すっかり春本番!外だけでなくおうちの中でも、花を存分に楽しみたい季節ですよね。そんな春におすすめの花とフランス流の花との暮らし方を、パリでフローリストの修行を積んだ『migiwa flower』のオーナー秋貞美際さんに伺いました。
空間を一気に春めかせるラナンキュラス
すっと伸びた茎に丸みのあるお花がかわいいラナンキュラス。秋ごろから出始め、春一杯まで楽しめるこの季節定番のお花です。ピンクや白などの定番カラーから、グラデーションがかった色まで種類もさまざま。お花屋さんで選ぶ時間も楽しませてくれそうですね。バラのように、柔らかな花弁が重なり合う華やかな雰囲気は、空間をパッと明るくしてくれるはず。
▼時期
冬の初め~春
▼長持ちするポイント
・茎の先端を花器の大きさに合わせて斜めに切る
・毎日断面を少しずつ切って吸水力を高める
しなやかな曲線とつぶらな花弁が愛らしいハゴロモジャスミン
可憐な曲線が柔らかい雰囲気のハゴロモジャスミン。1本1本がしなやかなので、あえて1種類でまとめることで、十分な存在感を放ってくれます。小ぶりのピンク色の花弁もかわいらしいですよね。佇まいにリズムを添え、たくさんの表情で楽しませてくれるハゴロモジャスミンは、1種類でも他の花との組み合わせでも取り入れやすい花なのも魅力のひとつです。
▼時期
春
▼お手入れ方法
腐らないように水に触れる部分の葉を取り除く
先ほどのラナンキュラスとハゴロモジャスミンの相性も◎。動きのあるハゴロモジャスミンが絶妙なバランスを添えてくれます。
複雑なディテールが魅力の枝もの
ぷっくりとしたお花に立派な幹がユニークなミツマタ。どこか和のムードも漂います。このように部屋の印象をガラリと変えるには、フォルムが特徴的だったり曲線が豊かだったりする「枝もの」が秋貞さん推しなんだとか。
よく見ると、白い部分とイエローの部分がふんわりグラデーションに。コロンとまとまった花も、小さな花たちが密集していることがわかります。花全体の存在感とは裏腹に、繊細な雰囲気がとっても愛らしい花です。
▼時期
春
▼お手入れ方法
枝の先端を縦に一文字に割る。
ミツマタは少し手に入りにくい品種なのですが、お手入れ方法は「枝もの」で共通です。参考にしてみてくださいね。
ユニークなシルエットで遊び心が踊る蘭(カトレア)
高価なイメージのある蘭ですが、実は1ヶ月ほど長持ちするためコスパが良い花なんです。落ちた葉や古くなった葉をこまめにお手入れする時間がない人にも向いているので、実はハードルも高くありません。またカトレアというこの品種は、一般的な蘭と比べて小ぶりで花弁の形がユニーク。オレンジや赤などの暖色系で気分まで明るくしてくれそうです。一輪でも十分な見栄えなのもうれしいですね。
▼時期
春
▼お手入れ方法
枝の先端を花器の大きさに合わせて斜めに切る
1輪でも存在感で魅了するビバーナム
もこもことしたお花の部分が目を引くビバーナム。澄み切ったイエローグリーンからは初夏っぽい雰囲気も感じられます。単価は比較的高いけれど、頭数が多いので1本でも十分華やかに見えるのも魅力。花弁の重みで、ちょっぴり落ち感のある見た目は、シチュエーションによっては色っぽい雰囲気も演出してくれそうです。一見、葉の部分と同系色の花弁のため、上級者向けに感じてしまいそうですが、ビバーナム1種類でもグッと洗練されたムードを作ってくれるんだとか。
▼時期
春
▼お手入れ方法
・枝の先端を縦に一文字に割る
・割った片面を切り落とす
・剪定用のハサミなどで幹の中の綿を掻き出すように取り除く
※怪我をしないよう、お手元に十分お気をつけください
お花の選び方や組み合わせに迷う場合、秋貞さんのおすすめは、本当に気に入ったお花を1種類選び、そのお花が持っている色味から組み合わせる植物を考えることなんだそう。
「パッと見はピンクの花に見えるものもじっくり観察してみると、クリームっぽい淡いピンク、青みがかった深いピンク、茎や葉のグリーンなどたくさんの色が隠れていますよね。こうやって1つのお花が持つ色を要素分解して、同じ色を持つ植物を合わせると、ちぐはぐにならず、調和のとれた組み合わせができますよ」。
まるで洋服のコーディネートのように楽しむ花の組み合わせ方!今までとは違った花の選び方ができそうです。
さりげなく洒落ているフランス流の花との向き合い方
秋貞さんは、パリで有名フローリストに師事したのちに、2018年千駄ヶ谷に『migiwa flower』をオープン。今回はその後移転した麻布十番の店舗に訪れると、春めいた花とユニークな花器たちが出迎えてくれました。
「はらりと散りゆく美しい花の姿まで楽しむのがフランス流」そう話す秋貞さんのお店では、まだつぼみの状態の花もあえて販売し、長く「花の一生」を楽しんでもらえるようにしているんだとか。
そんな秋貞さんがフランスの人々の花との暮らし方についてお話してくださいました。
「フランスで暮らす人々は、『日常を楽しむ』『心地よく暮らす』という意識を持っっています。パリは私からすれば緑豊かな印象があるのですが、パリジェンヌは自然が少ないと感じる人も多いので、自宅にお花や植物を飾って自分の求める心地よさを作っているようです。例えば、金曜日の仕事終わりに花屋さんに立ち寄り花を購入して、家族で過ごす週末をより快適なものにするんです」。
なんだかとても自然な形で、花のあるライフスタイルが染みついているパリの人々。単純にお部屋を彩りたいからというだけでなく、大切な人との時間を想う心意気がまたフランス人らしくて本当に素敵です。
「フランスで特に印象的だったことは『今日はこの料理を食べるから、このお皿とクロスを使おう。そしてこのクロスに合う花を生けよう』といったように、花を選ぶことも生活の一部になっているということ。そういう暮らしのセンスがとっても素敵だなと思っていました。インテリアを変えるのは大変だけど、花であれば手軽に取り入れられますよね。同じ品種や同系色の花でまとめるとパリのような洗練されたイメージに仕上がりますよ」。
花は消えものだからこそ、意外な色にもチャレンジしやすく、模様替えの前に花を生けかえるだけでも部屋の印象がグッと変わるのだとか。ほかにもインテリアだけでなく、招くお客さんのイメージやファッションによって花を生けることもあるのだそう。
家族や恋人、友人と共有するひと時を想うことで、花選びや飾り付けもグッと素敵な時間になるに違いありません。
決して背伸びしているわけではないけれど、さりげない“洒落”を漂わせるパリの人々の花との暮らし方。春本番を迎えるこれからの季節、大切な人と過ごすおうち時間を、とっておきの花で彩ってみるのはいかがでしょうか。
【店舗情報】
『migiwa flower』
住所:東京都港区麻布十番1−4−8麻布永坂ビル1階 ODEONS内
INSTAGRAM:@migiwa_flower
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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