令和2年度(2020年4月)の税制改正を目前に、2019年末に「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の改正案が閣議決定されました。今回の改正案では、iDeCoの加入拡大に向けてさまざまな内容が盛り込まれています。老後資金の準備にはどんなメリットがあるのか改正案の内容ととともに解説します。

iDeCoの改正案の主な内容とは?

まずは、iDeCoの改正案で3つの注目すべき点についてご説明します。

1.加入年齢の見直し
『第2号被保険者』と『任意加入被保険者』に対しては加入年齢が65歳まで延長されます。第2号被保険者とは、60歳以降でも再雇用などにより厚生年金に加入している人。任意加入被保険者とは、60歳の時点で加入期間40年未満の場合に任意で延長している人のことを言います。

2.受給開始時期の範囲拡大
現行は60~70歳の間で選択できますが、改正案では、公的年金の見直しにあわせて60~75歳まで範囲を拡大します。

3.企業型DCに加入している会社員のiDeCo加入要件の緩和
会社員で企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している人がiDeCoに加入する場合、現行では加入を認める労使の合意の手続きが必要でした。改正案では、企業型DCとiDeCoの拠出限度額の合計が月額5.5万円以内(iDeCoは2.0万円以内)の範囲で、規約の定めなく加入できるようになります。

老後資金を準備するのにメリットがある理由

iDeCoは働きながら資産運用ができるうえ、掛け金は所得控除にもなるため節税効果も見込めます。税金がお得になりながら老後資金が準備できるので、将来のお金に不安を抱える人にも大変有効な手段でしょう。さらに、iDeCoの改正案は、60歳を過ぎても働きたい人にメリットがあります。健康寿命が伸びている現代に合わせた法改正と言えそうですね。