女性用風俗を利用する既婚女性と、セラピスト男性による対談を実施しました。どのような経緯で女性向け風俗を利用するようになったのか、また、実際にどのようにセラピストを選び、どのようなサービスを体験したのかお話しを伺います。
離婚率はあらゆるメディアでよく取り上げられ、“3組に1組が離婚する”という文言はひとつの指標になっているほどです。そんな中でも“離婚しない”を選択する夫婦もいます。
今回は夫との性生活に不満を抱き、それ以外にもさまざまな問題を抱えながらも離婚の選択はせず、ほぼ公認に近いカタチで女性向け風俗を利用する麻生由紀子さん(45歳)さんに、新しい夫婦の形について伺いました。
対談相手は夫さんではなく、全国展開する性感マッサージ店「萬天堂」に所属するセラピスト歴2年の蒼月さんです。麻生さんにとって蒼月さんは、かつて定期的に指名していた“推し”のセラピストなのだそうです。
麻生さんと夫さんは現在、別居状態にあり、麻生さんは中学3年生と中学1年生のお子さんと共に3人で暮らしています。まずは麻生さんに夫婦関係や女性向け風俗を利用するに至ったきっかけについて話していただきました。
■10年間のレスの果てに夫から提案された別居。妻は静かに条件を提示した
――夫さんとは現在は別居状態にあるのですね。別居に至った原因はなんだったのでしょうか?
麻生 夫がいきなり「仕事を辞めて海沿いでカフェ経営する。そのために修行に出る」と言い出したんです。私は「これから子供達が高校、大学と進学していけば受験でお金もかかる。あと10年、せめて5年待てないのか。実行するにしても、家から通うことはできないのか」とくいさがり話し合いました。でも夫の意志は固く、どうにも意見が変わらなかった。なので私が夫を送り出す形で別居が始まりました。
――夫さんがそんなことを言い出す前は夫婦生活は問題なかったのでしょうか?
麻生 夫婦仲は悪くなかったと思っていたし、私は夫のことがとても好きだったのですが、のですが10年近くセックスレスで悩んでいました。夫から拒否され続けた10年間、何度もその話し合いをしましたがダメでした。
――夫さんを憎んだり恨んだりしていないのなら、レスや別居は辛いですよね。
麻生それまで共働きだった夫は私の出世を優先し、自らを犠牲にしてきました。私が毎日のように残業で遅くに帰宅し、夫が子どもたちの世話や家事全般も中心にこなしてきた十数年間もの生活があったので、その間夫が私のことをどう思っていたのか、と複雑な思いが交錯しています。
――なるほど……。夫さんが家を出て行くときにはどんな話をしたのですか?
麻生 お互い離婚は望んでいませんでした。なので私はこれまでのレスの状況も踏まえた上で「あなたの選択を否定せず受け入れる。ただし、これから始まる別居生活の中で、もし私があなた以外の人と肉体関係に至ったとしても、その選択を否定しないでいてくれるか?」と条件を提示しました。夫は黙って頷きました。そうして別居生活が静かに始まりました。
――では、女性向け風俗を利用するきっかけはなんだったのでしょうか?
麻生 夫への未練は大きかった。長年のセックスレスは辛く、性的欲求は満たしたかったですが、夫から言質を取ったとはいうものの、一般男性と肉体関係を持つことには、抵抗がありました。挿入を伴わない女性向け風俗利用ならば、自分に許すことができたのです。正直なところ、それで満足できるものなのかどうかはわかりませんでした。でも利用してみた結果、それはまったくの杞憂だったというか(笑)。とにかく大満足で、これから終わりの見えない別居生活には欠かせないものだ、と思いました。
■「賢そう」「この人に会ってみたい」そんな思いから始まった“女性向け風俗利用”
麻生さんが始めて女性向け風俗を利用したのは2019年7月で、その翌年の2020年12月までの間、月に1〜2回は利用しており、そのうちの1年間は蒼月さんを指名していたのだとか。ここからは麻生さんが“別居生活には欠かせない”と思うほど満足した女性向け風俗というサービスはどんなものなのか、また麻生さんにとって蒼月さんはどのような存在だったのか、対談スタートです。
――まず、女性向け風俗はどのように利用するのでしょうか?
