自費診療との併用「混合治療」認められるかがカギ
――保険適用について注目しているポイントを教えてください。
●年齢の問題 不妊については年齢がひとつの指針となることがあり、受け入れる女性患者さんの年齢を制限しているクリニックもあります(オーク会では年齢を制限していません)。「保険の適用=病気」と認めることになりますが、年齢を病気と考えるのか? という疑問が残ります。12月時点では43歳未満となっていますが、4月適用の最終条件に注目しています。
●自費診療の併用 自費診療との併用が認められる場合は、保険適用外の治療も組み合わせて提供できます。ただ、認められない場合は、クリニックとして提供できる治療が制限されます。 診療報酬の点数がつかない治療や技術は持ち出しをしないため、患者さんが望んでいる治療をすべて受けることができなくなる場合があります。 混合診療ができるかどうかでクリニックと患者さん、双方の状況が大きく変わります。
●先進医療/研究の今後 技術の獲得や研究開発については競争原理が働いている側面があります。その研究が保険適用外の場合、研究を進行したとしても、患者さんがその研究に基づく治療を選択するのにハードルが高くなります。そのため、「点数のつかない研究はしない」という競争原理が働き、研究をすること自体が無くなっていくのでは、と懸念しています。
●婚姻関係の必要性 日本では事実婚のカップルが増えているので、事実婚が対象となれば、治療を受けやすくなるカップルが増えると思います。
一部の不妊治療は「大金のかかる特別な治療」に?
――保険適用を経て、現場は5年後10年後、どのように変化していくと考えますか?
保険適用で受診のハードルが下がり、不妊治療がより一般的なものとなれば、不妊治療を実施する人は増えていくと思います。
ただし、混合治療が認められない場合は、現在のようなオーダーメイド治療は富裕層や、治療のために大金を捻出した人のみが受診できるような料金の治療になっていくことも予想されます。 歯科(通常の歯医者さんと、矯正やインプラントの専門クリニック)のように、保険適用外の治療専門のクリニック、保険適用の治療のみを実施するクリニック、と2つの形態が出てくるのではないでしょうか。 現在は高い技術面をアピールしているクリニックが多いですが、技術面ではない立地やサービスの部分をアピールするクリニックが増えていくのでは、とも感じています。
保険適用については、実施が始まる4月直前まで様々なことを議論していくので、どうなっていくかはわからないところもまだまだ多いのが現状ですが、今後の動向に注目です。
【田口早桐 医師】 日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医、日本産科婦人科学会専門医、臨床遺伝専門医、母体保護法指定医、日本再生医療学会会員。川崎医科大学卒業、兵庫医科大学大学院卒。専門は「抗精子抗体による不妊」。府中病院を経て、医療法人オーク会勤務。体外受精に関して、排卵誘発法を含めた治療戦略をしっかり立てることが大事との信念で、個人個人の状態に合わせた方針を決めることに力を注ぐ。
参考: ・不妊治療の実態に関する調査研究について(野村総合研究所) ・不妊治療の保険適用について(厚生労働省)
<文/女子SPA!編集部> 女子SPA!編集部 大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。twitter:@joshispa、Instagram:@joshispa
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