告知義務違反をした場合どうなるのか

もしうその告知をして保険に加入したらどうなるのだろうか。

加入2年以内に保険会社が告知義務違反を知ると、契約が解除される可能性がある。

保険会社が告知義務違反を知るのは保険金・給付金を請求するタイミングである。請求の際に提出された診断書の初診日が告知した日よりも前であったとき、保険会社は告知義務違反の疑いを持つ。

そして病院や健康保険組合に調査をした上で告知義務違反が判明すると、保険会社は契約を解除することができる。保険契約が解除となると保険金や給付金が支払われないばかりでなく、それまで払った保険料も戻されない。解約返戻金があれば支払われる。

ただし、告知義務違反をした事由と請求をした事由との因果関係がない場合には給付金が支払われる。たとえば、Aさんは高血圧と診断されて薬を飲んでいたがその事実を告げずに保険に加入した。しばらくたって椎間板ヘルニアと診断され入院し手術を受けた。この場合、告知義務違反が発覚して保険契約は解除となる可能性が非常に高い。しかし、告知していなかった病気である高血圧と、今回診断を受けた椎間板ヘルニアの因果関係が認められないため、入院給付金と手術給付金は支払われる。

次のような例もある。医療保険(1)に加入していたBさんが5年後、同じ保険会社で医療保険(2)にも加入した。医療保険(2)加入の半年前に白内障の診断を受けていたが、それを告知せずに加入した。医療保険(2)に入って半年後、Bさんは白内障の手術を受け、もともと加入していた医療保険(1)のほうだけ手術給付金の請求をした。その結果、保険会社は医療保険(2)の告知義務違反を知ることとなり、それを理由にBさんは医療保険(2)を解除された。医療保険(1)からは白内障の手術給付金が支払われた。

加入から2年たてば契約は大丈夫なのか?

保険契約が2年間有効に継続すれば、保険会社は保険契約を解除することができない。ただし「2年以内に保険金等の支払事由が発生していた場合」には保険契約を解除できる。

たとえば、胃がんの疑いがあるにも関わらず保険に加入し、2年以内に実際に胃がんと診断され入院・手術を受けるとする。このとき、あえて保険会社に給付金等の請求をしないでいると保険は有効に継続となる。

そうして2年の経過を待ってから入院と手術の給付金の請求をしたとすると、一見、保険会社は契約を解除できず、給付金が支給されるように思える。しかし、「胃がんによる入院・手術」という「保険金等の支払事由」が2年以内に発生していることになるので、保険会社は保険契約を解除できるということになるのである。

また、保険金詐欺等の悪質な告知義務違反については、永年にわたって保険契約を解除することができるという旨が、どの保険会社の約款にも記載されている。つまり、故意に告知を偽った場合、保険会社はいつでも契約を解除できるのである。

保険募集人から「告知をしなくてもいい」と言われた場合

保険募集人に自分の健康状態を説明した上で、それについては告知しなくてもいいと募集人に言われた場合(不告知教唆・ふこくちきょうさ)、保険会社は保険を解除することができない。

この場合、過失は募集人にある。しかし、調査会社から調査を受けた募集人がそれを認めないことにより裁判に発展するなど、契約者に不利になるケースも起こりうることには注意したい。

うっかり告知をし忘れた場合

人間誰しもうっかり忘れてしまうことはある。告知においても、軽い症状で済んだ病気や、たいしたことないと判断した健康診断での指摘を見逃してしまうことも考えられる。後から思い出した場合は保険会社に問い合わせをして、告知の追加をするといい。

その結果、保険会社の判断で契約は継続、あるいは条件付きで引受、あるいは引受を断られることになるかもしれない。しかし、そのままにしておくと告知義務違反と疑われることもありうるので、きちんと保険会社に事実を伝えるべきだ。