監督は、キャストの演技を見つめる世界で最初の観客

――本作はイカサマ師たちの物語ですが、映画監督もいわば最高のイカサマ師だと思います。監督は、映画監督というお仕事にどんなポリシーを持っていますか?

「横浜流星は役になりきっていない」、『嘘喰い』中田秀夫監督が語る横浜の魅力
(画像=『女子SPA!』より引用)

メイキング写真/中田秀夫監督(左)、横浜流星さん(右)

中田監督「僕はエンタメ映画をずっとやってきたし、これからも機会があればそういう路線で行きたいと思っています。だからポリシーというと大げさなんですが、撮影現場において、自分が、今回でいえば横浜くんを始めキャストの皆さんの演技を見つめる、世界で最初の観客であると思っています」

――最初の観客。

中田監督「そのセンスビリティというか、感性を常にビビットにしておきたいと思っています。今の観客とリンクしながら、現場にいる自分が、観客を代表して見ているんだよと。だから作家主義的に『俺の映画だ、みんな黙ってついてこい』というよりは、もちろん何も言わないことはないんですけど、自分の観客心がベースにあるのかなと思いますね」

「横浜流星は役になりきっていない」、『嘘喰い』中田秀夫監督が語る横浜の魅力
(画像=『女子SPA!』より引用)

ジャパンプレミアムの様子

――なるほど、そうなんですね。

中田監督「オリジナルにしても今回のように漫画原作があるにしても、中田秀夫が『嘘食い』の世界をこう切り取ってやるぜ! というより、『嘘喰い』の世界が映画になった時に、こういう形になるべきだよなという、変な言い方ですけど、作品そのものが求めている、作品がこうあろうとしているんじゃないかというものを見つけて撮っていった感じですかね。最初の観客としての感覚を大切にしているのと同時に、ちょっとプロデューサー心が入っている監督なのかもしれません」