蒼月 お店のホームページや女性向け風俗店を紹介するポータルサイト「kaikan」のようなページからご予約いただいたりお電話でご依頼を受けたりすることがほとんどですが、私たちは個人でTwitterやInstagramなどをやっているので、そちらのDMから直接のお問合せをいただくこともあります。
麻生 私はまずは「kaikan」の検索エンジンで「背が高い」「30代」「穏やかそう」などの条件の中からセラピストを選びました。ある程度絞り込んだ後に、Twitterやお店の写メ日記などを見て、その人となりをチェックすることが多かったですね。
蒼月 そうですね。SNSや写メ日記の投稿をじっくり見ていただいてからご予約をいただくことはかなり多いです。
麻生 SNSの短い文章や写真でその人のセンスが、お店などの写メ日記などではその人の趣味趣向が見えるからだと思います。私はそれらの内容から「賢いな」とか「セラピストとしてこういう売り方をしているんだな」って方向性が見えて始めて「この人に会いたい」って思えました。逆に蒼月さんはどんな意識で投稿をされているんですか?
蒼月 一番は読みやすさですね。自分を着飾ることは得意ではないので、わりと自分が感じることや考えていることを素直に、長くも短くもならないように気を付けています。あと、最後にオチをつける(笑)。
麻生 蒼月さんは、以前Twitterでお客様とのちょっとした感想文「あなたのこんなところがかわいらしかった」ということを書いてくださったんですよね。あれは私を含めて、受けたお客さま的にはうれしいメッセージだと思っています。
蒼月 あのメッセージは今はInstagramで継続しています。あれはお会いした方へのお礼の言葉として書いていて、本当はご本人にだけ見ていただきたいなってものなんですよね。
麻生 でしょうね。でもその特定の誰かへのメッセージを見て「私もこんなふうに書かれたい」とキュンとくる方はいるようにも思いますね。「他のお客様がここまでこの人を信頼しているのだったら、私も身を委ねてみたい」と思えるというか。
■施術で見つかった、意外な性感帯。「思わず“うわあっ”と叫んでしまった(笑)」
――そもそも麻生さんは初めての女性向け風俗利用で蒼月さんを指名したのですか。
麻生 いえ、別の方です。蒼月さんと出会ったのは利用し始めて3、4カ月頃でした。それ以降、女性向け風俗の利用を卒業するまで蒼月さんをご指名させていただいていました。
蒼月 そうでしたね。ありがたいことに女性向け風俗を利用されるお客様の中にはリピートしていただける方がいらっしゃるんですね。おそらくセラピスト全体でいっても半数以上はリピートのお客様を抱えつつ新規のお客様もいらっしゃるという感じかと思います。
麻生 利用を始めた頃は、自分のしてほしいことを言えずに時間が終了してしまうようなこともあったのですが、蒼月さんは本当に引き出し上手でいろいろと聞いてくれて……私の要求をすべて満たしてくれました。蒼月さんはなぜあんなに聞き上手なのですか?
蒼月 施術前のカウンセリングとして「今日どういうサービスを受けたいか」をお聞きします。このときに大事なのはイメージの共有です。たとえば「責められたい」という女性がいたとして、それだけでは「どう責めるか」のイメージが合致するとは限らないんですね。言葉で責められたいのか、体を責められたいのか……はたまたどういう手法がいいのか? よりくわしく伺わないと望みを叶えられない。そういった共有を20、30分したあとに、ようやく施術開始します。
麻生 施術の流れは、基本的にはうつ伏せからの指圧マッサージから始まり、徐々に体が温まってきたところで仰向けになり、足先から腰からバストへと性感マッサージに入っていきましたよね。
蒼月 そうして実際に施術をしてみると、わかってくることがけっこうあるんです。本人が自覚してなくて、見つかる性感帯だとかね(笑)。
麻生 そうでしたね(笑)。私の場合、実は意外にも足の甲が性感帯だとわかりました。
蒼月 ああ、ありましたね。うつ伏せから四つ這いになっていただいて…四つ這いという、なんとなく羞恥心を感じる姿勢でいるときに、太腿からふくらはぎ、そして足の甲へと手を伸ばした瞬間に、反応が大きくなりましたね。
麻生 はい。思わぬところから手が伸びて…「うわあっ」ってなってしまった。恥ずかしい話だけど、それで濡れてしまった。なぜ足の甲が感じると思ったのですか?
