出産後に臭いおならが止まらなくなることに悩むママはたくさんいます。妊娠前にはおならに悩むことがなかった人も、どうして出産後には臭いおならが止まらなくなってしまうのでしょうか?出産後のおならの原因と対策について東京医療保健大学の米山万里枝教授にお話を伺いました。
産後に臭いおならが止まらない!!どうして?!
出産するとママの身体には出産前には考えられなかったほど沢山の変化が現れるものです。赤ちゃんが産まれたら、あれもやりたい!これもやりたい!と赤ちゃんとの生活に夢を馳せていた人も多いことでしょう。
しかし、せっかく待ち焦がれていた赤ちゃんがこの世に生まれてきてくれたのに、ママの身体に起こる出産後の変化の中には、あまりありがたくないものもあります。
ママの体の出産後のちょっと困った体調の変化の中には、おならが止まらないことや我慢できないことがあります。
妊娠前まではおならが出ることもそれほどなかったり、おならをしたくなっても我慢できたりしていたものが、大きな音がする臭いおならが止まらないことや、我慢できないようになってしまうママが沢山います。
この記事では、出産後に我慢できない臭いおならが止まらない原因や対策について紹介します。
監修者は…米山万里枝教授
妊婦の健康管理・指導、出産後の体調・メンタルケアから乳児指導まで母子保健に関する一連の管理・指導活動を行う助産師資格を取得する助産学専攻科、助産師資格を有してキャリアアップをする大学院の教授。
所属:東京医療保健大学
医療保健学部 看護学科/助産学専攻科、大学院 医療保健学研究科
職位:教授
学位/資格:博士(医療福祉経営学)、MBA(経営学修士)、看護師・助産師 等
専門分野:母性看護学・生殖発達看護学 (女性学)・臨床助産学・助産教育学・臨床教育方法 等
おならとはいったい何?どうして臭いの?!
まず出産後のおならについてみていく前に、おならとはどういうものなのかをみていきましょう。
おならというのは腸にたまって肛門から出てくるガスのことです。どうしてお腹の中におならの元となるガスが溜まってしまうのでしょうか。
臭いおならの元となるガスが溜まる原因には2つ考えられます。
1つ目は口から食べ物や飲み物と一緒に飲み込んでいる空気です。私たちは食べ物や飲み物と一緒に空気を飲み込んでしまうことがあります。
口からゲップとして出ることもありますが、それが腸の方まで降りていってしまうと、おならとなって体の外へ排出されます。口から飲み込んだ空気が原因となるおならの場合は、ほとんど臭いはしません。
2つ目は、腸の中に滞留した食べ物のカスが発酵してメタンガスなどが発生したガスになります。
普通私たちの身体では食べたものは24時間から48時間で便となって排出されます。しかし何らかの理由で食べたものが完全に排出されずにお腹の中にとどまってしまうと便秘になります。
便秘になると食べ物のカスの有機物で作られた便が、お腹の中に滞留して、程よい体温で熟成されるのでどうしてもガスが発生してしまいます。このガスがお腹の中にたまるとおならとして排出されるのです。
産後におならが止まらないのには原因がある!!
妊娠前はそれほどおならに悩むことがなかった人でも、出産後に止めようと思っても止まらないおならに、自分でも我慢できない思いをしている人も多くいます。
しかも、なぜか臭いおならになることが多いのです。どうして出産後には臭いおならが止まらないのでしょうか?
臭いおなら(ガス)が頻回に出る原因は、腸内で増えすぎた悪玉菌や、腸の下垂による便秘やガスが溜まっていることによるものです。
臭いおならが溜まる原因をみていきましょう。
原因①運動不足
臭いおならが溜まる原因の一つに「腸の下垂」があります。腸が下垂する原因は加齢や運動不足です。
大腸はお腹を一周しており、直腸、上行結腸、下行結腸は固定されていますが、横行結腸や肛門に近いS状結腸は、体内で固定されていません。そのため自由に動き、横行結腸は下垂しやすく、S状結腸はねじれてしまうことがあります。そうすると、腸が長くなり便の移動が円滑にいかず、便秘しやすく、ガスもたまってきます。
出産後に臭いおならが増えたと思う場合は、運動不足による腸の筋肉の衰えが原因と言えるでしょう。
原因②腹筋の弱さ
腹筋の強さと腸の筋肉は相関関係があり、腹筋が強いと腸も強く、下垂しにくいです。反対に腹筋が弱い人は、腸が垂れておなか(下腹部)がぽっこりしています。
腸管の平滑筋という筋肉は、蠕動運動をして便を押し出しているが、平滑筋が衰えると、腸が薄くなり、伸びて垂れ下がってきます。腸が薄くなると動きも悪くなるので、さらに便秘しやすくなり、臭いおならが頻回する原因になります。
原因③自律神経の乱れ
出産後の生活というのは、慣れない育児ばかりではなく、昼も夜も関係なく赤ちゃんに授乳をしなければならず睡眠不足やストレスによって、自律神経が乱れがちになります。
自律神経というのは、体のすべての活動のバランスを取るための神経で、乱れると体のあちらこちらに不調が現れます。
特に自律神経の乱れによって顕著に不調が現れやすいのが胃腸です。その結果、消化不良や便秘が起こりやすくなり、ガスがたまりやすくなってしまうのです。
原因④増えすぎた悪玉菌
腸の中で悪玉菌が増えすぎると、おならが臭くなる原因になることもあります。
消化の悪い肉類中心や食物繊維が不足する食生活を続けていると、腸の中に悪玉菌が増えてしまいます。
そのほか、自律神経を乱すストレスも、胃の消化不良を起こして腸に腐敗物を蓄積し、悪玉菌を増やす原因となってしまいます。