世界と日本の経済が個人の生活に与える影響とは?
円安、物価上昇、情勢悪化…経済が不安定な今、個人ができることは?
長引くコロナ禍やウクライナ情勢など、先行きが不透明にも感じられる2022年。
メディアで報じられる情報に触れるたび、日々を平和に過ごせることが特別にも思えてきます。
しかし、これらの出来事は決して他人事ではありません。なぜなら「経済」に大きく影響を与えているからです。
今回は日本で暮らす私たちの仕事、給与、そして生活に直結する「経済」について紐解いていきます。
【2022年の経済】2022年の日本経済
結論からすると、2022年の日本の経済は良い状態ではありません。インフレーション・デフレーションで表すとインフレーションに該当しますが、これは詳しく後述します。
原油価格の高騰、半導体不足、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの混乱などに加え、急激な円安・ウクライナ情勢の悪化により、物価や資源価格の高騰が起こっています。
円安・円高って何?
経済状況を正しく把握するためには「円相場」を頭に入れておく必要があります。
円相場とは、円に対しての外国通貨(主に米ドルやユーロ)の相対的価値のことです。
中でも米ドルが用いられる機会が多いので、ここではドルと比較していきます。
円相場における「円高」「円安」それぞれにメリット・デメリットがあり、いずれの状態であるかにより、日本の経済状況は大きく変わってきます。
では、円高・円安とは何なのでしょうか?
わかりやすく1ドル=100円を中央値と仮定した時に、1ドルが100円未満であれば円高、100円以上であれば円安ということになります。
例えば、1ドル=80円なら円高、1ドル=120円なら円安という感じです。
「円の数字が小さいほど円高」という考え方は馴染みがないかもしれませんが「少額の円でも1ドルの価値がある」と考えると、イメージがつきやすいかもしれません。
円高=良いことのようにも思えますが、円高は輸入品が安くなる一方で、輸出品が高額になり売れにくくなるというデメリットもあります。(円安はこの反対:輸入が不利・輸出に有利になります。)
現在日本は「円安」の状態に陥っており、2022年3月中旬には1ドル119円台、2ヶ月後の5月10日の時点で130円台と短期間で円安が加速している状況です。
日本は食料や資源の多くを輸入品に頼っていることもあり、長引く円安により今後も消費者レベルでの深刻なダメージが見込まれます。
そもそも従来は、世界的に政治や経済が不安定になると円高になるケースが大半でした。世界最大の債権国である日本の国債は国際金融市場で安全資産という認識が広く浸透しており、各国が日本国債を買い入れていたためです。
しかし今回は、ウクライナ情勢の悪化にもかかわらず円安が続いています。インフレが続く中、各国で利上げや金融緩和の早期終了などの対策が取られたのです。
海外で利上げが進めば、預金も円より外貨が有利となるため、円が選ばれる機会も減ってしまいます。こうして円安が進行したのです。
ちなみに、米ドルやユーロだけではなく他の外国通貨に対しても円安が進んでいます。
上記に加え、シンプルに「円」そのものの価値がかつてより落ちてしまったということがその理由に挙げられます。
インフレ・デフレ・スタグフレーションとは?
コロナ禍の影響で景気が停滞しているにも関わらず、物価はどんどん高騰していく。
これはインフレーションの中でもスタグフレーションに近い状況です。
物価も給与もUPするインフレ、物価も給与も下降するデフレに対し、スタグフレーションは景気が停滞しているにも関わらず、物価の上昇が続いている現象を指します。
不況を意味するスタグネーションとインフレーションを組み合わせた造語で、「悪いインフレ」とも呼ばれることがあります。