母娘の繋がりが深く描かれている
母と娘というのは、よくも悪くも強い影響を受け合う間柄です。女性なら誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。『カムカム』でも安子からるい、るいからひなたへと多くのことが受け継がれてきました。タイトルの由来ともなった“ラジオの英語講座”、安子が父から受け継ぎ生活の糧となった“あんこ”。そして、るいとひなたの名前の由来にもなったジャズの名曲“On the Sunny Side of the Street”です。
『連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」オリジナル・サウンドトラック 劇伴コレクション Vol.2』(SMJ)
喧嘩をしても、すれ違っても、忘れよう…切り離そうと思っても家族の繋がりを断つことは難しい。その事実は誰もが感じたことがあり、こちらも共感を呼ぶのではないでしょうか。筆者自身も、『カムカム』を観ながら何度も母や祖母のことを思い出したり、自分の中に彼女たちの存在を感じたりしました。 3人のヒロイン交代制は、祖母も母も…そして自分も人と絆を結びながら自分の人生を生きるヒロインであることが表現されているようにも思います。
最終回に向けて、吹き荒れる伏線回収の嵐
“伏線回収の名手”ともいわれる藤本有紀の脚本であるからこそ、最終回に向けてどれだけ回収されるかもつい期待してしまいます。実際、第19~20週にかけて、かなり多くの伏線が回収されました。
安子の兄でるいの叔父にあたる算太(濱田岳)の登場から、るいの故郷・岡山への帰省。50回目の終戦の日の描き方は少しだけ無理があるようにも感じましたが、やはり感動。その違和感をかき消すように伏線回収の嵐が吹き荒れています。「お母さんを捜しにアメリカに行きたい」というるいの想いを受けて、ジョーが再び音楽を奏ではじめたことがとても印象的でした。しかも、本当にアメリカに渡ったのだからそれも驚きです。
物語の最後は令和まで展開されるので、残り2週で25年。安子は、るいと別れたあとどう過ごしていたのか。この一番の謎に関わる伏線をはじめ、ここからも数多くの伏線が回収されることでしょう。個人的には、るい編に登場したクリーニング屋の竹村夫妻(村田雄浩・濱田マリ)や、るいと映画デートをした片桐春彦(風間俊介)のその後も気になっています。
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ヒロインを演じる主役が三者三様に役柄・劇中での役割を深く理解し、表現している『カムカム』。だからこそ、私たちはこの100年に渡る物語にのめり込んだのだと思います。残り2週……もうロス確定!!観たい…けど、観たくない…いや観ずにはいられない。『カムカムエヴリバディ』の大円団を、涙しながら見守りたいと思います。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 鈴木まこと tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Instagram:@makoto_s.1213
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