こんなにイケメンで、なおかつこんなに男前な俳優が他にいるだろうか?
『明日、私は誰かのカノジョ』公式サイトより
現在、毎日放送・TBSのドラマイズムで放送中のドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(火曜深夜以下、『明日カノ』)に出演する福山翔大をみて、思わず考えてしまった。努力と誠実さを滲ませながら、凛とした表情を浮かべる福山の魅力。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、男前イケメン俳優・福山翔大の男気あふれる演技力に迫る。
「男前イケメン俳優」のトップバッター
筆者が密かに注目してきた福山翔大のことを形容するのにふさわしい言葉を探してみる。一見すると、爽やかな好青年タイプのイケメンなんだけど、それ以上に芯の強さを感じる。凛々しい眉に、きりっとした眼差しの武士顔。精悍な表情からは、「男前」の一語が浮かんでくる。でも、イケメンであることに間違いはないのだから、ここは、「男前イケメン俳優」がどうやらしっくりきそうだ!
福岡県福岡市出身で、筋金入りの九州男児である福山。男前のイメージにふさわしく、何かひとつの道をひた走るような情熱的なキャラクターを演じさせたら、彼の右にでる者はいないと思う。
『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』(2021年)で演じた、妹を溺愛する兄役の忘れがたい名演や、現在フジテレビ系で放送中のドラマ『クロステイル~探偵教室~』の元陸上選手役など、力強い演技には、常にどっしり構えた安定感がある。
それでいて、男泣きの演技をしても、絶対にサマになるだろうなと想像させるところもあるのが、エモーショナルな俳優らしい。とにかく、男前イケメン俳優のトップバッターと言える存在であることは、間違いない。
血と汗の熱演をみせた初主演映画
『JK☆ROCK』DVD(TCエンタテインメント)
初主演映画『JK☆ROCK』(2019年)は、そんな福山の男前のイメージとは裏腹な役柄が面白い作品だった。大学生の海江田丈(福山翔大)は、助手席に彼女を乗せて、紫色のスーパーカーをキャンパス内で乗り回すボンボンのイケメン。その様子を見た他の学生たちは、「嫌な感じ」と口々に言う。通称「パープル王子」は、映画冒頭では、男前どころか、女子高校生によるガールズバンド「DROP DOLL」のドラマ担当・桜(早山千尋)から容赦なく罵倒されるように、“クソ男”でしかなかった。
それでも、訳あってロックカフェのオーナー照雄(西村まさ彦)に預けている愛猫の潤む瞳にほだされ、DROP DOLLをコーチすることになると、音楽の力によって男気を発揮する。ばらばらなバンドサウンドを聴いて見兼ねた丈は、元ロックマン魂を揺さぶられながら、クールさの中にも情熱的な誠実さを取り戻していく。桜へのドラム指導ではつい熱が入り、『セッション』のJ・K・シモンズ顔負けの熱血キャラへの豹変ぶりには驚いた。
要するに本作は、一度は挫折した男が、ロックへの愛を取り戻す再生と克服の物語なのだけれど、この初主演に全身全霊で挑もうとする福山の懸命さ、誠実さ、気高さが役柄に込められ、体現されることが、どれだけ感動的だったことか。福山の血と汗の熱演が、何より男前であることの証となった。