家族や自分に万が一のことがあったとき。自分の意志を伝える方法として有効なのが、遺言書です。「まだ元気なのに、遺言書を作るなんて縁起が悪い」と思うかもしれませんが、遺言書を作っておくことでトラブルも回避できます。

無効になってしまう遺言書とは?遺産トラブルを回避するために
(画像=『女子SPA!』より引用)

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そこで、妻が知っておくべき法律をまとめた『妻六法』の著者であり、森法律事務所の副代表弁護士・森元みのり先生に簡単にできる遺言書の書き方について聞きました。

無効になってしまう遺言書とは?遺産トラブルを回避するために
(画像=『女子SPA!』より引用)

ハラスメントから離婚まで、女性がいざという時に頼れる法律をわかりやすく網羅している

遺言書を生前に作るメリットは?

――遺言書を生前に作っておくメリットにはどんなものがあるのでしょうか?

残された家族や周囲の人のことを考えるなら、最低限の遺言書を作っておくのは決して悪いことではありません。遺言書を作っておくことで、相続人や遺産の分割方法、割合の指定はもちろん、相続人以外のお世話になった人への遺贈、生命保険の受取人の変更なども可能になります。

――遺言書は、どうやって作成すればいいのでしょうか。

遺言書には、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類があります。

公正証書遺言は、公証人に依頼し、作成してもらう遺言書です。公証人(元判事・元検事)という法律の専門家が関わって作成するため、無効になることはまずありません。作成時は、証人2名の立会いが必要です。原本が公証役場に保管されるので、破棄されたり、隠されたりする恐れがありません。作成時には費用がかかるものの、無効となるリスクが少ないのが特徴です。

一方、自筆証書遺言は定められた様式に則って、自筆で書かれた遺言書です。パソコンや代筆で作成された場合は、無効になります。自宅で気軽に作成できます。

以前は、自宅で保管することが前提でしたが、2020年7月からは、1件3900円の保管料を支払えば、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度がスタート。法務局で形式上の不備がないか確認してくれるため、「遺書が無効になる」「遺書が発見されない」などのリスクも低下しました。