『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
アニエスベーの小銭入れでミニ財布の魅力に気づいた
ミニ財布の魅力に気づくきっかけになった、アニエスベーの小銭入れ
私が最初にミニ財布の魅力に気づいたのは、アニエスベーのボックス型の小銭入れを手に入れたときです。
それはちょっと変わった形のお財布で、ぱっと見た目は、10×8×1センチの茶色い革の四角い箱。目立っているのはヒョウ柄のゴムバンド。
そのゴムバンドを外してふたを開けると、小銭入れ部分はボックス型になっていて、内側にはカードやお札を入れるポケットがあります。ボックス型の小銭入れのスペースは広く、小銭以外のものを入れることもできます。
私はそのお財布の見た目も、ゴムバンドをくるっと回してふたを閉める気軽な感じも、中に鍵が入る大きさも、すべて気に入っていて、それ一つをカバンに入れて、どこへでも行ったものでした。
面白いことに、その変わった形状のミニ財布を持っていると、みんなから「その四角い箱、何?」と聞かれるのです。けれども、多くの人はこの四角い革の箱にヒョウ柄のゴムバンドという組み合わせに興味津々で、それが何なのか、どこで買ったものなのか、知りたくなったようでした。
特別に高価なものでも、派手なものでもありません。また、財布の表側にブランドのロゴが大きく入っているわけでもありません。けれどもこの小さな財布は、多くの人の心に訴えかける、何かを持っているようでした。
「その四角い箱、何?」と聞かれたところから会話は始まります。相手はよく知っている人の場合もありましたし、ほとんど知らないような、初めて出会った人の場合もありました。
私はそう聞かれるたびに「これはね、ミニ財布で、私はこれにカギやカードを入れていて、大きい財布は持ち歩かないの」と返答しました。よく知らない人の場合、このやりとりをきっかけに、話が弾むこともたくさんありました。
「それは何?」会話の糸口となる“カンバセーションピース”
こんなふうに、会話の糸口となるようなもののことをカンバセーションピースと呼びます。カンバセーションピースはどんなアイテムでも構いません。服でも靴でもバッグでも、なんでもいいのですけれども、経験的に服や靴よりも、アクセサリーやスモールグッズのほうが、カンバセーションピースとなりやすいようです。
「それは何?」会話の糸口となる“カンバセーションピース” (※画像はイメージです)
カンバセーションピースとなるものには、人目をひく見た目が必要です。しかし、見た目がいいだけでは足りません。それを見た相手からの発話を促す何かがなければなりません。カンバセーションピースに必要なのは、相手がそれを見て、興味を持ち、何か言わずにはいられなくなり、ついには話しかけてしまうという一連の行為を引き出すほどの魅力なのです。
気になるだけでも、つい見てしまうだけではだめ。相手の心を動かし、かつ相手が衝動にかられて語るところまで持っていくほどの魅力を持っているもの。そう考えると、カンバセーションピースになり得るものは、それほど多くはないということがわかるでしょう。
とても気に入っていたこのアニエスベーのミニ財布ですが、ゴムバンドという性質上、ゴムがゆるくなってしまったら、もうそれ以上使うことはできません。私はこの財布が使えなくなったころ、何度もアニエスベーの店舗に同じ財布は売っていないか、聞きに行きました。けれども、二度と同じものを手に入れることはできませんでした(だから今でもとってあります)。