蒼月 もともとそこが性感帯になり得ることは知ってたんです。自分自身が感じやすいタイプなので、自分が感じるところは相手も感じるかもしれないと思って、いろいろと触れて探る感じです。
■「嫌とかダメとか言われてもやめない。本当に嫌だったらNGと言って」(蒼月さん)
麻生 私はどちらかというとMよりの方で、蒼月さんを指名して3回目くらいのタイミングで「今日は少し手首を拘束してみましょうか」と提案されて。あのときは、これ以上、快感をもらってしまったらとても疲れてしまうから「もう許して」と訴えて。
蒼月 そんなこともありましたね。先ほどのイメージの共有と同じですが、「嫌とかダメとか言われてもやめないから、本当に嫌だったらNGと言ってください」というお話をしたんですよね。
麻生 そうですね。施術中だと「嫌」とか「ダメ」は本当に嫌でもダメでもないときでも言ってしまうことがありますからね(笑)。それを見越してのお言葉でしたよね。そういう意味で、私のセーフワードは「もう許して」だったのです(笑)。
蒼月 あのときは私もうれしかったです。達成感と言いますか、ご満足いただけたのではないか、という気持ちでした。
麻生 私はもともと快感につながるものが大好きなんです。たとえば仕事の達成感でゾクゾクするのもすごく好きだし、ずっと趣味で歌を歌っているのも気持ちがいいから。性的快感への欲求も自分の暮らしの中ではかなりプライオリティの高いものなんです。それがあるからこそ日常をがんばれる、というご褒美的な感覚です。そして実は“イキ値”が低いから、すぐイッちゃうタイプ(笑)。
蒼月 そうですね、麻生さんのようにご褒美的な感覚、エステに行くような感覚でご利用いただいている方はとても多いように感じますね。我々としても、そのご希望が叶えられてこそ本望です。
■「もちろん特別な感情を抱くこともあった。でも常に適切な距離感を保ってくれた」(麻生さん)
――そもそも蒼月さんはセラピストになるきっかけは何だったのでしょうか?
蒼月 私は今も昼間はごく普通にサラリーマンをしながら副業的にセラピストをしております。セラピストになった理由はお客さまから聞かれたらお答えしているので、それはここでは伏せたいのですが、本業があるので基本的には土日にセラピストとして活動し、平日の夜はご相談で入ったり入らなかったりという感じです。
麻生 そうでしたよね。私も平日は仕事と子ども達の食事作りなどもある関係で時間が取れず、蒼月さんにお願いしていたのは土日でした。コロナ禍に入ってから緊急事態宣言中は女性向け風俗店が一斉に始めた「通話コース」を利用したこともありましたね。
蒼月 ありましたね。あのときは私も兼業だったし「いつどこで感染したか」が問われるような状況の中、感染するわけにもいかないから、世の中全体が不安に覆われたような苦しい時間でしたよね。
麻生 本当にそうでした。私の仕事の性質上、仕事量が増えたにも関わらず、子どもは休校となってイライラした状態で家にいて、平常時以上に家が殺伐としました。そんな中で、限られた時間を縫って蒼月さんとの「通話コース」は心身ともに支えられましたよ。
蒼月 それはなによりです。
麻生 施術前にカラオケや居酒屋にお付き合いいただくことも、もしかしたらこの業界では禁忌とされているかもしれない、手作り弁当を持参して桜の木の下で食べてから施術を受けるってこともしましたね(笑)。全部予約時間に含まれるんですけどね。
蒼月 私の場合は禁忌ではないですが、セラピストの中には遠慮される方もいるかもしれませんね(笑)。
――まるでデートですね。そんな時間を過ごして、麻生さんの中で恋心は芽生えなかったのですか。
麻生 もちろん芽生えました。客とセラピストという関係は変えようもなく、もどかしい思いも抱えました。でも、蒼月さんは最後まで敬語を外さずに私を客として扱ってくれ、節度を持った距離感を保ってくれた。それに「いつかは卒業しないといけませんね」とも言ってくれた。今となってはありがたかったです。
蒼月 私はなんだかんだでセラピスト歴2年となりましたが、当初はここまで続けるつもりはなかったのです。だから常に「セラピストよりも先に卒業した方がハッピーですよ」とはお伝えしていたのです。
麻生 そうだったんですね。蒼月さんが私に恋愛感情を意図的に持たせるような、私を“沼らせる”ようなこともせず、健全にこの業界から送り出してくれたことには、とても感謝しています。
蒼月 私は私で、ひとりの女性の新たな第一歩に多少なりとも力添えし、見送ることができてセラピストとしてこんなに喜ばしいことはありません。
■一年半の女風利用を卒業し、今はマッチングアプリで出会い活動「今後も辛くも楽しい人生は続くから」
――女性向け風俗を卒業してからは、女性向け風俗で満たしていた性的快感への欲求快楽はどのように満たしているのでしょうか?
