議と憎めないのです。
筆者が最初にハッとしたのは、『ラッキーセブン』(2012年、フジテレビ系)で松本潤と不倫する人妻を演じたときの松本若菜。ベッドから起き上がったお背中と色っぽい表情がとにかく美しくて……そう、とっても容姿端麗な女優さんなのです。最近では『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)でクールビューティーな刑事を演じ、7月から放送の『復讐の未亡人』(テレビ東京)では美しい未亡人として主演する予定です。
そんな美しい松本ですが、『やんごとなき一族』の“松本劇場”では変顔から怒り顔、不敵の笑みまで…とにかく多彩な表情を見せてくれています。気品あふれる美しさを放ったかと思えば、振り切ったコミカルな演技を展開。第4話以降もどんな“松本劇場”が繰り広げられるのか楽しみでなりません。