長く愛されているジブリ作品の一つ『崖の上のポニョ』を見ていると、その声に聞き覚えのある方もいるかもしれません。この作品には多くの有名俳優やタレントが参加しており、声優陣の豪華さでも知られています。そこで今回は『崖の上のポニョ』の声優キャストたちについてご紹介します。
『崖の上のポニョ』の作品情報
2008年に公開された宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』は、今でもテレビの地上波でロードショーになると、SNSなどで注目を浴びる名作の一つです。日本だけでなく、フランスを始めとしたヨーロッパ諸国でも愛されている作品で、時折子供向けに映画館でリバイバル上映がされることもあります。
世界中にファンのいる『崖の上のポニョ』の概要や、そのあらすじなどについて改めてチェックしていきましょう。改めて読むと、新しい発見があるかもしれません。
崖の上のポニョの概要
『崖の上のポニョ』と言えば、「生まれてきてよかった」や「子どもの頃の約束は、永遠に忘れない」などといったキャッチコピーが頭に浮かぶ方もいるでしょう。大人の心にも染みるこれらのメッセージが作品中に散りばめられています。
ジブリならではのファンタジーな世界観はそのままなので、子供が楽しめるのはもちろん、大人が見ても深く感動を覚えるストーリーになっています。
『崖の上のポニョ』は、2004年に公開された『ハウルの動く城』の4年後である2008年に公開された作品で、待望の宮崎駿監督作品として世界的に注目を浴びました。
人間になりたい魚のポニョと少年の交流を描いたファンタジー作品で、幼いながらも信頼関係でしっかりと結ばれた2人の関係は、大人から見てもまぶしいほどです。宮崎駿監督は、2013年公開の『風立ちぬ』にて長編作品引退宣言を行ったものの、その後2017年に引退宣言を撤回しています。
崖の上のポニョのあらすじ
好奇心旺盛な5歳の少年宗助は、母親のリサと共に高台の上にある一軒家に住んでいます。父親は貨物船の船長で家を空けることが多く、普段はリサとの2人暮らしです。
宗助はリサが勤務しているデイケアサービスセンター「ひまわりの家」に隣接している保育園に通っており、日中も垣根をくぐってセンターに出入りすることから、入所者であるおばあちゃんたちとも仲良しです。
ある日宗助は、浅瀬で瓶に入って出られなくなっている赤い魚のポニョを見つけます。バケツに入れて保育園に連れて行ったものの、結局ポニョの父であるフジモトにポニョは連れ戻されてしまい、フジモトの魔法により泡の中に閉じ込められてしまいます。
ポニョの妹や弟たちは閉じ込められた姉を助け、ポニョは魔法を使って人間となり、嵐の中宗助の家にかけてゆき、ポニョと宗助は感動の再会を果たします。
しかしフジモトは、ポニョが世界に大穴を開けたと騒ぎ始め、それを聞いたグランマンマーレは、ポニョを人間にしてしまえば魔法がなくなり大穴も閉じると提案します。
ポニョが魔法の力を捨て人間になるには、宗助が魚であったポニョの真実の姿を知った上で、彼女を愛し続けることが条件となります。まだ幼い2人にそんな約束ができるのか不安に思う周りをよそに、ポニョの母であるグランマンマーレの問いかけに2人は迷わずうなずくのです。
こうしてポニョは宗助とのキスにより宗助と同じ5歳の少女となり、宗助とリサと共に暮らすことになり、世界の大穴は無事に閉じられ平和が戻ります。
『崖の上のポニョ』主要登場人物の声優キャスト
『崖の上のポニョ』には著名な人物が多く声優として参加しています。ここではどんな声優キャストがいるのか、それぞれの役をチェックしてみましょう。もしかすると中には意外に思われる方もいるかもしれません。
声優①ポニョ:奈良柚莉愛(現・神月柚莉愛)
映画が公開された当時、主人公ポニョの声が可愛らしくて、役にぴったりとはまっていたと高評価を得ていました。このポニョの声を担当していたのが、当時8歳の奈良柚莉愛さんです。
人間、半魚人、魚という3つの姿で登場するポニョの声を上手に演じ、特に「ポニョ、宗介、好き!」というセリフは、その単語の間隔も素晴らしいと宮崎駿監督が絶賛していたほどです。
奈良柚莉愛さんは2008年11月に歌手デビューし、2019年5月より愛知県名古屋市を拠点とするアイドルグループに加入したのをきっかけに芸名を神月柚莉愛と改名しています。現在はアイドル活動は休止し、松竹芸能に所属する女優として、舞台を中心に活躍しています。
声優②宗介:土井洋輝
『崖の上のポニョ』のもう一人の主人公、5歳の宗助の声を演じたのが土井洋輝さんです。土井洋輝さんは当時小学3年生で、ポニョを一生懸命探したり守ったりする宗助の声を上手に演じていました。
土井洋輝さんは2008年まで芸能事務所、エヌ・エー・シー広島に所属していたものの、その後は特に芸能活動を続けていないようです。
声優③リサ:山口智子
宗助の母でざっくばらんで素直な性格のリサを演じているのが、女優の山口智子さんです。山口智子さんは1990年代には連ドラの女王とも呼ばれていたものの、1995年に俳優の唐沢寿明さんと結婚してからは第一線を退き、主にCMや雑誌、ドラマや番組などの単発出演などを中心に活躍しています。
自身の育った家庭環境から、子供を作らない人生を選んでおり、今回の母親役では一般的な母親イメージとは少しずれたリサという役を見事に演じていました。息子からも「リサ」と呼び捨てにされている、一人の女性としての声は、山口智子さんだからこそ表現できたのかもしれません。
声優④耕一:長嶋一茂
宗助の父親は耕一です。宗助は母親リサのことだけでなく、父親である耕一のことも呼び捨てにしています。耕一の声を担当したのが、元プロ野球選手で現在はタレントとして活躍している長嶋一茂さんです。
長嶋一茂さんの父親はプロ野球監督としても名を馳せた長嶋茂雄さんで、一茂さんの妹、長嶋三奈さんは実業家兼キャスターとしても活躍しています。長嶋一茂さんはこの作品が初めての声優経験ということもあり、なかなか映像に合わせて声を合わせるのが難しかったのだそうです。
仕方なく、宮崎駿監督のアドバイスで、映像の方を長嶋一茂の声に合わせたというエピソードがあります。そのせいか、長嶋一茂さんが声優として参加したジブリ作品はこの『崖の上のポニョ』のみとなっています。
声優⑤グランマンマーレ:天海祐希
ポニョの母であるグランマンマーレの声を演じたのが、今やドラマや舞台で安定した活躍を見せている天海祐希さんです。天海祐希さんは元々宝塚出身の女優で、宝塚時代は男役をしていました。
宝塚引退後はドラマや映画、舞台などで幅広い役を演じているほか、アニメ映画『名探偵コナン』や『メアリと魔女の花』などでもメインキャラクターの声を担当し、声優としての経験も豊富です。
声優⑥フジモト:所ジョージ
ポニョの父で、独特の風貌をしたフジモトを演じているのが、所ジョージさんです。所ジョージは歌手、コメディアン、司会者、俳優など分野に縛られず幅広い活躍を見せています。
フジモトは元は人間であったものの、ポニョの母グランマンマーレと恋に落ち、人間であることを止めたという過去を持っており、どこかシニカルで厳しい一面も持っています。そんなフジモトのキャラクターを、所ジョージさんは少しぼくとつな話し方でうまく表現しています。