男女雇用機会均等法から30年以上経過し、働く女性は格段に増えました。
しかし、女性が男性と同等に活躍できているかというと、全く差がないとは言い難いのが現状です。
女性は、社会の中で不利な状態に置かれてしまうということが多々あります。
その代名詞とも言えるのが「女性の貧困」です。
生活に困窮する人から非正規雇用の人、また転職するごとにキャリア(年収)ダウンを繰り返す、隠れ貧困のような人まで様々です。
今回は、この「女性の貧困」について考えてみます。
<貧困から抜け出す方法>女性は貧困に陥りやすい?
女性の貧困が注目される背景に
・女性の賃金が低い
・女性の非正規雇用の割合が高い
この2点があります。
まず、女性は男性に比較し、給料が低く設定されていることが多くあります。
下のグラフは、ここ数十年の日本における男女賃金格差をグラフで表したものです。
青が男性、赤が女性、黒線が男女の平均を表しています。
出典:平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概況 一般労働者/賃金の推移(厚生労働省)
男性に比較し、女性の賃金が明らかに低いことが分かります。
男女間の賃金格差は、平成11年から見ると10%近く改善されていますが、平成30年になっても男性よりおよそ3割女性の賃金が低いという問題があります。
そして、女性は男性に比較し、非正規雇用の割合も高いのです。
2012年の調査では、非正規雇用者の実に7割が女性であるというデータが出ています。
出典:【図3】 2012年平均の雇用者(役員を除く)に占める男女別の正規・非正規の割合(うち卒業)/総務省統計局
加えて、一度非正規雇用になってしまうとなかなか自力で正規雇用になれないという状況も手伝い、負の連鎖が生じ貧困状態を作り出してしまいます。
非正規雇用の経験がキャリアとみなされにくいため、次のステップを踏み出そうと思っても、簡単にいかないのです。
また、若い女性だと「結婚してすぐ退職するのでは?」という勝手な想像から、採用に繋がりにくいというケースもあります。
こうした賃金格差・雇用形態の背景には女性への意識や配慮の不足が少なからず存在しています。
未だに社会では、「男性は働き、女性は家庭に」という見えない意識があり、評価もされにくいというのが事実です。
子どもが生まれた女性は減給になったり正規雇用で復職できない、非正規雇用の女性はなかなか正社員になれない、年収が低い。
多くの女性が、こうした状況に苦しんでいます。
また、それに加えて当事者である女性たち自身の諦めも、この状況を助長しています。
賃金格差・結婚、出産、育児のしにくさなどの事実を目の当たりにしたり、キャリアを構築したくても企業側が求める人材像をハードルに感じてしまい非正規に落ち着くという人も多いようです。
女性への圧力、そして女性たち自身の諦め。当事者と周囲、双方の動きで、じわじわと女性の貧困が広がっています。