幼稚園や保育園、小中学校に通う子供を持つ母親にとって憂鬱な気分になるのが毎年4月に行われる保護者会。なぜならこの会合でPTAの役員を選出するからです
学校に通う生徒の保護者と教職員から構成されたPTAは、学校行事のお手伝いをはじめ、ベルマーク集めやリサイクル活動、地域の防犯パトロールなど、やることがたくさんあります。
当然、役員の集まりも定期的に開かれるため、面倒臭いと感じる方が多いはず。立候補する人がいないためにくじ引きやジャンケンで決める場合も珍しくありません。
保護者会ではPTA役員がなかなか決まらず…
くじ引きならまだ公平ですが、自分が役員になってしまう可能性を恐れ、このような選出方法に頑(かたく)なに反対する人も。2人の男の子を持つ高野美香さん(仮名・38歳)が数年前に参加した小学校の保護者会でも、PTA役員が全然決まらず、時間だけが過ぎていったといいます。
「当時、子供は6年生だったんですけど、それまでの5年間で私はPTA役員を3度務めていました。もちろん、自分で立候補したわけではなくて、誰もやりたがらなかったので仕方なく引き受けただけです。だから、このときも、またかと思うとうんざりしちゃって」
ちなみにこの小学校は児童数の少ない地方で1学年1クラス。PTA役員はクラスの保護者から毎年6人選出しなければならなかったそうです。
「子供の数は転校による増減はありましたが、毎年27~28人でした。だから、6年生の子供を持つ親なら少なくとも1回は役員を経験してなきゃおかしいのですが、この時点でも役員をやったことがない保護者が10人近くいました。それなのに、私のように何度も役員をすることになった保護者が半数以上もいる。これは明らかに不公平だと感じました」
すると、役員未経験者のひとりから、当日仕事で参加できなかったママさんたちを役員にしようという意見が出ます。未経験組の親たちは全員仲が良く、この意見に賛同しましたが、美香さんなど多くの保護者は当然これに反対します。
役員を一度も経験していないのは不公平?
「こんな欠席裁判のようなやり方には納得できませんでした。それに仕事で保護者会に来られなかった方が何人もいましたが、その全員が過去に1回以上役員を経験している人たちです。
そういう経緯もあって、6年生になっても役員を一度もしていない保護者の方がいるのは不公平だ、という内容のことを未経験組のママさんグループのほうを見て言ってしまったんです」
トゲのある言い方にならないようには気をつけたそうですが、彼女たちは遠回しに自分たちがズルいと言われたことが気に入らなかった様子。
結局、最後は学校側の提案でクジ引きで決めることになり、未経験組のママさんたちからも数人が選ばれたこともあって、一方的に恨まれてしまったそうです。
「彼女たちはくじ引きにも反対していて、前の年まではなんとか話し合いで決めていましたが、それだと絶対自分から引き受けないと思ったんです。そこで多数決で強引にくじ引きで選ぶことになったんです。
その場合を想定して、欠席のママさんたちからも事前に了承をもらっていましたが、案の定この年はじめてPTA役員になることになった方は不満タラタラでした」
なかでも未経験組の中心的存在だったママさんは、役員に選ばれたのがよほど嫌だったのか、この人のグループからはあからさまに避けられるようになったとか。子供同士は仲がいいので、以前はランチやお茶をすることもありましたが、この件以降は一切呼ばれることはなくなったそうです。