シマリスのリアルな飼育を間近で見られる場所を!
ペットショップでは、シマリスは「なつきにくい」「観賞用」と言われましたが、飲食店の仕事が忙しかったこともあり、ベタベタしすぎない動物のほうが、かえって自分のライフスタイルに合っていると思いました。そしてお迎えしたのがシマリスの「アース」でした。
こちらは現在のお店のシマリス
初めてお迎えしたアースはいわゆる「べた慣れ」(※人間に慣れていること)の個体。しかし2匹目の「はぐ」は酒井さんの手を齧り、返り血で体が真っ赤に染まっても離してくれないほど野性味の強い個体でした。
シマリスカフェ~アースのおみせ~
「個体差が激しい動物だということは聞いていましたが、それまでの経験がまったく通用しないと感じました。そのとき『ほかの飼い主さんはどのように飼育しているのだろう』と疑問に思ったんですね」
犬や猫とは違い、シマリスは飼育している人が少なく、情報交換の場所もほとんどありません。ベテランの飼い主さんにSNS経由で質問することはできますが、あまり何度も問い合わせるのも気が引けます。参考にSNSの投稿を見ても「かわいい」投稿が多くを占め、リアルな飼育方法を間近で見られる機会も少ないと感じていました。
「もっと現実的な飼育を見たいと思ってシマリスカフェを探してみましたが、ありませんでした。だったら自分で作ってしまおうと思ったんです」
シマリスにも訪れる人にも優しいシマリスカフェ
こうして誕生した「シマリスカフェ~アースのおみせ~」。シマリスに対しては誠実であるのはもちろんのこと、「訪れるお客様の役に立ちたい」「楽しんでもらいたい」という酒井さんの気持ちも隅々まで行き渡っています。
「情報はスマホ1台あれば誰でも得られますが、知識は体験を通してこそ身に付くものだと感じています。誤解や曲解を避けるためにも、当店ではシマリスの飼育情報を安易にSNSなどでは発信しないように心がけています。実際に足を運んでくださるお客様には、リスさんたちの息遣いを間近で感じていただきながら、当店での飼養方法についてもさせていただいております」
たとえば、展示されている個体の1匹のことら。元気はありますが、甲状腺ホルモン異常のため脱毛があり、目を患っています。こういった個体の様子を、直接見てもらいながらそのケアについて話をすることも、未来のシマリスたちの命を救うきっかけになるのではないか、と考えているそう。
「『動物が好きなんですね』と言われますが、動物はもちろん、人も大好きなんです。人とシマリスが、いい距離感で快適に暮らせる空間を工夫していきたいと考えています」