2歳以上の園児へマスク着用を――2月3日、全国知事会が2歳以上の園児のマスク着用を国として推奨するように要望。4日には後藤厚生労働相も「前向きに進めるべきだ」と発言し、小さな子を持つ親や保育者たちからは不安の声が続出しました。  その後、専門家などの反対意見を受けて、政府分科会の提言からは「2歳以上」という対象が削除されることに。「可能な範囲でマスク着用を推奨し、一律には求めない」と修正されました。

医師や親たちが心配する“マスクで広がる園内感染”。小さな子が着けて逆効果に
(画像=『女子SPA!』より引用)

写真はイメージです(以下同じ)

 しかし現在、保育園・幼稚園のなかには2歳児など低年齢の子どもにマスクを着用させているところもあり、その判断は園や保育士など現場に委ねられているようです。

 低年齢の子どもがマスクを強制的に着用することには、どんな危険性があるのでしょうか。小児集中治療医の植田育也先生は「良かれと思っても害になることもあり得ます」と指摘します。  また教育現場や医療現場で働く関係者からも疑問の声が上がっており、決して無視できません。

2歳児が「舐めない、いじらない、外さない」をできるか?

 2月4日に後藤厚労相が2歳以上のマスク着用を「前向きに進めるべき」発言した際、植田先生は、自身のTwitterで次のように注意を呼びかけました。あくまで、分科会の提言から「2歳以上」という文言が削除される前の投稿です。(以下、<>内は植田育也先生のTwitterより許可を得て引用)

<厚生労働省は発表する前に、日本小児科学会に「これは現実的か?」と聞くべきだったと思います。2歳児にマスクを無理やりつけても、外す、弄ぶ、触る、で表面についたウィルスを自分の手につけて感染が周りに広がるだけだと思います。>(2022年2月4日)

医師や親たちが心配する“マスクで広がる園内感染”。小さな子が着けて逆効果に
(画像=『女子SPA!』より引用)

その後、分科会の提言から「2歳以上」という文言が削除され、植田先生は安堵の言葉とともに次のように投稿しました。

<2歳以上という年齢基準が削除された様です。良かったです。コロナ対策だったら何でも良かれ、ではなく、これまでさまざまな犠牲を強いられて来た子ども達のことも考えていただきたいです。>(2022年2月5日)

<「2歳以上にマスク」巷にはいろいろな意見があります。 「着けられる子もいる」〜注意すべきは単に顔に当てているだけでなく、舐めない、弄らない、外さない、を本当に確実にできているでしょうか?上記をやってしまうと逆に感染が広がってしまいます。良かれと思っても害になることもあり得ます。>(2022年2月6日)

 このように、2歳児の子どもが仮にマスクを着用できたとしても、正しく着けていられなければ、かえって感染が広がる恐れがあると指摘しました。

「着けなきゃいけない空気を作らないで」心配する親の声

 筆者が取材した、2歳児の子を持つ女性からも「幼児の場合はマスクが“新たな感染源”になりそう」と心配する意見が。

「まだ小さな子どもたちは、しょっちゅう手を舐めますよね。そして『ウイルスがついているかも』なんて意識できるはずもなく、色々なものを触るし、触った手を口に入れます。だからこそ、保育の場では風邪やいろいろな病気が“口から手、手から口”のルートで感染しやすい。これは、年齢的に仕方のないことだと思っています。  でも、小さな子にまで無理にマスクを着用させて、わざわざそのリスクを増やす必要ってありますか? 呼吸もしにくくなるし、心配です。着けられる子が着けるのには反対しません。でも『2歳からマスク着けなきゃいけない空気』を作るのだけは、本気でやめて欲しいです」(30代・2歳児の親)