年収が語られるときのひとつの目安に500万円がよく使われます。年収を500万円稼いでいる人の割合はどのくらいいるのでしょうか。また、年収500万円あると、どこまでの生活スタイルが描けるのでしょうか。さらに年収500万円を稼げる職業についても各種データをもとにご紹介します。

年収500万円を稼いでいる人の割合

(写真=PIXTA)

国税庁がまとめた「平成30年分民間給与実態統計調査(2018年)」結果の給与階級別給与所得者数・構成比をみると、1年を通じて勤務した給与所得者 5,026 万4,000人について、500万円超 600万円以下の給与所得者は全体の10.2%でした。また500万円超の給与所得者は全体の30.9%に上ります。

※国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査(2018年) 給与階級別給与所得者数・構成比をもとに独自に作成

年齢別

平成30年分民間給与実態統計調査(2018年)で、年齢階層別の平均給与を見てみると、500万円を稼いでいるのは、45歳から59歳の年齢層が該当しました。年齢別の平均給与は、20代から上昇していき、50歳から54歳の529万円をピークに下降しはじめ、60歳から64歳の年齢層で416万円となり500万円を切っていく流れが確認できます。

※国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査(2018年)、年齢階層別の平均給与をもとに独自に作成

男女別

平成30年分民間給与実態統計調査(2018年)の給与階級別給与所得者数・構成比の表をみると、男性の500万円超 600万円以下の給与所得者は全体の13.5%でした。500万円超の給与所得者は全体の44%となり、給与所得者の4割以上が年収500万円超の給与を稼いでいることが想定されます。

※国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査 (2018年)給与階級別給与所得者数・構成比をもとに独自に作成

一方女性の500万円超 600万円以下の給与所得者は全体の5.6%でした。500万円超の給与所得者は全体の12.2%となり、給与所得者の約12%が年収500万円以上を稼いでいることが想定されます。

既婚・独身別

総務省の平成29年就業構造基本調査(2017年)から試算してみると、所得が500万円~599万円の世帯の割合は、既婚世帯が約8割、独身世帯が約2割となり、世帯所得500万円以上の世帯の割合も総じて既婚世帯が高くなっています。

世帯年収で考えた場合、独身よりも既婚の方がデータ上では高くなっています。結婚や出産、子育てなどに伴うライフサイクルやライフイベントによる働き方の変化やモチベーションによって収入の変化はあるかもしれません。

一方で、企業が従業員に支払う給与という視点で考えた場合、既婚・独身での差はないのではないでしょうか。また、性別や既婚・独身によって収入の差が生まれている企業があれば、政府が推進している働き方改革の方向性にもそぐわず問題があると言わざるをえません。

年収500万円を稼いでいるのはどんな職業の人?

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厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2018年)」のデータで想定すると、医師、薬剤師、公認会計士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、システムエンジニア、自動車外交販売員などの職業が年収500万を超える、もしくは目指せる職業といえるでしょう。

年収500万円の手取り額は?税金は?

(写真=PIXTA)

年収500万といっても、全て使えるお金ではありません。給与所得者の給与から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税といった基本的な控除額が引かれるとすると、年間の手取り額総額は概算で約380万円台になるでしょう。

※年間の手取り額総額は概算です。
※独身(配偶者、扶養親族なし)年齢は40歳以上で介護保険第2号被保険者に該当し、所得控除は基礎控除のみで試算。
※健康保険料・厚生年金保険料は全国健康保険協会平成31年度保険料額表(東京)(2019年)の金額で試算。

年収500万円の人の生活スタイル

(写真=PIXTA)

年収500万の手取り額を約380万円とすると、単純に12で割った金額は約31万円となり、貯蓄を切り崩すことなく生活に使える金額は、月額約31万円ということになります。月額31万円でどのような生活スタイルを描けるでしょうか。独身とファミリーのケースで考えてみましょう。

家賃の上限は手取り額の3割?

実際に住居の賃貸を決める際には、個々の事情が関係してきますが、家賃の上限は一般的に手取り額の3割といわれています。手取りが31万円ですと、9万3,000万が家賃の上限になるでしょう。

独身の場合

家賃以外の生活費といえば、食費、水道光熱費、娯楽費、通信費用、衣料・日用品費などがありますが、総務省の2019年家計調査のデータで単身世帯の消費支出の合計を試算してみると、月単位の消費支出は約16万3,780円となっています。がんばって生活費の合計を15万円ぐらいに抑えれば、家賃上限9万3,000円と合わせて24万3,000円になりますから、計算上は6万7,000円の貯金ができることになります。

ファミリーの場合

総務省の2019年11月分家計調査報告のデータを参考に考えてみると、2人以上の世帯の住居等の支出を除く消費支出の合計は約24万2,175円になっており、家賃を9万3,000円とすると、合計で33万5,175円となり、手取り額31万円を超えてしまいます。

家計調査報告で消費支出の内訳を見てみる下記のようになります。

食料:78,575円
光熱・水道:18,670円
家具・事務用品:10,747円
被服及び履物:12,452円
保健医療:14,783円
交通・通信:41,876円
教育:7,342円
教養・娯楽:29,904円
その他の消費支出:45,407円

ファミリーの場合、家計年収が500万円ですと、個々のライフスタイルやライフイベントに合わせて、消費支出の項目のいずれかを節約する必要があるようです。
 

年収500万円を目指すには

(写真=PIXTA)

年収500万を超える、もしくは目指せる職業には、専門的な資格が必要な職業が多くあります。年収500万円を目指すには、資格取得が必要かもしれません。また、現在のキャリアを生かしながら収入をアップさせられる職業がないか検討してみるのもひとつの方法ではないでしょうか。

文・小塚信夫(ビジネスライター)

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