デグーに特化した自家繁殖と販売を本格化
「デグーの繁殖と販売は、自分が培ってきたすべての経験を生かしてやれることかもしれない。最後にもうひと頑張りして、うまくいかなかったら、この仕事を辞めようと思っていました」
デグーを求めて遠方からもお客さんが来るようになり、手応えを感じ始めていたころ、さらなる嬉しい出来事が起こります。
大井町の店舗時代のお客さんに、とある私立校の生徒と先生がいました。原さんの知識と経験、人柄を買ってくれたその私立校から、「自然科学部のアドバイザーに就任してほしい」という依頼が入ります。悩んだ末に引き受けることになり、ペットショップと学校のアドバイザーの2つの仕事を行うことで、経営は少しずつ持ち直し始めます。
相次いで味わうことになった挫折と愛犬の死、そして学校でのアドバイザーとしての仕事。これらが重なって、ペットショップ人生の集大成として、デグーに特化した自家繁殖と販売を本格化することになりました。
血統管理をしっかりし、丈夫な個体を世に送り出したい
ペット業界の慣習として、一般的に繁殖はお客さんの目の届かないところで行います。ところが原さんは、あえてお客さんに見える環境で行っています。
「産んでいるところから育てているところまでをきちんと見せる。人目があってごまかせないから、より自分に厳しくなれると思ったからです。あとは血統管理をし、とにかく丈夫な子を産んでもらえるように世話をしています」
今までさまざまな動物と接してきた原さんですが、一種類の動物に絞り、ここまで長く飼育管理をするのは初めて。それほどまでにデグーはペットとして魅力的でした。「デグーをお迎えする人にも楽しんでほしいからこそ、健康で丈夫な個体をお渡しできるよう今日も飼育管理を頑張っています」