麻生 実は卒業を決めてから思い切ってマッチングアプリに登録し、いろんな出会いの活動に勤しんでいます(笑)。ありがたいことに良い方とも巡り会えて、性的快楽につながる関係を楽しんだりしています。
蒼月 それはなによりです。私も30代の頃、仕事ばかりで恋愛を全くしなかった時期があったんですけど、誰かに恋する気持ちを思い出したときに、ものすごく活力になったんです。お客さまにとっても、女性向け風俗が明日を生きる活力になるといいし、麻生さんのように、女性向け風俗を踏み台のようにして新たなステップに進んでいただくのは喜ばしいことだと思います。
麻生 ただ、やはりアプリは、きちんとしたお仕事である女性向け風俗とは違って一般人同士の出会いの場だから、なかには非常識な人もいます。メッセージのやり取り中に、こちらの写真を送った途端に返信が途絶えたり、仕事を理由に会う30分前にドタキャンを2回もしてきたり。やっと会えたと思ったら自慢話をひたすら聞かされたり(笑)。
蒼月 それは散々でしたね。
麻生 危険な目に遭いかけたこともあります。こちらが合意していないのにセックスに持ち込もうとする人や、避妊を拒否する方もいました。私の知人は“アプリで出会った方から性病を移された”という話も聞きます。女性向け風俗のセラピストさんは皆さん、定期的に性病検査も受けてその結果も開示されていますから、その点では全くもって安心なんですけどね。
――まさにアプリは自己責任ですね。最後に、麻生さんにとって女性向け風俗はどんなサービスでしたか?
麻生 アプリのようにタダほど怖いものはない、私は女性向け風俗で素晴らしいサービス、楽しい時間と共に安全も買っていたのだと思い知りました。そしてなにより…夫との別居、コロナ禍と、とても辛い時期の息抜きであり、リラクゼーションであり、活力として乗り越えさせてくれた大事なサービスでした。
――麻生さんの様々なライフステージにおいて、欠かせないサービスであったと。
麻生 はい、欠かせませんでした。環境や様々な心境の変化でどんなにしんどい時期が訪れたとしても、人生は止めることができないから。自分自身でそのしんどさを和らげたりする時間や環境を作ることは大事ですね。女性向け風俗業界は、蒼月さんのようにお客さまをもてなし、そして送り出してくれる素敵なセラピストさんはきっといっぱいいらっしゃいますから。私も卒業宣言したものの、また再入学する可能性もありますからね(笑)。
――利用を迷っているお客さまに、何かひと言いただけませんか?
麻生 一般男性と比べてセラピストの皆さんは、スタイルがよく、身だしなみも気をつけている方がとても多いことにも驚くと思います。たとえば爪も綺麗に切っているし、毛も手入れしていて、口臭もまったくなし。私はアプリで様々な男性とお会いして、身なりはしっかりしているのに口臭のある人が意外と多いことに驚きました(笑)。そういう意味ではセラピストさんは身だしなみだけでなく口臭もすべて満点です!
蒼月 迷ってるなら飛び込んできてくださいって思います。
麻生 しっかり受け止めてくださいますからね。
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女性向け風俗を利用されるお客様の中で、最も人気の利用時間は120分コースで、料金はお店により違いますが19000円から2万円ほど。これとは別に施術する場所をホテルにする場合はその利用料がかかります。麻生さんは1年半、30回ほどの利用でざっと100万円を消費したと言います。「サービス内容を思えば決して高すぎませんが、人の懐事情はさまざまですから、容量用法に気をつけて利用されるのがいいと思います」と麻生さん。
そして「いい思い出がたくさんできました」と、晴れやかな笑顔を見せてくださいました。
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