夫は号泣して土下座

帰宅した夫に、LINEのやりとりをプリントアウトした紙の束を見せた。夫はあわてふためき、「いや、それは……」と言い訳をしようとしたが、無理だと悟ったのだろう。ガバッと土下座し、「気の迷いだった。申し訳ない」と言った。

「1年前から待ってると彼女が言うんだから、私の妊娠中につきあいが始まったということねと確認しました。夫はぼろぼろと涙を流し、『あっちが強硬で、無理矢理そういうことになったんだ』と。

そんな言い訳聞きたくない、たとえ彼女の気持ちをそらしたくないつもりでも、夫婦関係がうまくいっていないとか私の悪口を書くとか、あまりにひどくないかと詰め寄りました。夫は号泣しながら恋している自分に酔ってしまった、ごめんなさいと頭を下げ続けたけど、謝るくらいなら最初からするなと、とうとう怒鳴ってしまいました」

夫の不倫相手が家に乗り込んできた「私がここに住めるのはいつからかしら」
(画像=『女子SPA!』より引用)

娘を連れて家を出た

夫はしょげていた。そんな夫を見て、ミホさんは夫への気持ちがなくなっていくのを感じていたという。

「相手と別れてとも思わなかったんですよね。本当に一瞬にして、夫がどうでもよくなってしまった。

私はすでに両親がいなくて実家もないし、親しくしている親戚もいない。だから出ていくことさえできない。でも翌日、どうしても自宅にいたくないという思いが強くなって。学生時代の友人に連絡したら『うちにおいで』と言ってもらえたので、娘を連れて家を出ました」

その友人はバツイチのシングルマザーで、実家で母親と息子との3人暮らし。彼女から母親に連絡がいっていたようで、友人の母親は歓迎してくれた。

「うちも2歳の子がいるからね、気にしなくていいのよと受け入れてくれました。夫からは携帯に電話やメッセージが入っていましたが返す気にはなれなくて」

そのまま1ヶ月、友人宅で世話になったのだが、その間に彼女は職場に復帰、保育園も見つけて友人宅近くにアパートを借りた。仕事が遅くなるときは友人の母が保育園に行ってくれることもあるが、彼女にはきちんと対価を払う約束もした。

浮気が許されるのが当たり前だと思っている夫

夫の不倫相手が家に乗り込んできた「私がここに住めるのはいつからかしら」
(画像=『女子SPA!』より引用)

「それでも夫は私が離婚するつもりだと思っていなかったみたい。あるとき来たメッセージをうっかり読んでしまったんですが、『ミホにはオレ以外、頼れる身内もいないんだから、いいかげん折れてほしい。オレも反省しているから』と書いてあった。それを見て一念発起したんですよ。浮気が許されるのが当たり前だと思っているのが腹立たしかった」

離婚したら、夫はあの女性と一緒になるかもしれない。そう思ってみてもまったく嫉妬がわいてこなかった。こんな気持ちで「家族」という形を維持することに意味があるのかとも感じたという。

“事件”から2ヶ月後、彼女は夫に離婚届を送りつけた。友人の知人弁護士が間に入ってくれ、慰謝料300万、養育費月5万も請求した。夫からは誓約書と押印済みの離婚届が返送されてきた。

「一度だけ友人に付き添ってもらって荷物を取りに家に戻りました。夫には留守にしてもらった。自宅に入ると、突っ張ってきた気持ちがほぐれて涙が出てきました。

ここに住んでいた3年あまり、幸せだったなと思って……。でもやっぱり許せない。私はこれからしっかり生きていこうと決意を新たにしました」

あれから5年。今また、ミホさんは揺れている。